《アサヒ こだわりの極(きわみ)》〜満を持しての登場?〜

 キリン、サントリー、サッポロに続いてついにアサヒもチルド配送のビールをコンビニ限定発売(2004年6月現在地域も限定)に踏み切った。これで4大メーカーのプレミアムビールが揃ったわけである。やったね。

 ただ、アサヒのプレミアムビールは他社のそれとは一線を画している。

 まず、缶である、ということ。

 どのみち他のメーカーのチルドビールもリサイクルの利かないワン・ウェイボトルなので、ビンにこだわらず、あえて扱いの楽な缶にしたのかもしれない。しかしデザインがなんかビールっぽくなく、コンビニの棚に並んでいるのを離れて見ると、どう見ても「お茶」にしか見えないんだよな。

 さらに、他社のような麦芽100パーセントではなく、米を副原料として用いているのも特徴だ。この点、もともとオールモルトビール作りにあまり熱意を持ってこなかったこのメーカーらしい。かつてのプレミアムビールであった「スーパープレミアム」「富士山」もずっとそうであった。現在飲食店のみに卸している「熟撰」もそうである(ちなみにメーカーのホームページの「熟撰」のところにはこんなことが書いてある)。

 また、他社のように生きた酵母も入っていない。

 ということで、味の方はどうかと飲んでみたところ、香りはホップがさわやかで、味はシャープでキレがある。缶の売り文句には「コクのある味わいのためにヨーロッパ産『スカーレット麦芽』を使用」とあるが、どうもコクよりはキレを感じさせる味だ。

 アサヒはスーパードライのヒットが会社を支えてきたようなものだから、どうしてもその路線の味わいに近くなるのかもしれない。

 チルド配送ということで、鮮度の点では美味しいビールとして飲めるとは思う。ただ、わざわざ普通のビールよりも高いお金を払ってコンビニで買う意義が今ひとつ見出しにくい。他の三社のチルドビールに比べ、「特別なビール」という印象が今ひとつうすいんだよね。

 スーパードライ以外のビールの新製品がずっとパッとしなかったせいか、近年のアサヒはすっかり保守的になって「昨日のキリンは今日のアサヒ」という趣がないでもない。

 個人的には「スーパーイースト」を限定復活させてくれた方がよっぽどうれしいんだが……。

 

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