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新しくわんちゃんが新しいお家へやってくるわけですが、その後のしつけ、飼育の仕方につい
て知っておいていただきたい事をまとめてみます。もちろん個々のワンちゃんの性格、飼育環 境などによって対応の仕方は変わりますので、基本的な事が中心となります。
最初に
新しくお家に来た当初は環境の変化に戸惑っています。あまりかまわずゆっくりさせて新しい
環境に慣らす事が大切です。また体調を崩しやすい時期ですので、元気、食欲、下痢、嘔吐の 有無、咳などの異常がないかよく観察してください。この期間は最低1週間〜10日程度必要で す。異常に気づいた場合は早めに動物病院で診察を受けてください。子犬は一日の半分以上 眠っているのが普通です。かまい過ぎて余り疲れさせないようにしてください。子犬が環境に慣 れてくると自分からクンクンしながら歩き回ります。そうしたら、軽くなでたり抱いたり子犬が嫌 がらない程度に遊んであげましょう。小さいお子様だけでさわらせないようにしてあげてくださ い。活発に遊んでおくと子犬は疲れて眠ってしまいます。
生後45日から90日
飼育方法
この時期の子犬はまだ人間とのコミュニケーションが取れる段階ではありません。 しかった
りたたいたりする事は犬との絆を弱める事になります。悪い癖は最初からさせないように習慣 付ける事が肝心です。普段はケージやサークルの中に入れ人の目が届かない時はその中で 過ごさせるようにしましょう。大人がきちんと見守ってられる時だけ少しづつ探検させてあげてく ださい。見張っていれば不適切な場所での排泄や、いろいろなものを咬むなどの問題はある 程度防ぐ事ができます。幼犬は手に入るものは何でもかじることを覚えておいて下さい。また 物を壊すだけでなく、電気コードによる感電など子犬自身がひどい怪我をする危険もあります。 何もかじる物がない場所又はかじられても平気な場所を子犬の居場所にして下さい。
食事
ドッグフードは子犬用、成長期用のものが望ましいです。与える量はドッグフードの袋の表と
体重を目安に1日分を3〜4回に分けてあたえてください。わき腹や背中を触ってすぐに骨がわ かるようならやせすぎです。さわりながら少しずつ与える量を増やしてあげてください。最初は ふやかして与えた方が好ましいですが生後2ヶ月を超えると少しずつふやかす量を減らして生 後3ヶ月にはふやかさずに与えるようにします。 バランスの取れた子犬用のドッグフードを与 えていれば他には与える必要がありません。 しつけのご褒美以外に人の食べ物やおやつを あげすぎるとドッグフードを食べなくなる恐れがあります。食事は与えっぱなしにするのではな く、10分程度で片付けるようにしてください。
しつけ
この時期のしつけとは「幼少期に覚える社会性」をいいます。この時期は環境や人とのつな
がりを学ぶ時期です。自分の名前を覚え、様々な刺激を受けてそれらになれていく時期です。 以下の項目を心がけて子犬と接してあげてください。
1)家族と接する:
これから一生をともに過ごす家族を認識させます。 遊んだり、食事を与えたりする事に
より群れで生活する習性を持つ犬が家族の一員となる時期です。
2)アイコンタクト:
まず名前を呼ぶ時、犬と接する時は必ずアイコンタクトをするように心がけましょう。 まだ
言葉の意味まで理解できるわけではないので、お互いの目を合わせながら接してあげるよ うにしましょう。
3)体中どこでもさわれるようにする:
目、口の中、耳、お腹、足先などを必ず触り、人に触れられる事に慣らしましょう。子犬で
あっても、口の中などは嫌がります。 マズルコントロール(手で口を押さえる)や、仰向けに してお腹をさわらせるようにならしていきます。どの犬も最初からできるわけではないので、 毎日必ずあらゆる箇所をさわるように習慣付けてください。なれないうちは暴れたり、キャン キャン鳴いても毎日の繰り返しにより受け入れるようになります。
4)刺激に慣れさせる:
家族以外の人間、大きな音、他の犬などの刺激に触れさせてあげる必要があります。 子
犬の性格も好奇心旺盛な子、陽気な子、引っ込み思案な子、怖がりな子と様々です。犬はい ろんな経験によって対処を覚え学んでいきますので可能な範囲で刺激を与えていきます。
5)犬語で話す:
話すといってもしゃべれるわけではないので、 じゃれて強くかんだらなるべく高い声で「痛
い!!」といったり、落ち着かせる場合や好ましくない行為をやめさせる場合は低い声で「だ め」、「NO!」といい、遊びをやめる、無視するなどの犬の行動を真似た接し方をするのが適 切な方法です。 子犬は言葉で理解できなくとも、アイコンタクト、声の高低や接し方で少しず つ理解できるようになります。
ワクチン
子犬は生まれた直後に母犬からの初乳を飲む事によって、病気に対する免疫力(移行抗
体)を授かります。 生後60日ぐらいまではこの免疫により伝染病などの感染から守られてい ますが、その後徐々に免疫力は低下していきます。 母犬からの免疫力が低下するとウィル スや細菌などの感染により病気が発症する恐れがありますのでワクチンを接種する事によっ て、子犬自身で免疫力を獲得させる必要があります。
母犬からの移行抗体の量も同じ兄弟犬でもそれぞれに個体差があり、病気の種類によって
も移行抗体が長く残るものや、生後2ヶ月程度で低下するものなど様々です。ワクチンの接種方 法は飼育環境や病院の考え方によって様々ですが当院では以下のような方法で接種するよ うにお勧めしています。
ワクチンは母親からの免疫力(移行抗体)が充分残っているうちに接種しても効果がありま
せん。移行抗体が減少してから接種する事によって効果が得られます。 ![]()
上の図は子犬の移行抗体の量を示した模式図です。母犬からの移行抗体がAの子犬とB
の子犬では異なり、低下の仕方も異なります。 Aの子犬は生後60日でワクチンを接種すれ ば体が反応し病気に対する免疫ができますが、Bの子犬は生後60日では母犬からの移行
抗体が残っているため、ワクチンを接種しても免疫が産生されません。Bの子犬の場合は移
行抗体の量が下がる生後90日以降にワクチン接種する事によって免疫ができるようになり ます。これは簡略化したグラフですので母犬、子犬によってグラフの形は様々です。
この個体差を調べるのには血液中の移行抗体価の検査が必要ですが、小さい子犬からあ
る程度の量を採血しなければならないこと、検査の費用や時間がかかってしまい、あまり現 実的ではありません。それではどの子犬でも母犬からの移行抗体が下がってくる生後90日 を越えた時点でワクチンを接種すれば、1回のワクチン接種でほぼ効果を得る事ができます が、もしそれまでに移行抗体がなくなっている場合は感染する可能性があります。
また予防するワクチンによってはワクチンの1回接種より複数回接種した方が強固な免
疫を獲得する事ができます。ワクチンを何回も接種するのは、抗体価が多くても少なくても確 実に生後3ヶ月以降に免疫を獲得させるためです。感染機会を減らすために子犬を隔離す る事も方法の一つですが、生後間もないこの時期は、子犬にとって大事な社会化期でもあ り、隔離によって環境や外部の刺激との接触がないと性格的に問題が起こったりする事もあ ります。病気が予防できても社会化がなされていなくては犬とともに暮らしていく事がむずか しくなる可能性があります。
ワクチンは接種後約3週間で効果が出ますので、接種後もしばらく感染に対して注意が必
要です。
90日から120日
飼育方法
生後3ヶ月になると、元気一杯で周りのどんなものにでも興味を持つようになります。 また
この頃には人の感情や人との上下関係なども理解できるようになります。したがって接し方を 誤ったりすると犬との上下関係が逆転することがあり、しつけにも影響します。この頃には性 格的な特徴もはっきりとしてきます。 興奮しやすい性格はそのままにしておくと増長します し、臆病な性格は何もしないとますます臆病になってしまいます。 その子の性格をよく観察し てよいところを伸ばし、悪いところは修正するように育てる時期になります。
また社会化の重要な時期です。社会化期を飼い主以外との接触もないまま、「箱入り」状態
で過ごしてしまえば、社会性が身につかず、臆病になったり、攻撃的になったりします。社 会化期は犬の一生にかかわるとても大切な時期なのです。 他の犬、人、車などに慣らせる のはこの時期が最適です。 ワクチン接種が完全でない子犬を自由に屋外に出すわけに はいかないので、抱っこして散歩にいく、パピーパーティに参加するなどの工夫が必要です。
しつけ
おすわり、まてなどの各々のしつけの方法などは雑誌、本、インターネットなどで自分の犬
にあった方法を選んで毎日繰り返す事によってできるようになるでしょう。お座り、待て、伏せ などの指示や、トイレのしつけなども少しずつ教えていく時期ですが、まず重要なのは犬との 信頼関係、主従関係です。 普段から気をつけて接する事によってこれらの関係ができてき ますので注意が必要です。この時期には犬は群れの順位付けをしますので、家族の末っ子 になるように育てる必要があります。人の食事の前に犬に食事を与えない、犬の前で仰向け にならないなど犬の習性にのっとった接し方をする必要があります。
また、ブラッシング、入浴、耳掃除、歯磨きや爪切りなど体の手入れなどもこの時期に慣ら
させておくべきです。 成長すれば物分りが良くなって嫌がらなくなるわけではありませんの で、積極的に行うことをお勧めします。子犬が嫌がらないようにしておくと、将来犬の世話が 楽にでき、いろいろなトラブルや病気も未然に防ぐことができます。
不妊手術、去勢手術について:
1年目のワクチン接種などを終え、生後6ヶ月を過ぎて乳歯から永久歯に生え代わりが終
了する頃には、不妊、去勢手術を実施することが可能です。 男性、女性ホルモンの影響に よる性格、行動の変化、将来的にホルモン分泌が影響している病気の予防の観点から早期 に手術される事をお勧めします。 繁殖を考えている飼い主さんでも5〜6歳を過ぎた頃まで には手術をされた方が望ましいと思います。 |