おそらくはメーカーの量産品としては初めての本格的な上面発酵のエールだ。「Z」とは異なり、ちゃんと上面発酵らしい香りやきめ細かな泡立ち、酸味なども再現されていた。ただ、英国の本格的なエール(たとえばバス社のペールエール等)に比べるとそのどれもが遠慮がちで、日本人の味覚を意識しすぎたのか、エールらしさに乏しい。加えて日本ではビールと言えばなんでもキンキンに冷やして飲む習慣があるので、本来常温に近い温度で飲むべき上面発酵ビールの味わいが殆ど理解されなかったのも悲劇であった。アルコール度数6度というのを前面に出しているあたりにもメーカーとしての迷いがあったのだろう。
個人的にはこれがアサヒの最後の意欲作、という気がする。