金継ぎについて
金継ぎは「繕い」とも言われ、古磁器など壊れた部分を、漆により補修を行い
その模様を「繕い」「景色」として美意識を高め、鑑賞する。
金継ぎ修理するものは、そうそうあるものでないので、技術を陳腐化
させない為にも、出来るだけ手がけたいものである。
2003年に講習を受けたのでその記録として残す。
1、準備された材料
@ 器の脱脂材 (脂肪分をふき取る)この作業をきちんとやらないと
仕上げに影響する。A筆の保存油 (漆は乾くと固まるので油を塗って
保存する) B 添加剤(早口)(漆に混ぜ早く乾燥させる)
C 漆添加剤 (必ず漆と20%配合する) D うるし透 (透明な漆
高価なもの) E 骨材 (増粘材入り)(漆のパテを作る)
F 本漆薄め液 (漆の粘度の調整に使う) G うるし H まわた
I 金粉 (純金1から4号ある 1号を使う)

2、金継ぎをするものとして
@ 割れ A 欠け(ホツ、ホツレ) B ヒビ(ニュウ)すき間に入りやすい
ように、乾く前に拭く。

3、漆の硬さ
(柔らかい...形がくずれる)(硬い...粘着力がなくなる)(半乾きの状態...1時間後ぐらい)
4,金継ぎ作業工程
*本漆の配合....「うるし」及び「うるし透」には必ず「うるし添加剤」
20%強を配合する。
*継ぐ前の処理....割れた器の補正(器は割れた瞬間に膨張して元の形に戻らないこ
とがあり、その場合は必要な部分をヤスリやルータ)等を使って削り
元の鞘に収まるようにする。
*器の脱脂....「器の脱脂材」と竹べらを使用して、割れと欠けとヒビの部分の油脂
分を取り除く。(油分があると接着力が弱まる)
*下塗り....低火度で焼かれた陶器や、木製の漆器などには、吸い込みを止める為に
本漆を使って下塗りの作業を行う必要がある。
割れた部分を接着する場合は、その部分に本漆を塗り、表面に残る余分な
漆は布で吸い取らせて乾燥させる。
(欠けた器は、吸い取らせる必要はなく、塗りっぱなしで乾燥させる。)
@ 割れた面の接着
本漆を割れ口の片面に塗り、強く張り合わせて両面に薄く付ける。
(しみやすい貫入がある陶器と透明ガラスの接着には本漆透を使う)

A 余分な漆のふき取り
はみ出した余分な本漆を水にぬらして、絞った綿布で拭き取る
無釉薬の陶器や、凸凹がアル器など、水で拭き落とせない場合は
竹ブラシに「本漆拭き取り液」を僅かにつけて擦って取る。
B 保持
拭き取り、乾拭きの後にセロテープでしっかり保持する。
C 落とし
数日間乾燥させて、テープを剥がし、そのべた付きが残る場合は「本漆」を
布に付けて拭き取ります。本漆の汚れは、彫刻等、サンドペーパ、砥石など
を使って削り落とす。(彫刻等、サンドペーパ、ルータ、砥石など切削道具を使う
場合は、器を傷つけないよう、充分注意して作業を行う)
D 練りこみ
本漆とその2倍量の「増粘材」と「タルク」「タンカン」を同量」配合した
骨材を手板に取り、木ヘラを使ってよく練り込んで、刻苧(こくそ)漆を作る。
(しみ込みやすい貫入がある陶器と透明ガラスには本漆透に「増粘材」と「タルク」
「タンカン」と金粉を配合して、金色の刻苧(こくそ)漆を作る)
硬さは欠けの深さに応じて変わる為、比率は実際に練りながら、その状態を見て
決める。 骨材とは混ぜ物の総称であり、「砥の粉」「霧粉」や「タルタ」
「タルカン」などがある。この配合比率によって、後の研磨性に違いが現れる。
(漆+うすめ液は5対1それに骨材を2倍位入れる 少しずつ加えて)
E 欠け埋め(下塗り)
欠けた部分を埋め、水に濡らした指で補修しながら、器より少し盛り上げ気味に均す。
(大きな欠けや深い欠けは垂れやすいため、一気に埋めず、一度目を乾かして
その上に重ねて埋めるようにする)拭き取り液で周りをきれいに拭き取る。

F 下塗り研ぎ
数日間乾燥させた後、埋めた部分を器の正確な形に削って調整する。
(道具はヤスリ、サンドペーパ、砥石、ルータなどを使う)
G ひび(にゅう)の補強
本漆の「本漆薄め液」40%入れて粘度を落とし、ひびの部分にしみ込ませるように
塗る。両面を一気には塗らず、片面からだけ塗り、半対面まで染み浸み込ませる。
残る漆は水に濡らして絞った綿布で拭き取る。
水で拭き落とせない場合は「本漆薄め液」を使って拭き取る。
その後、必要に応じて鎹(かすがい)を打ち補強する。
H 中塗り
本漆と適量の薄め液をパレットに配合し、面相筆で中塗りを施す。
(継いだ部分、欠け埋めした部分、ひびの部分すべてに塗る)
I 中塗り研ぎ
中塗り面を研ぐ(道具は彫刻刀、サンドペーパ、砥石などを使う)

J 角粉磨き
「落とし」と「下塗り研ぎ」「中塗り研ぎ」の工程で、器にキズがついた場合は
サンドペーパと「角粉」を使って磨き、きずを落とし、艶を戻す。
陶磁器とガラス器の場合ハサンドペーパの240番、400番で空磨き、
800番、1500番で水研ぎし、角粉粗め、角粉細め、角粉陶器仕上げの順に
磨き上げる。
漆器の場合はサンドペーパの1500番で水研ぎし、角粉粗め、角粉細め、角粉陶器
仕上げの順に磨き上げる。(漆器の場合は強く擦ると、却って擦り傷がつくので
軽く優しく時間をかけて磨き上げる)
K 角粉の脱脂
角粉を使った場合は、その脂分を取り除く為に「器の脱脂剤」で上塗り部分を
拭き上げる。
L 上塗り
本漆と金粉50%をパレットに配合し、さらに薄め液を適量加えて「練り金漆」
を作り、継ぎと欠けとひびの部分を、蒔絵筆で丁寧に描く。
(特に細い線を描く場合は、極細の「面相筆」を使用する)
(漆が古くなり、だまが出来るようになったら「吉野紙」で濾過して使用する)
M 蒔絵
半乾きになった頃、金泥か銀泥、白金泥を毛棒か真綿にて蒔く。
(半乾きとは指で触っても、本漆が指に移ってこなくなる状態で、夏場は早く
冬場は遅くなるので、別の場所に試し描きした漆を触ってタイミングを計る)
N 乾燥
使用までには、充分な乾燥期間(1ケ月以上)をあける
金継ぎしたものは、陶磁器の扱いではなく、うるしの器として扱う。
作業後の後始末
汚れた手板、ヘラ、パレットなどは「筆、道具の洗浄剤」で洗い、乾燥させる。
蒔絵筆は洗ったあと、乾かないように「筆保存液」を付けて保管する。