「深川宿(富岡八幡宮境内)」
気温の高い地域に住む友人が、「何で東京はあの程度の気温で『猛暑だ、猛暑だ』などと騒ぐのだ?」と訝っておった。もっともな疑問ではあるが、近年の東京の暑さは、ちょっと質が違ってきているように思う。
昔は、いくら夏が暑いといっても、朝夕は涼しかったし、夜だって冷房なんかなくてもちゃんと寝られた。
ところがここ数年は違う。いわゆるヒートアイランド現象とかで、ほとんどの地面をアスファルトやコンクリートで覆ってしまったためか、そこに熱が蓄積され、24時間体制で暑いのだ。それに対抗すべくどこでもガンガンエアコンを利かすから、外に熱い空気と湿気とが大量に放出され、さらに悪循環となっている。
よって、都心になればなるほど、この暑さは強烈になっていくのである(2004年7月には大手町で最高気温39.5度を記録、同じ日に足立区では42.7度を記録)。
そういう訳で、こういう時は、ちょっと都心から離れて、下町散歩としゃれ込もう。
東京の深川は、隅田川を渡ったいわゆる「川向こう」ではあるが、この辺りは江戸情緒の名残りが感じられる、古くからの下町だ。
深川不動尊や深川八幡といった、古い町の面影を残した参道や境内を歩くと、コンクリートやアスファルトだらけの都心に比べて確かに涼味が感じられる。
さて、そんなふうに深川八幡の境内をぶらぶら歩いていたら、「和風ビアガーデン」と書いた看板を見つけた。
近づいてみると、境内の一角に「深川宿」という深川めしの専門店があるのだが、そこが縁台を店の前に並べて、かき氷やビールを供しているのであった。
夕方、店が開店すると、焼き鳥や冷奴、もろきゅうといったおつまみ類も注文できるのだが、この日はまだ支度中で、ビールのセットとカキ氷しかない。が、散歩途中にのどを潤すのならばこれで十分だ。
ビールのセットは「夏セット」と言い、中ジョッキ・枝豆・あさり串焼きのセットで500円だ。
もともとが深川飯の専門店であるためか、あさり串焼きが美味しい。
神社の境内のため、緑が濃く、セミしぐれが盛んだ。
こういう雰囲気で飲むビールは格別だ。いいですねえ。ニッポンの夏。
ちなみにカキ氷もとてもウマかった。(2004.7)