●寄稿 何を考えてるの!?? 

 母親は82歳、現在要介護3です。アルツハイマー型認知症と診断されています。7年前に夫を亡くした頃が発症初期でしょうか、物忘れが確認できるようになっていました。

 世間からは、しっかりした女性とみられていて、近所の人への受け答えはとても認知症とはわからなかったと思います。しかし、一緒に暮らす家族は、日頃の動向から、もしかしてという気持ちがあり、専門医の受診を考えましたが、本人は当然ですが、病院受診など聞くはずもありません。嫌がっていたのをなんとか説得というか、無理やり連れていったかもしれません。総合病院の専門外来を受診しましたが、担当医師がいきなり長谷川式簡易スケールをやり始めました。まだ、軽度の時期でしたから、本人は自分が何をされているのか感じ取り、本人のプライドが傷つけられ、そこで一旦医療と切れそうになりました。受診後、母が部屋で一人泣いていたのを覚えています。

 それでも、受診は必要と考えたので、通院しやすい、気軽に門をくぐれるクリニックに繋げることができ、通院することができ ました。それ以来、本人も嫌がることもなく、定期受診をするようになり、服薬も家族管理ですが、出来ています。

 早期の受診と服薬は大事だと思います。その際、医師との相性も重要な要因となります。医療が傍にあれば、医療の管理の下、先生からの生活面でのアドバイスも期待でき、一方で、安心して福祉サービスの利用を進めていくことができます。医療とサービスの両輪が揃うと家族の安心感も高まります。

 現在も同じクリニックに受診しています。先生から母に何か困ったことはありませんか、と聞かれますが、受け答えは決まっています。「何も苦労はありません」。先生の前では、今も昔のしっかりして頑張っている自分がいるのでしょう。 
(旅の宿)