現時点(2004年)では、大物迷蝶と言っても許されるでしょう。アカネアゲハです。
この2001年10月6日〜7日はクロマダラソテツシジミの発生がここ与那国島で確認されていた事と、連休で
あった事が重なり、全国各地からやって来た多くの蝶屋さんで賑わっておりました。
与那国島に到着した皆さんは、とりあえずクロマダラソテツシジミを狙いに西崎や南牧場に向かわれま
す。
このときのクロマダラソテツシジミは、それぞれの場所で大量に発生しておったので、ものの2時間も採集
すれば、たいがい飽きてきます。そこで、他の迷蝶を狙いに島内各地に散らばって採集を行うことになりま
す。
私も他の迷蝶狙いに切りかえ、先ずはシロウラナミシジミでも押えておこうと立田神のポイント行ってみ
ました。が、既に何人かの蝶屋さんが入った後らしく、ウコン畑が少し荒れているだけで、シロウラナミシ
ジミはさっぱりおりません。
「まあ、これだけの人数の蝶屋さんが島に入っておれば、仕方ないわな」
と思い、坂道を農道の方に下って歩いていると、背後から私をかすめ、前方のハイビスカスの生垣に向かっ
て飛ぶ、黒い、いや、紅くて銀青色が印象的なアゲハが視界に入りました。反射的に追いかけましたが、皆さ
んご存知のように逞しい飛翔力を持つPapilioを後追いでネットインすることは、ほぼ不可能です。
従ってこのときは逃げられてしまいました。
全力疾走した事とアカネアゲハだと認識した事で、心拍数は一気に極大。しばらくそこで立ちすくしてし
まいました。
落ち着いてくると同時にJAL予約センターに携帯電話で、10月7日の与那国→石垣便を10月8日の便に変
更する旨を連絡、滞在を1日延長し、必ず採ると決意しました。
明くる10月7日は朝から他のポイントへは行かず、この立田神に張りつき、ひたすらアカネアゲハを狙い続
けておりました。
立田神は有名ポイントであり、なおかつシロウラナミシジミも出ているので、蝶屋さんが入れ替わり頻繁
にやって来られます。中には何度もお見えになる方もおられ、その度、張りついている私に出会うものです
から、
「ず〜っと、ここにおられるようですけど、何かイイモノでもおるのですかな?」
と訝しげに尋ねられたりします。
「アハハハ、いや〜私、この場所が好きなんですわ」
とか言って適当にごまかしておりました。
そうこうしているうちに、上に貼った個体を何とかネットインし、とても感動いたしました。
実は、この後のお話の方がけっこう面白いのですが、Web上で公開するには、チョッと問題があるので、
ここまでにしておきます。
なお、上に貼り付けた個体は、蝶研フィールド Vol.17 No.4(190)Apr. 2002 p.30に発表済みです。
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