《キリン GRAND KIRIN(グランドキリン)

 6月にセブンイレブンで発売されたキリンのプレミアムビール。

 コンビニ発売で、しかもワンウェイボトル。これはかつての「チルドビール」シリーズの復活か!? と思わせる。名前もかつての「グランドエール」に似ているし。

 が、手にとって分かったのは、ただのピルスナーだということだった。上面発酵ではないし、もちろん生きた酵母も入っていない。

 キリンではこの商品を「キリンビール商品において最大の麦芽量を使用し、豊潤なコクを表現したほか、ビールの魂といわれるホップを通常の仕込み段階での使用に加え、ひと手間かけて発酵過程でもさらに漬け込むこだわりの製法(ディップホップ製法:特許出願中)を採用することで重厚感のある飲みごたえや深く香る余韻を実現しました」(メーカーのニュースリリースより)と説明している。

 容量は330mlで、セブンイレブンでの小売価格は238円。実はこれはコンビニ限定のプレミアムモルツと同じ容量・価格なのだ。

 要するに、販売数を伸ばし続けているサントリーのプレミアムモルツに対抗して競合させる商品ということか。確かにキリンのオールモルトのプレミアムというと毛色の違うハートランドがある位で、ヱビスやプレモルにコンビニで対抗できる同系統の商品というのが今までなかった。

 麦芽100%でアルコール分は6%。飲んでみると、たしかにホップの苦味がビシッと利いたビールではある。香りも抜群。ただ、「最大の麦芽量」を誇るわりには、ボディはそれほどでもなく、どちらかというと軽い味わいである。日本人好みのスッキリ系ということか。

 かつてのチルドビールシリーズは日本のビール史に残る傑作であり、そのような商品を送り出し続けていた以前の麒麟には心で拍手喝采を送り続けていた。

 もちろん、このGRAND KIRINは美味しいビールではある。だが、なまじチルドシリーズに似ているだけに、ちょっと肩すかしをくったような気分だなぁ。

 

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