コンビニの「サンクス」の棚で見つけた地ビール。どうやら「サンクス」及び同系列の「サークルK」でのみの販売のようだ。
「小樽」の地ビールと言えば、あの「小樽倉庫bP」で有名な「小樽ビール」のことを思い出すが、なんとこの「小樽麦酒」と「小樽ビール」とは別物なのだと。紛らわしいな。「小樽ビール」は外食チェーンである「びっくりドンキー」を運営する株式会社アレフ。一方「小樽麦酒」は「北海道麦酒醸造株式会社」。しかも調べてみたら、この商標をめぐってアレフが2006年に北海道麦酒醸造に販売差し止めと損害賠償を求める訴訟を起こしていたとか(しかも結局アレフが負けたらしい)。
そんないわくつきの小樽麦酒だが、店頭では緑缶の「ピルスナー」と赤缶の「デュンケル」の2種を販売していた。
この小樽麦酒、「オーガニック」が売りのようで、缶にも「有機麦芽使用比率50%以上」と謳っている。ただ、経験上今までにオーガニックを売りにしたビールで旨いものにあたったことはないんだよな。原材料はオールモルトで、アルコール分は5%。ホップはチェコはザーツ産のファインアロマホップ使用で、50日間の長期熟成をしているとか。
さて、実際にピルスナーから飲んでみる。注いだ時の香りはあまり感じられない。飲んでみてもザーツ産ファインアロマホップの華やかさがない。コクはまあまあだが、大手メーカー製のプレミアムビールに比して地ビールらしい特徴が殆どないように思える。これじゃ普通のビールだぞ。
続いて飲んだデュンケルも同様。黒ビールにしては妙にさっぱりしてコクがあまりない。
このメーカーは他に瓶でエールも出しているらしいのだが、なんだってコンビニでの缶販売にピルスナーとデュンケルの2種を選んだのだろう。この2種は大手メーカーも出しているではないか。
思うに、コンビニ経由で全国展開するに当たって、やはり日本人になじみの少ないビールで冒険するよりは、知名度の高いビールで手堅く行こうと思ったのかもしれない。
しかしこの小樽麦酒、350ml缶で299円もするのである。言うまでもなく大手メーカーのどのプレミアムビールよりも高い。それでいて地ビールらしさがないものが、はたして軌道に乗るものかどうか。初回は物珍しさで購入することはあっても、二回目はないんじゃないかな。
同じ全国展開の缶の地ビールでも、ヴァイツェンの「銀河高原ビール」やペールエールの「よなよなエール」の方はたまに飲んでみたいという気になる。なにしろ大手メーカーの造っていない味で、水準も極めて高いからだ。しかも、この2社のビールはいずれも小樽麦酒よりも安いのだ。
せっかくコンビニを通じて北海道の地ビールが飲めるというのに、なんだか戦略的な誤りを感じさせられるビールであった。