《サントリー 和膳》

 2014年4月8日発売。限定じゃない。久々の正規のビール新製品である。おおっ!

 メーカーのニュースリリースによると、「『自宅で、ビールも食事もゆっくりと味わって楽しみたい』、というお客様の声にお応えし、日本の伝統的な食文化である『和食』と一緒にお楽しみいただくことをコンセプトに開発した和食専用の生ビールです」とある。

 どこが和食専用なのかというと、「『良質な素材選びから、素材のうまみをひとつひとつ丁寧に引き出す仕込み工程まで徹底的にこだわった、『和膳』独自の『繊細うまみ製法』を採用し、和食の味わいを引き立てる、繊細なうまみとやさしい口当たりを実現しました」とのこと。

 で、「繊細うまみ製法」とは、「焙煎麦芽やダイヤモンド麦芽など、厳選した計5種類の粒選り麦芽を使用(麦芽100%、副原料一切なし)・天然水100%仕込・最適な温度管理のもとで、麦芽のうまみをひとつひとつ丁寧に引き出す『高温糖化製法』を採用・深みのある味わいを引き出すために、ひと手間かけて麦汁を煮沸する『デコクション製法』を採用」ということだそうだ。だが、これらは以前にも他のビールに用いられてきた製法であり、特にこの和膳用に開発した目新しいものではない。

 アルコール度は3.5度とやけに低く、まるでライトビールである。価格は350ml缶で195円(イオンでの購入)と普及価格帯。

「うまみ、繊細」と缶にも書かれているのであるが、ピルスナータイプであり、なおかつライトなビールをゆっくり味わうというのはどう考えても無理があるように思う。飲んでみても特に何の変哲もないライトビール。和食にはこのビールでなければ、という必然性は特に感じられない。

 「当社では、本商品の発売により、ビール市場に向けて『料理の種類に合わせて銘柄を選択する』といったビールの新たな価値・楽しみ方を提案していきます」と主張するのだったら、ピルスナーの亜流ばかり作っていないで、クラフトビールのように、もっと色々な種類のビールを作ってもらいたいもんである。

 

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