キリンが国産麦芽と国産ホップを使用して作ったオールモルトのプレミアムビール。だから「ニッポンプレミアム」というわけ。キリンはかつて副原料にコメを使った「日本ブレンド」というビールをつくっていたこともあったが、あれとはだいぶ趣が異なる。
メーカーのホームページによると、「旨いものへのこだわりでは、どこの国にもひけを取らないと言われている日本。そんな日本の食文化に合う和のプレミアムビールを目指しました」ということで、麦は九州産と関東産とを、ホップは岩手・秋田・山形産のみを使用しているとのこと。麦芽のアミノ酸が同社比2倍で、旨みが深いのが売りらしい。
飲んでみると、すっきりした香りの中に、確かに旨みを感じる。ただしこれは「普及価格帯のビールに比べて」という但し書きが付く。
酒文化はそれを生み出す地域の気候・風土と密接な関係を持つ。例えば、フランスやイタリアでワインが盛んに飲まれるのは、ブドウを栽培してワインを醸造するのに気候・風土が適しているからである。
これはビールに関しても同じことで、プレミアムビールがしばしばチェコやドイツのホップを使用していることを強調するのは、そこで作られたホップの品質が、ビールに適した優れたものであるからに他ならない。
あえて「純国産」で勝負しようとしたその心意気やよし。応援したい気持ちもある。
だが、他の外国産の材料を用いたプレミアムビールや地ビールと比べると、「世界の壁は厚かった」といった気持ちにならざるを得ない。
スポーツの世界でも、体格で劣る日本人選手が外国に負けた場合、「善戦空しく」とマス・メディアはその健闘を称えることがあるが、それでもやっぱり負けは負けだからなぁ。