とは言ってもご存知の方もいらっしゃるかと思います、が・・・

ここではガレージキットの素晴らしさも含めて感じていただきたいと思いますので
全体的な概要から製作についての具体的な内容までご説明をさせていただきます。


“ガレージキット”とは簡単に言うと、素材がレジンという樹脂で作られたフィギュア
(人型・ロボット・車・戦車・航空機・船舶等のメカ物も含む)で、
基本的にシリコンで型を取って量産した物を一般的に総称し“ガレージキット”と呼んでいます。
(ガレージキットは“キット”という事から通常は組み立てをしていない状態で販売されています)

レジンという樹脂は一般にも販売されており、大きな模型店、
その他ホームセンターなどでも買うことが出来ます、
また型を取る為に使うシリコンも同様に入手は比較的簡単です。

その為、現在では個人の方々が製作した作品(ガレージキット)を年に何度か行われる
ガレージキット のイベント等での販売も盛んに行われています(販売者をディーラーと呼びます)
その中で最大のイベントがいわゆる“ワンフェス”と呼ばれている“WonderFestival”です。

詳しいイベント内容はWEB等でもレポートがありますのでそちらをご覧いただければと思いますが、
沢山の個性豊かなディーラーさんが多数参加しています。

少し話がそれてしまいましたが。。
ここでガレージキットの元になる“原型”のお話です。

ガレージキットはレジンという樹脂で出来ていて、シリコンで型をとっているのですが
型を取る前には元になる“モノ(原型)”が必要です。

それではその原型はどうやって作るのでしょうか?

ガレージキットは主にパテ・ねんど等の素材で原型の製作を行いますが、
製作作業については ほぼ全て手作業で行います。

これは学生時代に皆さんも経験がある“ねんど細工”のようなものと
考えて頂ければ分かりやすいと思います。

技術的なことはここでは説明しませんが、ねんどの様な物で人の形や
ロボットの様な造型物を 作る事はとても難しいことは多くの方に感じて頂けると思います。

日本では江戸時代に根付(ねつけ、ねづけ)というモノもありましたが日本人は昔から
器用で細工を施した小さなもの(精密な物)がとても好きなのかも知れません、
そんな文化が現在のガレージキットにも宿っているように思います。

そして大変な労力と、膨大な時間をかけてガレージキットの原型が出来上がる訳です。

この原型を元にシリコンで型を取り、量産(複製)を行うのですが、
型取りについての詳細は色々なHPで説明がありますので
詳しく知りたい方は検索してみて下さい。

そしてその量産されたガレージキットを製作するのが
弊社のような工房となります。

ガレージキット製作代行社ではプラモデルも多く製作を行っていますが
基本的に ガレージキットを中心に製作を行っています(原型製作も行っています)

前項でご説明した通り、ガレージキットは通常、組み立てていない(キット)の
状態で通常販売されています(たまに完成品も販売していますが)

直接キットをご覧になった事がある方はお分かりだと思いますが
塗装・組み立てがされていないガレージキットはただの“石”の様な塊です。


これを完成させるわけですが、製作はまずパーツを確認して
それぞれのパーツの歪みなどもチェックするところから始めます。
そして、全てのパーツを中性洗剤等を使用して手洗いで洗浄します。

これはパーツの表面に“離型剤”というワックスのような物が付着している為です。

離型剤が付着していると塗装してもすぐに剥がれてしまい全く色が定着しません、
その為この洗浄作業は入念に行う必要があります。

洗浄が終わりパーツを完全に乾燥させたら、バリ取りとつなぎ目等の処理を行っていきます。

パーツによっては一部欠けている様な場合もありますのでその際には、整形、補修等を行います。

さらに表面には小さな気泡がある場合も多く、最終的に綺麗に仕上げるにはこの様な
気泡の処理も丁寧に行う必要があります。 表面処理には基本的に紙やすりを使用します。

大体の表面処理が完了したら次に“仮組み立て(仮組み)”を行います。
ガレージキットではプラモデルの様にパーツがそのまま綺麗に組み合う訳ではなく
接合も取り付け角度も製作者の調整によって変わってきます。

パーツを接合する場合、ほぼ必ず心材(金属の棒/真鍮線など)を使用してパーツ同士を接合します。

その為には接合するパーツにはそれぞれ小さな穴を開けるのですが
2つのパーツが ぴったり合うように上手く開けないとパーツ同士がずれてしまいます。

パーツによってはかなり小さい物もありますのでその場合開ける穴は0.3mm程度の極小になる
場合もあります。 穴1つ開けるだけでも場合によっては完成時の状態に大きく影響する為、
塗装を行う 前には事前にパーツを出来るだけ組みあげて完成時に近い状態にして確認を行います。

バリ取りとおおよその下地処理を終えたら“サーフェイサー”と言うグレーの
下地塗料を吹き付けます。 これは塗装の食い付きを良くする為と、細かな傷、気泡等を
発見し易くする目的があります。

ガレージキットの下地処理はこのサーフェイサーを吹き付けて傷、気泡を発見しては消す、
という作業を根気強く何度も繰り返し行います。

そうする事で最終的な完成度が上がり、また耐久性も良くなり経年劣化を抑える事ができます。

完成時は塗装を行いますので実際の下地は見えなくなるのですがガレージキットを
製作するにあたって下地処理は“一番”と言ってもいいくらい重要な作業です。


さて、下地処理が終わり次にいよいよ塗装を行います。


塗装はキャラクターの資料、説明書、パッケージなどの完成見本を参考に行いますが
実際に色のレシピのような物は無い場合がほとんどですので色の調整は製作者の
“センス次第”という事になります。

色と言っても例えば「赤色」1つとっても明るい赤色や黒っぽい赤色など無限にあります。

また、色を塗る部分の“色(下地)”によっても仕上がり(発色)が変わってきます。

ガレージキット製作代行社では最終的な色のそれぞれがうまく調和するよう色の調合は
細心の注意を払っておこなっています。

その為、市販の色をそのまま使用する事はほとんどありません

これは市販のままではどうしても“色の深み”が無く、そのまま塗るとありきたりな
完成品になってしまうためです。

例えば「黒色」は普段あまり意識せず、黒は黒という感覚ですがこの黒1つとっても
赤っぽい黒色、青っぽい黒色などありますのでキットにあわせて調合しています。

塗装はガレージキット製作の中で最も楽しい作業ですが、とても繊細で大変手間のかかる作業です。

またパーツのほとんどにグラデーション塗装(ぼかし塗装)を行いますので
1つのパーツに対して表現できないほど沢山の色を使用します。

色々と説明が長くなってしまいましたがここには書ききれない程の工程がまだまだ沢山あります。


ガレージキットは少しマニアックなものだと思いますが、その精密な作り、表現の多彩さ、
そして原型製作から完成まで人の手でしか造る事のできないという”生きた作品”である事から
単なる模型の枠にはとどまらない本当の“
芸術作品”だと思います。

今回、製作について知って頂く事でガレージキットの奥深さと、
楽しさを多くの方に少しでも感じて頂けたなら嬉しく思います。


最後まで読んで頂きましてありがとうございました。 



ガレージキット製作代行社