東北本線は盛岡の北で、北上山地と奥羽山脈の谷間を埋めるように広がる丘陵地帯を走り抜く。400トンを越す長大急行列車や1000トン貨物列車 の牽引には蒸気機関車が2両以上必要となり、重連、三重連、後部補機といった運転形態で乗り切る。本島三良は名著「鉄道」のなかで、この区間を「重連の領域」と称して詳しく紹介した。それは当時中学生だった私の鉄道趣味のあり方に計り知れない影響を及ぼすことになった。
重連の領域 残像 I

猛吹雪の中、D51型重連が引き後部補機が押す、第183列車は東北本線 御堂-奥中山間 東京起点577km吉谷地の大築堤にさしかかる。白煙は飛翔する竜のごとく乱舞し、三つの激しい鼓動が交錯する中を黒い長い列は、サミットを目指してのたうつように上り詰める。

D51598〔盛〕とD5164〔盛〕の引く第1185列車は、重い足取りを奥中山に停める。峠からは疲れ切った顔のD51461〔盛〕がC61〔青〕を従えて下りてくる。 青森を11時05分に出た仙台行普通旅客第536列車である。奥中山を16時22分に出て、この列車が仙台に着くのは今夜22時46分である。
1965.4.2