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耳とは?なんていまさら説明はいりませんよね。ヒトと同じ2つの耳が犬にも猫にもついてま
す。役目も全く同じですが、ヒトよりも機能的に優れていて小さな音でもよく聞き取れますし、私
の個人的な体験談では音の判別能力も高いと思われます(人の足音や車のエンジン音を聞き
分けたり、食べ物の袋を開ける音のときだけそばに来たりとか)。
ヒトでも子供に多い(のかな?)中耳炎がありますが、犬、猫でも多いのが耳の病気であり、こ
の季節は特に多いですね。
耳の病気というとまず外耳炎、中耳炎、内耳炎です。なかでも多いのが外耳炎ですね。耳を
のぞいてみて赤くはれたり、耳垢がいっぱいあったり、へんな匂いがしていたらまず外耳炎の
疑いがあります。お耳の垂れているワンちゃんや、スコティシュフォールドのような耳たぶ(耳
介)が寝ている猫ちゃんは気をつけてください。知らない間に外耳炎になっている可能性があり
ます。 外耳炎をそのままほうっておくと中耳炎や内耳炎まで進んでいってしまうことが多いと
思いますので、日常的な観察がこの病気を早期発見、治療するための重要なポイントだと思 います。 また、外耳炎などによって後ろ足で耳をかくことによる耳介(耳たぶ)の損傷、耳たぶ の中に液体がたまってしまう耳血腫という病気があります。耳血腫は、外耳炎だけが原因でな く突発性に起こることがあります。
一口に外耳炎といっても原因によって治療法は異なってきます。また症状の程度、患者さん
の性格によっても変わります。そこでまず外耳炎を診断するために必要な検査について説明し
ます。
1)耳鏡検査
病院では犬、猫の耳を見る場合まず入り口付近を観察します。耳垢で汚れていないか、赤く
なっていたり出血していないか、毛がいっぱい生えていないかなどです(余談ですがよく耳たぶ
についたダニを見つけたりします)。そこでよく耳を掻いていたり、頭を振っているなどの症状
や、上記のような症状があった場合は耳鏡を使用して耳道(耳の中)内を観察します。
なぜなら犬、猫の耳の中を観察する場合、外側から見えるのはごく一部分であり、奥の方に
鼓膜があるので外側はきれいでも中は耳垢でいっぱいとか炎症でまっかっかという場合もある
のです。もちろん外側が汚れていれば中も汚れている可能性も高いので、まず治療が必要で
すが、奥の方まで治療をしないとせっかく外側がきれいになっても、中が汚ければまたすぐに
再発する可能性が高いので、中までしっかりと治療する必要があります。
そこで耳鏡といわれる器具を使用して中を覗きますが、ライトで中を照らして耳の中のひだや
曲がっている耳道をまっすぐにして鼓膜まで見えるようにします。 誰だって耳の中に物を入れ
られると嫌がりますが、治療のために重要な検査のひとつですので、少しの間辛抱してくれと
思いながらいつも検査しています。
2)耳垢検査(じこうけんさ)
耳鏡検査の次に行うのが耳垢を採取して炎症や耳垢の原因を調べる耳垢検査です。外耳
炎の原因として多いものを以下に説明しますが、原因によって使用する薬が変わりますので、
重要な検査です。また症状がひどい場合は膿の成分なども検出されたりします。
○細菌
簡単に言うと耳の中で細菌が増えて耳の皮膚を刺激して炎症や耳垢が増え、更に細菌が増
えやすい状態になってしまう悪循環がおこった状態が外耳炎といえます。この原因となる細菌
は普段から体の表面にいる常在菌といわれるものから治療の難しい病原菌まで様々です。抗
生物質で治療しますが、菌によって効く薬が違うためいつも同じ薬が効くわけではありません。
○酵母菌
上記の細菌とともによく検出されるのがマラセチアと呼ばれる酵母菌です。この菌は油っぽ
いところが好きでこのマラセチアが増えると自分たちのいる環境を油っぽくしてしまうことが多
いので、この菌が原因の場合は独特の匂いがします。またこの菌が全身に感染した場合脂漏
症といって、フケやべたっとした皮膚になってしまうことがあります。この菌も常在菌といえるほ
ど耳の中や皮膚に存在します。普通に存在している場合には何も問題はないのですが、増え
すぎると皮膚炎や、外耳炎などの問題を引き起こします。通常のの抗生物質では治療できな
いので、専用の薬を使用する必要があるかもしれません。
○耳疥癬(耳ダニ)
猫に多いのがこの耳ダニです。耳垢をとって顕微鏡を見てみると動くダニが観察されます。よ
く白い粒が耳の中を動いているといわれるんですが、私は直接見たことはなく顕微鏡で拡大し
ないとわかりません。このダニは普通母親から感染した子供に多いようです。
この場合はダニを駆除しないといくら耳掃除をしても治まりません。病院ではダニを殺す薬を
使用しますが成虫には効果がありますが、ダニの卵には効きませんのでダニの卵が孵化して
から薬を入れないとまた再発してしまいます。従って約3週〜1ヶ月間治療する必要があります
(毎日ではないですけどネ)。
○その他
上記のほかにカビなどの他の微生物やニキビダニなどのダニ、アレルギーなどの全身性皮
膚疾患、または異物(草など)の1症状として外耳炎が現れることがあります。また腫瘍が原因
で外耳炎を引き起こす場合もありますから、注意が必要です。耳垢検査によって明らかになる
原因はごく一部であって、治療の第一歩とはなりますが完治となるわけではありません。治療
を続けていてもなかなか治癒しない場合は全身性疾患の可能性もあります。しかしまず外耳炎
を悪くしている微生物などを鑑別することは大事ですので、耳垢が多い場合は耳掃除だけでな
くまずお近くの病院で診察を受けることをお勧めします。
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