キリン復刻ラガーやサッポロの缶入りラガーに影響されたのか、アサヒも昭和33年発売(アサヒゴールド自体は瓶で昭和32年に発売)の日本最初の缶ビール「アサヒゴールド」の復刻版をコンビニ限定で発売した。
特徴あるレトロなデザインは、タバコのピースや昭和シェル石油のロゴマークのデザインなどで知られる故・レイモンド・ローウィ氏であるとか。
どうせなら缶も当時の製法でのスティール缶(プルトップではなく穴あけ方式!)を再現してくれたら、と期待したが、残念ながら現在流通している普通のアルミ缶である。まあコストの関係であろう。
さて、缶の表面には細かい字で「昭和33年(1958年)、日本で初めての缶入りビール『アサヒゴールド』が発売され、その後缶ビールがお茶の間に普及していくきっかけとなりました。当時の資料を基に再現した味わいは、麦芽の芳醇なうまみを引き出した、マイルドな飲みやすさが特長です。昭和の古き良き時代を感じながらお楽しみください」と書かれている。なかなか思い入れたっぷりである。
ただ、別の部分には「当時は熱処理を実施しておりましたが、現代の技術を駆使し生ビール(非熱処理)として提供しております」とある。キリンやサッポロと異なり、アサヒは既に熱処理ビールを生産しておらず、熱処理の製造ラインがないから通常の生と同じようにマイクロフィルターを使うしかなかった、ということであろう。
副原料は米のみを使用で、コーンやスターチは使っていない。これが当時のアサヒゴールドの再現なのかどうかはわからない。また、アルコール分も5%で、当時のビールの主流が4.5%だったことを考えると、これは現代の主流に合わせたのかな、という気がする。というのも、この缶と同じデザインであるかつて発売されていたアサヒラガービールは副原料にコーンとスターチを使用し、アルコール分も4.5%だったからだ。
飲んでみるとあまりに軽いのでびっくり。昭和のビールが果たしてこんなに軽いものなのか、と疑問。キリンのクラシックラガーやサッポロラガーに比べても明らかにスッキリ感が強い。今の時代にある程度合わせた、ということはあるだろうし(メーカーによれば、購買層のターゲットは20代男女とのことなので)、熱処理ではないせいも大きいだろう。
ネットでこれを飲んだ感想のブログをいくつか読んだが、たぶん若い年代と思われる人が「これが昭和の味なんだ」というような趣旨のことを書いているのを見た。だが、「昭和ってのは、もっともっと重い時代なんだぜぇ」と口を挟みたくなってくるんだよな。