《アサヒ 初号アサヒビール復刻版》

 1129日発売の限定醸造ビール。その名の通り、1892年(明治25年)に発売された商品の復刻版である。先月の「サッポロ開拓使麦酒」同様に缶には長い能書きがあり、「当時の分析書を基に現代の原材料・設備・技術で再現いたしました」とある。このビールに「日出づる国に生まれたビールへの誇りと、昇る朝日のごとき将来性、発展性を願ったもの(メーカーのニュースリリースより)という意味を込めて初めて「アサヒビール」という名称が用いられたのだという。そしてこれがアサヒビールの社名にまでなったのだとか。1900年(明治33年)のパリ万博でも「最優等ノ金牌」を受賞したという、アサヒにとっての記念碑的なビールである。

 麦芽100%でアルコール分は5.5度。

 当時の味を再現とは言いつつも、缶にはさりげなく「※当時は熱処理を実施しておりましたが、現代の技術を駆使し生ビール(非熱処理)として提供しております。」の文字が。先月のサッポロと異なりアサヒは熱処理ビールを辞めてしまったので、工場にラインがないため致し方ないか。それでも味はくどくて重く、現在主流のすっきりさっぱり系のビールとは正反対のベクトルだ。明治の気骨ある男達の姿が忍ばれる製品である。

 

 

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