ニュートーキョー数寄屋橋本店

 老舗ビアホール、ニュートーキョーが創業70周年を迎え「限定ビール」を供している、という情報を聞き付け、ホームページを調べたところ、その限定ビールは「完売間近」と出ている。

 そこで台風が近づいているにもかかわらず、あわててニュートーキョーへ出かけて行った。ニュートーキョーはチェーン展開しているが、わざわざ足を運ぶならやはり数寄屋橋の本店だ。ここはB1〜2階及び6〜9階がすべて飲食店という「くいだおれ会館」みたいな建物なのだが、レンガ造りの壁にステンドグラス、重厚な木のテーブルと椅子の本格ビアホールの気分を堪能するならば、迷わず1階である。

 限定ビール「サマープレミアム」は「昔ながらの製法にこだわった麦芽100%ケルッシュタイプ」の無濾過であるとか。地ビールメーカーがつくりそうなビールだ。「ケルシュ」は上面醗酵ながらも低温熟成するタイプのビールで、色は黄金色。本来はドイツのケルン地方で作られたもののみにこの名が冠せられるので、あえてケルッシュ「タイプ」としたのかな。

 さてその問題のビール、値段は小グラス300ml630円。中グラス470ml987円と、決して安くはない。飲んでみるとまあ悪くはないが、ケルシュらしさにやや欠ける。まるでケルシュとラガーのハーフ&ハーフみたいな中途半端な味だ。概して日本人の中高年はビールに関しては保守的で、ラガー以外のビールをなかなか受け入れてくれない傾向があるので、こんな感じにさぜるを得なかったのかもしれない。

 そこでこんどは大ジョッキに切り替える。ビアホールの中には「大ジョッキ」と称しつつも、中ジョッキ程度の容量のものを出す店も少なくないが、ここニュートーキョーの大ジョッキは810ml924円と、堂々のサイズと値段である。

 ビールはサッポロビール。ヱビスもあり、黒ビールもヱビスの黒だ。サッポロライオン同様に、ヱビスとヱビス黒をハーフ&ハーフにした「ヱビス&ヱビス」もある。

 ニュートーキョーと言えば黒豚肉を薄くたたいて揚げた、巨大なカミカツが有名だが、概してつまみはビアホールらしいボリュームがあるものが中心だ。

 最近の洒落たビアレストランも悪くないが、このような昔ながらのスタイルの店がビアホールの聖地とも言うべき銀座で長く生き残っていてくれることはうれしいことである。

 願はくは、80周年、90周年、そして100周年と店を維持して、その記念の度に特別な限定醸造ビールを飲ませてほしいものである。

 もっとも、こっちがどこまでそれに付き合えるか怪しいところではあるが(2007.7

 

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