ハートランド

 「ハートランド」とは、かつて、キリンが六本木で営業していた、同社のハートランドビールを飲ませるビアホールである。この店は一度1990年に閉店したのだが、その後2003年に六本木ヒルズに再オープンした。

 たまたま六本木ヒルズに足を運ぶ機会があったので、その復活なった「ハートランド」に行ってみた。

 場所はわかりにくい。六本木ヒルズというゾーンそのものが、どこに何があるのかが非常にわかりにくいのであるが、ハートランドの場所はフロアガイドに出ているにもかかわらず、見つけるのが困難であった。

 やっと見つけた入り口は、「え、これが?」というほど、こざっぱりとしている。

 中に入ると、これまた「え、ここが?」と思えるほどこぢんまりとして、質素な装飾の店内。

 

 以前のビアホールとは異なり、新しいハートランドは、スタンディング(要するに立ち飲み)中心のビアバーなのだとか。

 そのため、店内にはカウンターの他に、立ち飲み用の小さなテーブルがいくつかあるのみで、椅子はない。ただ、隅にはベンチソファーがあって、丸太のテーブルが添えられている。

 
 さて、バーということで、さまざまな酒瓶がカウンターの奥に並び、カクテルなども供しているらしいのであるが、ハートランドに来たらハートランドビールを飲まなければ話にならない。

 注文すると、驚いたことにビンを一本出してそれで終わり。ラッパ飲みしろということらしい。あわててグラスを頼んだら、ちゃんと出してくれた。

 見ていると、外人さんがハートランドを注文して、ビンのままラッパ飲みしている。なるほど、この店はビールはグラスを使わずラッパ飲みスタイルで飲んでください、ということらしい。でも何故ラッパ飲みしなければならないのか必然性が不明。なぜなら基本的にはビールはグラスに注いだ方が美味しいのだから。
 スタイルの良いしゃれた人がラッパ飲みをすれば、それなりに絵になるということなんだろうか(スタイルの良いしゃれた人だったら何をやっても絵になるか)。

 

 要するに、場所柄か、飲み方もひとつのおしゃれのスタイルとしてこだわる、ということなのだろう。

 ハートランドではビンを颯爽とラッパ飲みするのが絵になるようなセンスの持ち主が行くべきところ、ということなのであろう。
 その割には店の奥のカウンターの下に、ハートランドビールのケースが客からも見える位置に積み重ねてあるのは理解に苦しむ。これもおしゃれのスタイルなのか?

 また、実売価格250円程度のハートランドビールの小瓶(330ml)を、そのままデンと出して500円とるというのもなんだかなぁ、と思う。

 

 そういう訳で、そのようなおしゃれのセンスを持ち合わせておらず、やっぱりグラスを頼んじゃう当方には、ちょっと縁遠い場所であったかもしれない。(2005.3)

 

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