2009年の近況集14

  • 2009年07月18日

     兵庫県北部のお話しで中断してしまいましたが、07月09日の続きです。

     具体的なお話しに入る前に、ネット用の小物のご紹介です。

    ←は、長竿にフレームをネジ込むとき、間に入れるゴムパッキン(水道用19ミリパッキン) と丸座(ステンレス製M8φ用丸座金の内径を12φに拡大加工品)です。
     これらを入れると、フレームがゆるみ難くなります。

     それでは、京都市とその周辺限定、「キマリンの採り方」に戻りましょう。

    4:直径55cm枠に60cmメッシュネットの組み合わせがベスト
       かなりたごまる(仙台方面で使われている言葉です)のではな
       いかと心配していたのですが、直径55cm枠に60cmのメッシュ
       ネットはジャストフィットでした。
       ただ、予想通り外周部分はだぶつくのですが、直径とネットの深
       さとの比率がちょうど良くなり、返してから手元に引き寄せる間
       の不安感が劇的に減少しました。
    5:ネットの色は目立たないグリーン系がよろしい
       これは、キマリンに対してではなく、人間に対してできるだけ目立
       たなくする為であります。
       蝶屋さん密度が他の地域に比べ、かなり高いと推定される京都
       市内(ホンマにびっくりするような場所でネットを振っています)
       で採集・探索行動をしていることから、目立たない色のネットを
       使用しなければなりません。
    6:スマイル(マクドか!)
       地元の方々には、伏見屋での接客中でも滅多に出さない笑顔
       で先制の「こんにちは!」です。キマリンを気持ち良く採る為に、
       これは必須です。
       そして、採集・探索行動に興味を持たれ、話し掛けられたら、め
       んどうがらずに会話しましょう。
       キマリンを採るには、人間関係が第一です。

     特に6の理由から、「叩く」という行為が必然的にできなくなってしまいます。
     私の「叩き下手」の原因は、ここから来ている訳ですね。

  • 2009年07月21日

     妄想は、妄想のままで終わらせるのか?
     いや、現実化してこそ、妄想ちゅーぅもんやろ!
     と、訳のわからない理論を構築し、この海の日を含む連休に、行ってきたのは、


     ↑ここ、隠岐の島前は西ノ島でございます。

    それにしても、団塊の世代(推定ですが)のおばさん5人グループというのは、最悪ですな。
     ・声がデカイ。
     ・疲れを知らずに喋り続ける。
     ・時間の感覚が無い。
     ・自分達だけが泊まっていると思ってる。(他人の存在に気付かないフリをしている)
     ・何処に売っているのか知らないが、金ピカのスニーカーを履いている。(これは関係ないか…)

    薄い壁の民宿で、隣の部屋にこのようなグループがやって来ると、いくら私でも「おやすみ30秒」 という寝つきの良さを発揮できません…。

  • 2009年07月23日

     そもそも妄想の根源は、昨年09月中旬に訪れた知夫里島から見た
    ←この風景です。(画像は、昨年UPしたのと同一)

     海をはさんで向かい側にあるのは西ノ島。
     この画像では判り難いですが、肉眼で見ていると、正面に見えている斜面が、 とても状態の良い草原だと思われました。また、奥の方にも状態はともかく、 草原があるように見受けられます。

     「一応、西ノ島としてオオウラギンの記録はあったハズ。 こうして見ると、あそこの草原には居ってもおかしくないで…」
     と、この頃から妄想の炎に火がついた訳です。

     出発の前日にはクルマに自転車の積み込みも完了。「早く5時にならんかなぁ〜」 と仕事に気合の入らない出発当日の土曜日、お昼前にN氏から携帯に着信。
     「エェ〜、西ノ島?誰も行かへんし、案外居るかもしれんしぃ〜。それに場所が場所だけに、 大陸からのオオヤマミドリさんの可能性もあるかも…」
     もう、妄想の炎に油が注がれ、メラメラと燃え上がり状態です。

     ところが07月19日の西ノ島はこの画像からお判りいただける通り、 小雨混じりの強風で、標高の高い部分には全て雲がかかっております。
     これではヒョウモン類はおろか、各普通種さえも、なかなか飛びはしないでしょう。
     到着早々、思いっきり萎えてしまいました。

  • 2009年07月25日

     引っ張ったり、餅を搗く割りには諦めの早い私なので、このような天候の場合、 普通だったら採集行動は絶対に起こしません。
     しかしながら、せっかく西ノ島まで来たことですから小雨降る中、 起伏のある海岸沿いの道路を自転車で走行。
     さらにこの道路案内板の先、標高約240m付近まで、こぎ上がらなければなりません。 海岸の標高0m付近からなので、約240m正味の標高差なんですよね。
     しかも悪天候であることから、

     「せっかく必死こいて上がっても、なぁ〜んにも飛んでへんやろな」

    と思うと、ペダルを踏む足にも力が入りません。
     事前に地形図の読みから、自転車での島内移動は、体力的にハードで無理がある事は解っていたのですが、 レンタカー料金のあまりの高さに納得できず、またしても自転車を手荷物としてフェリーに乗り込んだ訳です。
     因みにレンタカー料金は軽自動車で11000円/24時間+免責保険料1000円/1日。 しかも、ガソリンノンフリーで20円/1kmと計算するというもの。 なんぼ離島でもあんまりです。

     そして島の上部、地形図上では荒地マークが表示されている辺りに到着すると、
    ←こんな感じです。
     この画像ではイマイチよく判りませんが、どこも草の背丈がかなり短く、 シバ草原に近いような場所ばかりで、目的のヒョウモン類が好むような、 膝丈以上の草が生え揃った草原は全く見当たりません。
     とってもイヤな予感です。
     小雨が降っていることから、当然のごとくヒョウモン類は飛んでおらず、 ジャノメチョウだけが信じられない程の個体数で至る所に見られます。 (居るものであればオオウラギンなんて雨の中でも平気で見つかるモノですが…)

     「アカンな…」

    と、一言呟いて自転車に跨りました。
     皆さま御期待通りの展開になって参りましたね…。

  • 2009年07月27日

     あと1回、隠岐島前西ノ島での行動について書く予定ですが、 今日は昨日行ってきた滋賀県大津市の事を書いておきましょう。

     う〜ん、それにしても居ませんねぇ、ウラナミジャノメ。
     2004年に初めて訪れたときは、複数頭採集できるような状態。2005年は訪れていないので不明。 2006年は1雌を撮影しようとして追いかけた挙句、撮影も採集もかなわずで、目撃したのもこの個体のみ。
     ただ、この2006年に気になったのは、同所的にヒメウラナミジャノメが見られた事。元々居たのならまだしも、 新たな侵入であった場合、ウラナミジャノメの生息に悪影響が出るのではないかと強い懸念を覚えました。
     以降、2007年は2回訪れていずれも目撃すらなく、2008年は訪問せず。 そして今年、2009年07月26日にも全く見られませんでした。
     かなり厳しい状況だと思います。

     ところで、2004年のS誌における当地のウラナミジャノメの発表は、 かなりのインパクトを一部の蝶屋さんに与えたと思います。
     「これは、採っておかねば…。」
    こう思った蝶屋さんは、私だけではありますまい。
     S誌には、その生息地域について、字名等の狭い範囲を特定できないような表現で書かれていたのですが、 同時に生息環境の記述もあった事から、「採っておかねば」と思うような蝶屋さんにとっては、 ポイントマップが示されたも同然でした。
     ということで、当地を訪れて探し始めた蝶屋さんが、最終的に辿り着くのは、 ほぼ同じような場所だったと推定されます。
     結果的に、発表された方の意図に反して、まさにピンポイントと言える狭くて脆弱な生息地に、 採集者(私も含めて)の集中を招いた訳です。

     見られなくなった原因を、全て採集圧に求めるのは早計だと思いますが、 あの生息環境からすると、我々の進入が、何らかの負の影響を与えたと考えるべきだと思います。
     実際、「居た蝶が居なくなった現実」を目の当たりにするのは、けっこうイヤなものです。
     しかも、客観的にみて、その原因の一部に自分自身が関わっている訳ですから、なおさらです…。

  • 2009年07月29日

     隠岐島前、西ノ島のお話しに戻ります。
     明けて07月20日は曇り時々晴れのお天気。これなら各種の蝶が飛び出してくれるだろうと期待が持てます。


     先ずは↑このクロシジミ。「居そうだな」と思ったところにキッチリ居てくれました。
     セオリー通りの所に素直に居てくれて、すぐに見つけることができたのは良かったのですが、 あまりにも簡単過ぎ。もう少し苦労させてくれた方が面白かったのに…。
     ぜいたくを言ってはいけませんね。
     対馬では極珍だそうですから、島ラベルの本種は事実上、ここ西ノ島と知夫里島でしか撮れない状況であることから、 けっこうエエモンやと思います。
     それから「対馬産には微弱な変異がある」と標準図鑑に記述されていましたが、この画像で見る限り西ノ島産の個体は、 本土産との差異があるようには見えませんね。

     さて、本来の目的種、オオウラギンヒョウモンのことですが、
       「おらん!!」
    と言い切ってもよいような感触でした。
     今回、探索してみた緩やかな斜面に在る草原は、何処でもその草丈が短く、本種の好むような草原ではありませんでした。 まあ、膝上ぐらいの背丈の草原も、あるにはあったのですが、そこは面積が狭く山ゴマが生息するような急斜面で、 本種の生息できるような環境ではありませんでした。

     オオウラギンヒョウモンはともかく、ウラギンスジヒョウモンならば採れるだろうと思っていたのですが、 これがまた、とてつもなく少ない…。
     採集できたのは、激しく汚損しているので普通なら絶対リリースするような2雄だけでした。
     結果的に目撃できたヒョウモン類はウラギンスジヒョウモンの1種のみ。そして不思議なことに、 最近、どこへ行っても見かけるあのツマグロヒョウモンが全く見られませんでした。
     「ツマグロヒョウモンの居ない草原」もしかするとこれが本来の姿なのかもしれませんが、 このときたまたま見られなかっただけで、時期をずらすと、いーぱい居るのかも?
     また秋にでも訪れて、確認してみようかな。