「ライオン銀座七丁目店」

 サッポロビールの直営ビアホールとして、あまりにも有名なライオン。

 そのライオンチェーン店の中でも、この銀座七丁目店はひときわ存在感に満ちている。

 昭和9年に出来たという建物は、一時期は改築の噂もあったのだが、うれしいことに計画が見直されたらしく、2004年現在も今までどおりの店舗で営業を続けている(そもそもライオンがこの地でビアホールの営業を始めたのは明治32年だとか。すごいね!)

 昭和2年建造の交詢社ビルにあった「ピルゼン」が、2001年9月にビルの解体とともに惜しまれつつも閉店してしまった今、このライオン銀座七丁目店は古き良き時代のレトロな銀座を味わえる数少ない貴重な空間である。実は昭和53年に一度改装しているらしいのだが、1階のホールには余り手を加えず、昭和初期の雰囲気のままだとか。

 そういう訳で、2階から上もライオンの店舗で様々なスタイルでビールが飲めるのだが、ここは迷わず1階のホールへ。

 店内は大理石とタイルで彩られており、黒光りする高い天井が歴史を感じさせる。

 正面にはガラスモザイクの大壁画。完成には3年の歳月を費やし、時価数億円といわれているとか(店内にあったハガキにそう書いてあった)。

 確かにこの重厚な雰囲気は、今の建築物では出せないだろう。ライオン七丁目店の荘重さに比べると、昨今の六本木ヒルズやら丸ビルやらの新造建築物がまるで映画のセットのような安っぽさに思えてくる。

 さて、ビールだ。サッポロのチェーン店なので当然ビールはサッポロ。

 一番ポピュラーなサッポロ生の他に、ヱビスがあり、さらにヱビス黒、エーデルピルスや樽詰めギネススタウトもある。

 昨年ヱビス黒が加わったことにより、今まであった普通の黒生は姿を消したようだ。ヱビスとヱビス黒をハーフ&ハーフにした「ヱビス&ヱビス」なんてのもある。

 はっきり言って値段は高め。普通の生ビール大ジョッキが955円。ヱビス黒の大ジョッキだと965円する。

 つまみ類も概してちょっと高い。平均して一品千円前後というところか。

 おすすめはローストビーフ。日曜祝日は3時、土曜・平日は5時半にならないと焼きあがらないのだけれども、出来立ての美味しさは格別。

 昼から営業しているので、夏場の土日や祝日などは、日が高いうちから混んでいる。明るいうちからたくさんの人がジョッキ片手ににぎやかにビールを飲んでいても、場所が銀座だとそんなに違和感がないから不思議だ。いや、これは酒飲みの偏った見方かな(笑)。

 年配の老夫婦などが仲睦まじくビールを飲んでいるというのも珍しくない。この店はそういう風景が実に絵になる。あんな年のとり方をしたいものだ。

 混みあってくると順番待ちもしばしばであるが、回転は割りに早いのでそんなに待たされることもない(ちなみに私が過去ビアホールの順番待ちで一番長く待たされたのは旧恵比寿ビヤステーション閉店の日の2時間!)。

 やはりサッと入ってガーッと飲んでサッと出る、という粋な飲み方が銀座には似合うのだろうね。(2004.6)

 

  ビア・スポット探訪メニューに戻る    トップメニューに戻る