アナログVFO用 自動周波数調整装置 (AFC) の製作
------------- 比較的シンプルな回路で作りやすい構成に心がけました。 --------JA0DCZ---2012.04.15---
1、古い無線機のLC式アナログVFOの周波数変動を自動修正します。(LCD の表示で修正の様子が見られます)
2、1分間に100Hz 以内程度の変動であればどこまでも (1〜2KHz位まで) 追いかけて修正します。
3、キャーリア発信やローカル発信の変動を修正するものでは有りませんので、この2カ所での周波数変動はそ
のまま、送受信の周波数変動になります。--- 十分にウォーミングアップしてから鳴合せ調整をして下さい。
4、ダイヤルを目的の周波数に正確に合わせなくても100Hz stepで自分から最寄りの周波数に移動して行きます。
5、この時に、移動する早さは 50Hzでおよそ25秒位です。50HzズレていてもQSO中にピタリと合ってくれます。
************ ページの下から回路図、.asm .EXE の各ファイルがダウンロードできます。 ************
************ ページ下方の画像と .asm ファイルの冒頭に有るコメントもご参照下さい。 ************
*** 新しいVer.のファイルがアップロードされた場合はなるべくPICを書き替えて頂いた方がベターです。***
---------- 自動周波数調整装置(AFC)の簡単な動作説明 他 JA0DCZ 2012.03.26 ----------
最初に、この装置に関する全てのハードとソフトウェアーについて動作及びその他を保証するものでは有りませ
んので、各自の技量に合わせて自己責任で実験、研究をしてください。
この装置に関するソースファイル、ハードウェアーに付きましては Web 検索情報や CQ 誌上でのOM 各位の記
事を参考にさせて頂きましたので、ここでOM 各位に厚く御礼申し上げます。
部品は通販で、秋月=PIC(16F84A),LCD(SC1502B**),OP-amp(CA3140E),(2.2uF)、佐藤電気=標準IC(74HC00),
(TC4053)を調達しました。
OP-amp はMOS(C-MOS)系であれば他のものでも使用可能と思われます。例(LMC662=ピンNo.注意)など=秋月
offset 表示に対応する機種について
ア、原則としてTS-510 ですが、周波数関係が同じ TS-511,TS-520 などは正常に表示するはず---?です。
イ、offset の表示周波数は 3.5MHz で計算されていますので、他のバンドで使用する場合も3.5MHz 台で表示され
ます。例えば3.62MHz 表示の場合、3.5M帯はそのまま直読、7M帯は7.12を意味します。
注意しなければならないのは14M帯以上の場合、LSBとUSBの 3KHzも考慮する必要が有ります。
ウ、需要の多そうな FT-101 に付きましては、1〜2ヶ月の内に.EXE とソースファイルを発表しますので暫くお待ち
下さい。-----offset 表示を無視すればこのままでも使えますから、製作を先行されても大丈夫です。
(但し、VFO 出力が 9MHz 以上の場合、offset 表示のみエラーになります。VFO の表示は正常です)
エ、その他のアナログ機に関しては周波数関係が不明ですので対応は考えていませんが offset 表示部を無視し
てVFO 周波数のみ利用して頂くとこのままで使用可能です。
(但し、VFO 出力が 9MHz 以上の場合、offset 表示のみエラーになります。VFO の表示は正常です)
オ、ソースファイルを公開しますので、興味の有る方は自由に自分の機種に合わせた変更や改良を加えて、より
良いものに仕上げて発表して頂ければ幸いです。コピー、改造、再配布に関しては何も制約は有りません。
カ、アナログ機だが、周波数表示器が付いているのでこのAFC のLCD はいらないナー、という方は回路図に示さ
れている通りにLCD 表示器を省略して製作して下さい。-----無くても全く問題なく動作します。
簡単な動作説明-----------PIC 内蔵のプリスケーラの関係で(8Hz step)と(4Hz step)動作になります。
1、周波数の計測は0.5秒周期(8Hz step)と1.0秒(4Hz step)周期で行われています。
2、周波数のロックは引き込み無しに設定すると0.5秒周期、8回 (周波数のふらつきが少なければ最短4秒)
でロックされますので比較的ゆっくりとダイヤル操作ができ、少し余裕がとれる様にロックまでをあえて長目に
しています。
3、±48Hzと±8Hz(20Hz Step)00Hz引き込み(吸い込み)方式ではダイヤルを正確に合わせる必要がない為に
0.5秒周期で2回同じ周波数を確認するだけ(最短1.0秒)で速やかにロックする様にしました。
±100Hz 位まで引き込み(吸い込み)すると相当使い易くなりますが、周波数のチェックを3桁に増やす必要が
有りますので、そこまでする計画は有りません。
4、ロックするまではU.L(LED)が点灯していますがロックすると消灯します。(LCD の−表示も消えます)
5、ロック後は1.0秒周期の少し精度の高い計測になり00Hz引き込み(吸い込み)無し方式ではロックした周波数
(4Hz step) を維持する様に働き、引き込み(吸い込み)方式の ±48Hz(100Hzstep) と ±8Hz(20Hz Step) は最
寄りの 00Hz に向かって引き込(吸い込)まれるように4Hz Step で LED(Up,Down)が点滅しながら移動して行き、
目的の 00Hz に達するとその周波数(4Hz step)を維持する様に働きます。
6、この時にLCD の周波数表示の先頭部分に、offset周波数に対して上昇時は[U],下降時は[D]が表示されますが、
この[U],[D]は点滅しません。----------(40Hz の移動におよそ20秒程掛かります)
7、ロック後にVFO 周波数が上下に動いた場合も上記5、6、と同じで4Hz step で周波数が修正されます。
8、ロック後にVFO 周波数が大幅に動いた場合はロックが外れて再ロックの動作に入り上記1、に戻ります。
9、ロック外れの範囲はロックは引き込み無しで±16Hz 、±8Hzで20Hz 、±48Hzで60Hz です。
一度"00"Hz まで修正されると、更に上記の周波数範囲の修正を繰り返す事ができますので、極端な例で言え
ば1KHzでも 2KHz のズレでも追いかけていきますが、一度に上記周波数範囲を超えるとロックが外れます。
10、説明が下手ですが、内容にご不明な点がございましたら、QSO の折りにご質問頂ければと思います。
-------------------------------- 調 整 方 法 ---------------------------------
A,アナログ部の動作確認
1、回路図はなるべく簡単にしたつもりですので、配線もそれなりに見易いはずですから完成後に、もう一度しっか
りと配線や半田付けの間違いがないか見直して下さい。
2、PIC を乗せないで VFOにもつながない状態で PIC の2番ピン= RA3 に1KΩ位の抵抗を通して+5Vを加えて
U.L (LED)が点灯すればOK で、この時にオペアンプ出力をテスターで見ると4〜5V 前後で安定します。
同様に8番ピン= RB2 に+5Vを加えて Down (LED)が点灯すればOK で 、この時の出力電圧はゆっくりと 0V
近くまで下がります。
同様に9番ピン = RB3 に+5Vを加えて Up (LED) が点灯すればOK で 、この時の出力電圧はゆっくりと 8V
〜 9V 前後まで上昇します。
これらの出力電圧はオペアンプの3番ピンへの分圧で変わってきますので、バリキャップの種類や動作点に依
って少し変えてやると応用範囲が広くなります。
場合によっては臨機応変に、アマチュア精神で少し変更してようすを見てを下さい。
B,周波数カウンターの調整
3、PIC を乗せて VFO に繋いで Xtalの調整ですが、Xtal に依っては 30Pを増減する必要が有るかも知れません。
A, まず、AFC を引き込み無しに SW1 を設定してからTx にダミロードを繋いで適当な周波数(SSB)で送信し、
信頼できる受信機でいわゆる鳴合せをして"0"ビート付近にします。
B, その時に受信周波数がAFC のLCD 表示(offset)より上又は下にずれていますが、仮に上にずれていたとし
て説明します。(下にずれていれば逆の調整方法ですので間違えない様にして下さい)
C, 上記B,で受信周波数が AFCのoffset 表示より上の方に仮に300Hz ズレていたとしますと、この場合にAFC
の LCD 表示(offset) をメモしておき、受信機のビート音に関係なく AFC のメモした周波数より、LCD 表示
(offset) をおよそ+300Hzになる様に(ロックが外れる早さで)トリマーを調整します。
D, ロックを外す為に改めてVFO を調整して再度上記A,の操作をすると、当然最初よりも周波数のズレが少な
くなっているはずです。これを何回か繰り返します。
E, 鳴合せの周波数の誤差が30Hz 以内位になったらSW1,SW2を引き込み幅を±48Hz に設定し、鳴合せをし
しがらゆっくり少しずつ(ロックが外れない様にして、トリマー調整分の自動修正を待って)トリマーを何回か調
整して、LCD の表示が00Hz付近<になれば完了です。
F, ここで注意する事は上記、C, D, E, に付いて言えますが、トリマーを調整すると自動で周波数の修正が行わ
れますので、上記C,D では自動修正の速度より少し早めにトリマーを調整します。
また、上記E,では逆に少しずつトリマーを調整して(4〜8Hz位)、周波数自動修正が働いて"00"Hzまで修正
が完了したら次のトリマーを調整を行い、これを数回繰り返すと両方の表示がほぼ合致します。
C,使用するに当たり総合的な事柄
4、こつは、あまり00Hz にこだわらない事とこれで送信周波数が動かないと思い込まない事です。
キャリア発振の水晶、このAFC の水晶、コンバージョンの水晶など古さや室温の変化電源ON からの経過時間
などが総合的に影響しますので、次に鳴合せをすれば 10〜数10Hzのズレ(LC VFO では素晴らしい事)が当然
出てきます。(主な原因は他のXtalの影響が大きい)
QSOを開始してからQSO終了まで、仮に1時間としてこの間 VFO に手を触れなくても何とか済む範囲の周波数
変動というのは、LC アナログVFO 使用の無線機では極めて驚くべき事なので全て良とします。
5、上記4、の様な場合に備えSW1, SW2 を切り変えて±48Hz(100Hzstep)、±8Hz(20Hz Step)と(吸い込み)無し
=(4Hz step)をうまく組み合わせてご使用下さい。
6、リグにも依りますが、電源ON 直後から50〜60Hz も動くのは許せない-----という方はOM 各位から発表されて
います高性能で、ほとんど動かない優れたものに挑戦して下さい。
私のは変動性能を少し犠牲(特に初期変動=原因は他のXtalの影響が大きい)にしてシンプルさ作り安さを最
優先にしています。
以 上 JA0DCZ 松田