地震に強い家づくり(1)
地震に強い家をテーマに考えてみたいと思います。阪神大震災の被害の大きさは、まだ記憶に新しいでしょう。
新聞、雑誌等に多くの調査結果が発表されました。地盤の良し悪し、施工方法、築後の管理などの面から考えて
いきたいと思います。
阪神大震災で問題になったのが地盤の良し悪しです。造成された土地の問題が大きくクローズアップされました。
山武郡の秋田県の住宅会社が欠陥住宅を造り、販売して問題にもなりました。テレビなどでは施工業者が悪い、
金物の不足だ、基礎工事がずさんだとか言っていましたが、8割がたは地盤のせいではないかと言わざるをえないと
テレビを見ながら感じたのは私だけでしょうか。阪神大震災の時、沖積層(一万年以内に堆積した軟弱な地盤)の
上の建物に被害が集中したと言われました。山武郡の場合の水田の地盤はどうなのか解りませんが造成して数ヶ月で
その上に家を建たようです。手抜きをしなくても普通の施工をしたら狂いが生じるのは解りきっています。
造成した土地を購入するときには近くに住んでいる人にどういう土地だったのか聞くことも大事だと思います。
傾斜地を造成したときなどは切り土と盛り土の部分が多いのですが、山を削った切り土の部分は問題ないのですが
盛り土と呼ばれる削った土でつくった部分が問題です。盛り土の下の地盤まで基礎を下げる必要があります。
軟弱な地盤の場合にはべた基礎、杭打ちをする方法、地盤改良などの工事が必要となります。なによりも地震に
強い家をつくるにはいい地盤の上に建てるのが有利なことは間違いありません。地質調査は土地の広さにもよりますが
50坪から100坪ほどならば7万円前後で調査できますので基礎工事の際の参考になると思います。
施工方法の問題は私たち大工に最も関係する問題なので掘り下げてみたいと思います。調査結果から書いて
いきたいと思います。基礎の場合、無筋の基礎は崩れてしまったものが多く、鉄筋が入っていてもアンカーボルトが
少なかったり、なかったために基礎から外れてしまった家もありました。また土台がシロアリにやられたり、腐っていて
柱からの荷重が基礎に伝えられなかったために倒れた例も多かったようです。倒れた家の3割ほどがシロアリの
被害にあっていたそうです。屋根について言えば、重い屋根よりも軽い屋根の方が有利でした。柱について言えば
細いより太い方が有利で、本数も多い方が倒れにくいのです。筋交いも建築基準法の規定どうりに入っていた建物は
無事でした。また、施工法、シロアリの被害の有無によって倒れた建物が多かったようです。筋交いが規定どうりに
入っていてもそのバランスの良し悪しによって倒れた例も多かったようです。これらもその後の建築基準法の改正により
対処されています。
繰り返しになりますが土台、柱、筋交い等の腐れ、シロアリの被害を見逃したための維持管理の問題も絡んでいる
ことも忘れてはなりません。このことに関しては納得がいかないかもしれませんが、建築基準法から言えば建築物の
所有者に建物の維持管理義務があることになっています。年代別に言えば昭和56年の耐震基準後の建築物に被害が
少なかったようです。また無謀な増改築によると思われる被害も報告されている。
では、これらの報告にあるような地震に弱い家はどうしたらいいのでしょうか。1つ1つ考えてみましょう。
地盤が悪い場合ついて言えば 使った事はありませんが地盤改良材などは効果があるようです。
基礎が無筋だったらどうすればいいのでしょうか。はっきり言ってかなり難しいというのが現実だと思われます。
本などをみるといくつか書いてはありますが、なるほどと思う方法は見当たりません。基礎は後悔しないように
十分検討して工事を始めたいものです。
土台の腐敗、シロアリの被害の場合は部分的なものであれば交換できます。ただこれが家全体に広がっている場合は、
床、壁を取り除いてからとなりますので費用もかなりかさみます。
筋交いの場合はどうでしょか。交換はできますが、壁を壊したりすることになるのでやはり費用はかかります。
不足の場合は筋交いを入れる方法と構造用合板を柱、間柱に打ち付け耐力壁を造る方法もありますのでその家、
その場合によって合った方法を選びましょう。バランスが悪い場合は出来てしまっているものなので、難しいかも
しれませんが、家具などが置いてあって壁にしても差し支えない場合などはそこに耐力壁を、また工夫によって
壁があってもそれほど差し支えない場合は必要な場所につくることによって解決きると思います。
屋根の重さですが私個人としては瓦屋根が重いからといってそれ程悪いとは思いません。どうしても壁を
つくりたくないなどで建築基準法の壁量に届かない場合は屋根材の葺き替えも考えなくてはならないと思いますが
個人的には耐力壁をつくることによって壁量の解決は出来ると思います。
維持管理については自分でやる、大工や工務店などに依頼する、また専門家もいますので調査をしてもらうなどの
方法があると思います。ここでは自分でやってみたいという人のために簡単な方法をいくつか書いておきたいと
思います。土台の腐れ、シロアリについては、まず浴室、洗面所、キッチン廻りなどシロアリの発生しやすいところに
床下点検口(ない場合は床下収納庫、ない場合は畳の部屋がありましたらその床を切る。)から入ってまず目でよく
見てみます。これでかなりわかると思います。次にかなづちなどで叩いてみます。コンコンという高い音ならば大丈夫、
ブクブクというような低い音だと腐れシロアリの被害が考えられます。筋交いについては設計図書に位置が記入されて
います。床下から、また天井点検口からよく覗いてみてください。かなりの個所はこれで確認できると思います。
ただ金物が使用されている場合にはわかりますが釘が打ち付けてある場合は有効に打たれているかどうかはわかりません。
(筋交いについては維持管理とは違うとは思いますが)これらから不具合がわかったら簡単な事は自分でもできますが、
出入りの大工さんなどに相談してみるのがいいと思います。私は床下、天井に入るということでいろいろなことが他にも
わかると思います。1度入ってみることをお勧めします。ただし、天井はうっかり乗ったりすると天井を壊したり、落ちる
こともあるかと思います。行うときには十分注意して下さい。それでは、新築の場合はどうしたらいいのでしょうか。
ここまで見てくるとかなり解ってきたとおもいますが、構造については次にしたいと思います。
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