「日本橋三越ビアガーデン」
忘れたころに行きたくなる場所。それがビアガーデンだ。以前に行ったのは、いったいいつだっただろう?
ビアガーデンには屋上タイプと庭園タイプがあるが、何と言っても昔懐かしいのは屋上ビアガーデンだ。
新聞に、日本橋三越の屋上ビアガーデンの広告チラシが入っていた。
男性 3,601円 女性 3,001円 中・高校生 1,501円 小学生 1,001円 3歳以上未就学児 501円(3歳未満無料)とえらく細かな価格設定だが、これで飲み放題・食べ放題だという。その食べ物も、「和洋中総菜(各種)・エスニック料理・焼きそば・から揚げ・サラダ・ソーセージ・デザート 他、約30種類以上」とある。うー、いてもたってもいられなくなってきた。行かずばなるまい。
当日は「まっ、いっか」と予約なしで言ったのだが、これが失敗のもとであった。
とにかく開店と同時に屋上に向かって人がドッと押し寄せ、受付になだれ込むのだが、その殆どの客が予約客なのだ。
予約をしていない客はとにかく列を作って待機させられる。その間も予約客は受付をすましてどんどん会場に入っていくので、気が気じゃない。
どうにか予約なし客も順次入れてもらえることとなり、やっと屋上へ。席は指定である。
まずはビール。アサヒのスーパードライと黒の二種のみである。
驚いたことに、かつてはバイトがやっていたようなビール注ぎだけど、今は自動ビール注ぎマシンが大活躍なのですね。
ジョッキを置いてスイッチを入れると、ジョッキがまずカタンと自動的に斜めに傾き、そこに炭酸をたっぷり含んだビールがゆるゆると注がれる。そして正位置にジョッキを戻すのと同時に、泡だけがこれまたゆるゆると注がれる。あっという間に鈍重な味ですぐに腹の膨れる不味いビールの完成だ。
口をつけると、予想通りトホホとなるほど不味い。
つまみは確かに各種用意されているのだが、まあどれもそれなりの味。
ビュッフェスタイルで、どれも自分で好きなように取れるのかと思ったら、ワゴンに乗せられたメニューは学生アルバイトらしき店員に声をかけて取り分けてもらうシステムとなっていた。それで、これは彼らの好意からなのだろうけれど、どれもてんこ盛りにとってくれるんだよね。食い盛りの若者からすれば楽勝な量であっても、オジサンにはちょっときつい分量なんだよな。
そんなこんなで、すぐに腹が一杯になってしまう。おまけにゆるゆるビールもそんなに量が飲めるもんじゃない。
食べ放題・飲み放題なのだが、時間だけを持て余す。
ただ、この日は比較的風が吹いており、それが気持ちいい。この自然の風の心地よさがビアガーデンの良さであったか。
だが、今や単に飲み放題・食べ放題ということであれば、他にもっといい店はたくさんある。
これはやはり夏の「風物詩」なのだろう。
今回、「屋上ビアガーデン」の雰囲気は充分に堪能した。だから「当分は来なくていいや」という気分になった。
ああ、そうか。前回もそう思ったからしばらく来なかったのか。なるほど。(2011.7)