キリンが昭和7年に冬向きに発売したビールである。こういう歴史あるすごいビールが今でもちゃんと売られていることをどれだけの日本人が知っていることであろう。あまり知られていないとしたら残念な話である。
前々回とりあげた「一番搾りスタウト」は下面醗酵の所謂「黒ビール」であったが、こちらはきちんと上面醗酵の本格スタウトだ。
アルコール度8%。副原料こそ用いているものの、香りは豊かで味は濃厚。しっかりとした苦味の中にほのかな甘みも感じさせる。スタウトと言えばギネスが有名だが、味はそれを上回っている。これこそ「公正競争規約」に規定されている「濃色の麦芽を原料の一部に用い、色が濃く、香味の特に強いビール」というものだ。スタウトとは「stout(強い、丈夫な)」なのだ。
「一番搾り黒生」の発売で従来の「キリン黒生」が消えてしまったが、「一番搾りスタウト」が出ても、この「キリンスタウト」だけはなくなることなくいつまでも売り続けてほしい商品である。