サントリーがそれまでの「生」に変わって主力に据えたビール。麦芽100%を主力製品にする、という発想は当時も今も他メーカーにはなく(オールモルトビールのシェアはビール全体から見ると低い)、敢えて本格ビールで勝負に出たサントリーの英断には拍手したい。
ただしモルツそのものはオールモルトにしては軽くてあっさりした味わいで、麦芽100%らしくないビールではある。
しかしスーパードライ発売前後の商品で、その後の過酷なビール競争を勝ち残って今も売られているのは、当の「スーパードライ」と「一番搾り」と、このモルツくらいしかないのだから、その点で、息の長い看板商品に育て上げたメーカーの努力は立派なものである。