アサヒスカイルーム

 アサヒの吾妻橋工場の跡地に立てられた本社ビルと「フラムドール」は、今や隅田川のランドマークのような存在である。

 一時は経営不振のために売却したこの辺りの土地を、アサヒはスーパードライのヒットによって買い戻し、そのものズバリのビールを注いだジョッキ形のビルと、金の炎(どうみてもウ○コにしか見えない)のオブジェがたなびくビアホールを建設した。

 当初ビアホールの「フラムドール」は、フレンチ風のおしゃれで高い料理を食しながらビールを飲むコンセプトで営業し、一方で昔の吾妻橋ビアホールを懐かしむ客のために敷地内に「江戸前ビアホール」という別の店を営業していたのだが、高級フレンチスタイルは受けなかったようで、今はフラムドールも普通のビアホールとなっている。

 ところで今回足を運ぶのはこのどちらの店でもない。

 ビール形の本社ビルの方である。

 ここは基本的にオフィスビルであり、入り口にはガードマンがいて、アサヒの社員が出たり入ったりしている。だがこのビルの最上階の「泡」の部分にはいくつか飲食関係の店舗が入っているので、一般の人も出入りが出来るのだ。

 店舗の中ではイタリア料理店が有名らしいのだが、そちらの方は敷居が高いので今回はパス。同じフロアにある喫茶ラウンジの方に行く。

 ラウンジ「アサヒスカイルーム」は基本的には喫茶店なので、飲み物の種類は少なく、ビールはアサヒのスーパードライか同社の黒ビールのみで、つまみ類も本当に軽いものが数種あるだけだ。店内はこぢんまりとしていて、はっきり言って狭いくらいである。

 だが、ここは眺望がいい。なにしろ最上階で近隣に高い建物がないのだ。

 特に夜が美しい。

 隅田川にかかるライトアップされた橋。その横の高速道路の車の灯りの列。国際通りのイルミネーション。淡い光に浮かび上がる浅草寺や五重塔。

 窓にぼんやりと映し出されるそれらの夜景を眺めながら飲むビールは格別である。

 本格的に飲む、と言うわけには行かないけれども、待ち合わせや、ちょっと一休み、という時には気分のいいラウンジなのだ。

 もっとも閉店が9時、ラストオーダーが8時30分なので、あんまりのんびり夜景を味わっている訳にはいかないのだけど。浅草は夜が早いね。

 ところでこの本社ビル、外観だけかと思ったら、入ってみると、中も至るところ金色なのには驚かされる。エレベーターの中まで金色で、まさに「ビールの中」に入っていく感じなのが楽しい!(2004.3)

 

  ビア・スポット探訪メニューに戻る    トップメニューに戻る