先日、新今宮のフェスティバルゲートに立ち寄りました。以前は人気を博して
  
  いたこの施設も今はすっかり人気を失い、飲食店などもかなり閉鎖してしまっ
  
  ています。夜に7階の映画館からエスカレータで降りていくと、階によっては
 
  暗くて怖い位です。又、中小企業家同友会の会合でよく利用する阿倍野ベルタ
 
  は今や相当数のテナントが撤退して、寂寥感を感じるような状況ですし、心斎
 
  橋のクリスタ長堀も先日大阪ドームと共に債権放棄を申請している有様です。
 
  
  かつての大阪は先進的な都市開発を手がけてきました。中心部を南北に貫く御
 
  堂筋や大阪南港の埋め立て事業、東西南北に発達した地下鉄。しかし、バブル
 
  の頃に過大な需要見通しで計画された巨大な箱物はバブル崩壊後も見直しを行
 
  なわずに建設されていき、多額の借金を重ねて次々に破綻しています。大阪市
 
  自身も今や倒産寸前です。こうした放漫経営?のツケは誰も責任を取ることな
 
  く、若い人達に受け継がれることになるのです。
   
  
  私は大阪に生まれ、大阪に育ちました。車の運転マナーの悪さや服装の派手さ
 
  など「うーん」と首をかしげたくなるところも確かにありますが、大阪という
 
  街は大好きです。そしてこの街で生まれ、育ったことを今でも誇りに思ってい
  
  ます。しかし、これから生まれてくる子供たちが大きくなった時、大阪のあち
  
  こちに存在する巨大な「不採算施設」を見てどう思うでしょうか。今の私と同
  
  じように大阪に生まれたことを誇りに感じてくれるでしょうか。
  

  そうしたことを想像したとき私は非常に哀しい気持ちになります。もうこれ以
  
  上問題を先送りするのはやめるべきです。カルロス・ゴーン氏が日産の再生で
  
  示してくれたように、正しい選択さえすれば痛みはあっても道は開けるのです。
  
  もともと大阪は「お上がなんぼのもんじゃ」という自主、自立の精神に富んだ
  
  商人の街でした。その精神が今こそ大事ではないでしょうか。大阪を50年後
  
  の若い人たちも「好きやねん」と言える街にするために我々現在の大人は責任
  
  を果たすべきです。もうあまり余裕は残されてないと思います。


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