《銀河高原 SHOT BEER》〜キレのある変化球〜

 地ビールメーカーの銀河高原ビールが、ユニークな新商品を発売した。

 「SHOT BEER」シリーズがそれで、「BLACK」と「WHITE」の二種類を同時発売。「ブレンドde飲むビール」(なんで「で」が「de」とローマ字表記なのだろう?)と称して、混ぜて飲むことを提案している。

 そのため、サイズも160mlの小型缶を採用。小売価格も130円と手ごろで、試しに二本買って飲んでみようという気にさせるものだ。

 まずはそれぞれを別々に飲んでみよう。

 WHITEは同社が得意な小麦を使ったヴァイツェンタイプのビール。果実のような華やかな香りとほのかな酸味が特徴。

 一方BLACKは本格的なスタウトで、どっしりとコクのある深い味わい。上面発酵のため、こちらも香りがいい。

 さて、メーカー推奨のハーフ&ハーフにして飲んでみると……。

 「うーん、悪くはないんだろうが……。」

 

 銀河高原ビールは、大手4大メーカーとは異なる、麦芽100パーセント・無濾過・酵母入りの独自の本格ビール作りで、4大メーカーとの差別化を図っている。だが、このタイプのビールはどうしても製造コストが高くつく上に、冷蔵保存が必要だったりして在庫の管理も難しい。

 飲めば間違いなく美味しいビールなのだが、なかなか人口に膾炙するという訳にはいかない。

 そこで、なんとか人々にその存在を認知してもらおうと、色々と手を変え品を変え工夫をするのであろう。

 前作の「おやすみビール」も宣伝にみのもんたを起用、缶にもみのもんたの顔写真を入れる、という大胆(?)なデザインであった。

 小型缶で別々に売り、ブレンドして飲む、というのはアイディアとしては確かに面白いと思う。

 しかし、本音の部分では、それぞれの完成度の高さを知ってほしい、というところもあるんじゃないだろうか。

 そう考えると、なんだか剛速球投手が、チームの勝ち星を稼ぐためにせっせと変化球を投げ続けているようで、ちょっとわびしさも感じさせられるのである。

 

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