ニュートーキョー有楽町電気ビル店

 数寄屋橋に威容を誇っていたニュートーキョービル。この「ビア・スポット探訪」のシリーズでも、創業70周年である2007年の時に取り上げ、「80周年、90周年、そして100周年と店を維持して、その記念の度に特別な限定醸造ビールを飲ませてほしいものである」と書いた。その願いもむなしく、今年2015年の3月8日で営業を終了した。再開発のためだとか。嗚呼。

 閉館前にもう一度だけ足を運びたかったが、今はそれもかなわない……。

 などと感傷にひたっていたら、ニュートーキョーは近くに移転して営業を続けているというウワサを聞いたので、さっそく出かけてみた。

 

 場所は以前の本店があったところから線路の反対側。有楽町電気ビルの地下1階だ。明るい表通りから裏の地下に降りていくのがなんとも……。

 店はこじんまりとしている。レンガを使って以前の本店の雰囲気を出してはいるが、あまり広くはない。

 メニューは名物のカミカツをはじめとするおなじみのつまみ類があるし、ビールもサッポロ生やヱビスの他にビアホールでしか飲めないエーデルピルスがあるのが嬉しい。何故かアサヒのスーパードライプレミアムもある。ニュートーキョーってサッポロ系列じゃなかったっけか?

 

 店内に奇妙な形をしたものがあるので、よく見てみたらそれが「ビヤタワー」であった。画像の通り、注ぎ口のついたピッチャーである。面白いので早速注文。

 画像でわかると思うが、このビヤタワーに注ぐ時にかなり泡が立ってしまっている。だから再度ここからジョッキに注ぐとやや気の抜けた感がないでもない。

 だが、巨大なタワーを見ながらビールを自分で注ぐのは楽しいし、中ジョッキで6杯は飲めるからこれで3,900円(サッポロ生)なら納得である。

 

 以前の本店を模した造りなのであるが、なんだか全体的に落ち着いた雰囲気で、あまり騒いでいる客はいない。

 かつての本店にあったような熱気と喧騒はない。

 失われたものはもう戻らない、ということか。

 すべて美しいものは記憶の中だけにある……。(2015.3

 

 

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