アサヒがスーパードライに続けて放った意欲作。

 通常の前発酵・後発酵の他に、瓶の中へ生きた酵母を入れてもう一度発酵させる、「3段階発酵法」を採用。酵母が瓶の中に残っているという当時としてはめずらしいビールだった。

 そのためか、コクがありながらも飲み口はマイルド。それでいてキレもあって味もしっかりしているという大変バランスのとれた美味しいビールであった。

 事実、ビール好きである作家の椎名誠氏や嵐山光三郎氏もこのビールを高く評価している。

 また、「びいるじゃあなる」主催の、日本の全ビール飲み比べの企画においても、2度も最高点を獲得して王者に輝いたのがこのビールだ。

 だが、スーパードライのような爆発的なヒットにはならなかったせいか、残念ながらわずか3年で姿を消す。

 思うにびん内発酵・熟成というのは手間もかかるし管理も難しい上に、流通してからもびん内に酵母が残っているので、通常のビールよりも劣化しやすいというハンディがある。薄利多売で連続して売れ続けていなければ、採算が合わなかった可能性が高い。

 時代に合わなかった、ということもあるのだろうけれど、その後遺症でか、これ以降のアサヒの作るビールがすべて薄味のすっきり志向になってしまったのも誠に残念な話である。

 

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