《サッポロ シトラスアルト》

 料理家のケンタロウという人が、サッポロの技術者と組んで「鍋で楽しむこの冬最高のビール」というコンセプトで開発したというビール。12月にネット限定発売し、実際には1月上旬に発送された。という訳で、現在では入手不可能なビールなのだが、再発売されることもあるかもしれないので一応レポートする。

 「アルト(Alt)」というのはドイツのデュッセルドルフ発祥の上面醗酵ビールで、常温で醗酵させた後、ラガーのように低温で熟成させるという特徴がある。ちなみにドイツ語で「アルト」とは「古い」の意だとか。

 サッポロのニュースリリースによれば、「焙煎麦芽と小麦麦芽を使用し、しっかりとした飲み応えと飲みやすさを両立させ、ホップには、希少な“ネルソンソーヴィン”を使用し、後味に柑橘系の香りがする爽やかな味わいに仕上げました。鍋料理にピッタリな味わいです。」とのこと。だから「シトラス」という名称を冠したらしい。しかし、鍋にピッタリというのはなんだか。鍋というのは種類が多すぎていささか漠然としすぎているのではないだろうか。

 麦芽100%で、アルコール分は5%。価格は350ml缶が3本で送料込み1,480円。これはやはりネットで限定発売された時のショコラブルワリーと同じ価格だ。よって、これもショコラブルワリー同様店頭で再発売されたらきっと価格は大幅に下落するものと思われる。

 不思議なことに缶には「CRAFT BREW」と大書きされているのに、「シトラスアルト」はカタカナで小さく書かれているのみ。これではどっちが商品名かわからない。今後、シリーズ化するつもりなのか?

 グラスに注いでみると、やや淡いものの、エールらしい柑橘系の華やかな香りがする。名前に偽りなしだ。色は茶褐色。飲んでみてもほんのりと酸味を感じるところがいい。

 もちろん、今の季節ならばこのような上面醗酵タイプのビールは迷うことなく常温で飲むべし。香りと味わいを十分に楽しむことができるはずだ。

 でも、例によって大多数の日本人はキンキンに冷やして、結果的に香りも味も感じられず、「なんだ、たいしたことないな」という評価をくだすんだろうなぁ。やれやれである。

 

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