カビ、ダニ、ハウスダクト、結露

 シックハウスの原因である有害化学物質に続きカビ、ダニ、ハウスダクトについて書いてみたいと思います。

関連する事項として結露が切り
離せませんのでそれについても考えてみたいと思います。

 なぜカビ、ダニ、ハウスダストが問題になるかというと、アトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギーの原因が

家にも一因あるからです。ハウスダストと呼ぶとダニ、カビの胞子
花粉、人やペットの毛、フケなど室内に浮遊して

いる微細な物質を総称して呼んでいます
が、ここでは家に特に関連しているカビ、ダニについて取り上げたいと思います。

 カビがどのような条件下で発生するかは、皆さんもご存じのように高温、多湿の環境です。暖房器具の普及で1年中

カビの発生する温度条件は整っています。湿度はどうでしょうか
。浴室、湯沸かし、加湿器、洗濯機など湿度を上げる

要因も多く存在します。それでも
通気性がよく湿度が下がればいいのですが、高気密化しているため換気を意識的に、

機械的にしないとこもった湿気は外に逃げません。湿気が逃げないとそれが結露となって、湿った環境が整いカビの

発生となります。そのカビの種類は500を超え、たくさんの胞子や
菌糸が室内に浮遊することになります。それらが

アレルギーを起こす物質アレルゲンとなり
それらを吸うことによってアレルギーが起こり、喘息、気管支炎などの

病気になることも
あります。エアコンの普及によりエアコンのフィルターについたカビが運転されることに

より部屋中にカビの胞子がばらまかれ肺炎の原因にもなっています。特に体質の弱い人の場合や、抵抗力が弱く

なっている時には内臓にカビが生える「内臓真菌症」と呼ばれる
カンジタ症やアスペルギルス症になることもあります。

外傷から血液に入った真菌が体中
にまわる黒色真菌症という病気になることもあります。カビは家の寿命を縮めるだけで

く人命にまで影響を与えることも認識しておく必要があるかと思います。

 ダニの発生しやすい環境はカビの発生しやすい環境とよく似ていると言っていいかと思います。ダニもカビとともに

アレルゲンの代表です。ダニも種類が多く、家に棲息
するダニだけでも30から40種類もいると言われ、家1軒に

数千万匹から数億匹いると
推定されています。ダニが発生すれば噛まれたり刺されたりするのでわかると思っている

人もいるかと思いますが、噛んだり刺したりするマダニだけではありません。アレルゲンとなるヒョウダニ、

コナヒョウダニ、ヤクヒョウダニなどは
0.2ミリから0.6ミリ程度で
肉眼では見えません。これらのダニが気温25度から

30度、湿度75%前後、餌となる人
ペットの毛、フケ、ほこり、食物カス、カビなどの条件が揃うとダニの発生となります。

そして、ダニの死骸や抜け殻、糞などがアレルゲンとなります。特に小児喘息の6,8割がヒョウダニのアレルギーと

言われています。寝室のベットまわり、脱衣所もダニの発生
しやすいところです。衣類の糸くず、綿ほこり、

フケやあかなど人間の老廃物はダニに
とっては発生の好条件です。枕は特に注意しましょう。枕だけでも日に干すと効果が

ある
そうです。

                     住宅内のアレルゲン

ハウスダスト

いろいろの集合体ですが主な物はカビ、ダニなど

ダニ

虫体、死骸、抜け殻、糞など

カビ

カビの胞子、菌糸など

ペット

犬、猫、鳥、ハムスターなどの上皮、あか、排泄物、毛など

花粉

杉、檜、茅など

その他

羊毛、絹、ソバガラなど

 

 それではこれらに対してどうしたらいいでしょうか。カビ、ダニの発生条件をもう一度あげてみると高温、多湿、

養分です。この中で住宅の構造などで解決できることは多湿に
関する事かと思いますので、ここでは湿度に関する

ことについて書いてみようと思います。

 室にカビが発生した場合どうしたらいいか。健康面から考えると薬剤での退治は最小限にすべきである。湿度を

下げるには空気の循環、入れ替えをまめにしよう。浴室などは入浴
後、換気扇による場合は30分から1時間、

窓開けならば2時間から3時間が必要です。
寝室なら寝る前5分から10分の窓開けでも効果があるそうです。

 キッチン、居間、食堂を例に考えてみよう。冬 夕方外気は下がり3度、台所では夕食の支度が始まります。

蛇口からはお湯が流れ、コンロの上にはみそ汁、煮物、炒め物湿度
は 瞬く間に台所に供給されます。窓を見れば

結露が発生しているはずです。ここで
湿度を上げないためにはどうしたらいいのか。換気扇を回すことです。

煙が出る出ないに
関わらず必ず回しましょう。他にも蛇口、湯沸かしなど湿気を供給するものが考えられます。

こう考えていくと台所の場合、コンロ上のレンジフードの他にもう一つ部屋の中に
逃げた湿気を出すための換気扇が

あった方がいいと思います。換気扇の上手な使い方と
して換気扇の反対側を少し開けることが室内の空気の入れ替えに

非常に有効です。「少し
開ける」というところがポイントです。これによりかなりの湿気が外に出て行くはずです。

 食堂(居間を兼ねたLD形式の場合も多いかもしれません。)のテーブルに料理が運ばれ楽しい食事の時間になります。

子供たちはテレビを見ていました。室内は暖房され場合
によっては加湿器も使われています。観葉植物もあるかも

しれません。たぶんサッシの
ガラスには結露が発生しています。食事が始まりおしゃべりが始まります。温度は上がり

加湿器が使われていなくても人間からも多くの湿気が供給されます。湿度はどんどん上がります。冷えた外気に

接している窓ガラスに結露が見られるのは当然です。湿度が供給さ
れる限り結露は発生し続けます。

 ここで重要なのは”窓ガラスだけ”かということです。
特に外気に接している壁がビニールクロスなど湿気を

吸えない建材だと結露の発生する
可能性は高いのです。換気扇などを利用して湿度を下げること、また 室内の空気を

循環させる
ことに気をつけて下さい。

 ここで気付きにくいところに発生する結露について考えてみよう。
押し入れ、クローゼットの中、納戸、トイレなどに

発生しやすいという事実です。外気との
温度差もなく、湿気もそれほど供給されていなそうなこれらの場所になぜ

結露が発生する
のでしょうか。それは湿気が供給されるからです。例えばトイレを例に考えてみましょう。それほど湿気

が供給されていないように思われますが人間の移動によって居間のドアが開く。するとそこから湿気が流れ出し廊下、

トイレと移動する。このような事が人間の移動と共に何度とな
く繰り返される。たったそれだけでと思われるますが意外と

移動するらしいのです。それと問題なの
は、室温です。居間が20度とするとトイレは10度あるかないかでしょう。

20度で飽和水蒸
気量に達していたとすれば、それが移動して10度になれば、おそらく3割程の水蒸気が結露となって

発生する可能性があります。勿論全て入れ替わるわけではないのでそれ程
多くの結露が発生するわけではありませんが

思わぬ所で結露が発生することがあるということが
解っていただけたかと思います。

 内部結露もこのようにして小さな隙間から湿気が壁の中
やサッシと柱の隙間に入りこみ結露が発生して住宅の寿命

までも縮めないとも限りません。
内部結露は結構面倒な問題だと思われます。断熱材の使用等によって外部の冷たい空気と

室内の暖かい空気が接触いないようにすることは可能なのかしれませんが、技術的にはかなりむずかしいのが現実です。

高断熱高気密の住宅もなかなかいいものができません。ここでは詳しくは書きませんが、気密シートを張ることや、気流止めを

設ける事で内部結露の発生を押さえる方法が行われています。技術的には難しいです。かえって湿気を内部にこもらせて

逆効果になりかねません。


 では何故結露が昔の家には少なかったのでしょうか。室内温度もこたつ、ストーブぐらいでそれ程上がらなかったし、

戸を閉めても小さな隙間から空気が出入りしていました。でも建築材料から
見てみると吸湿性のあるものが多かったの

です。例えば柱、畳、壁、天井です。柱、天井が木ならば
かなりの水分を含むことができます。壁も漆喰ならば湿気を

吸収できます。畳だって、家具だ
って呼吸しているのです。(逆に乾燥すると湿気を吐き出してくれる。)

 今ではどうでしょう。
一般的な洋間を例にとってみると柱は見えないし、壁はビニールクロス、天井もビニールクロス、

床もウレタン塗装です。部屋には湿気を吸収してくれるものが非常に少ないのです。この辺に
も結露が発生する原因が

ある事は間違いありません。木がどれくらい湿気を吸収し乾燥した時に
吐き出してくれるか今具体的な数値であげられません

が機会をみて調べておきたいと思い
ます。

 このように考えてくると結露の問題、またカビ、ダニを考えても天然の素材が非常に優れていることが解るかと思います。

健康を考える時、住環境をもう一度考えてみてくださ
い。ここで一つ気をつけたいことがあります。床、天井をせっかく

ムク材を使っても塗装
ワックスがけで木の呼吸を止めてしまうことがあります。その際には呼吸を止めない天然塗料

などがありますので利用してみてはいかがでしょうか。

 それでは既存の住宅の場合の結露対策はどうしたらいいのだろうか。

・通風をよくする。(家具の配置、家具と壁を少しあける。など)

・換気をする。(キッチン、浴室などは換気扇などを有効に使う。など)

・湿気の元を断つ。(あまり多くの観葉植物などを置かない。加湿器を使いすぎないなど。)

それでもだめな場合は換気扇の取り付けての強制換気などすることになるかと思います。

 新築の場合にはどのような事に気をつけたらいいのだろうか。

・建築材料から考える。

桧などのムク材のフローリング。畳

シックイ。珪藻土。板張り、吸湿性のあるクロス

天井

ムク材、場所により火災なども考慮して吸湿性のあるクロスなど

複層ガラスサッシ(できたら性能のいいもの)


 構造はあらためて書きたいと思います。

 

   

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