結露をなくす

 カビ、ダニ、ハウスダクト、結露に共通する湿気に対してどのような解決方法があるのでしょうか。

住宅の中で発生する湿気については換気扇などを使って外に排出することは解り易いと思いますので、表面結露

内部結露について書きたいと思います。

 

表面結露(1図)
内部結露(2図)
 
上図(1図)は冬に北側のクロス表面などに発生する表面結露の様子です。室内の湿度計では45パーセントだったと

しても、壁の中が冷たい場合クロス表面は冷えています。すると、クロス表面近くでは飽和水蒸気量となり結露の発生が

始まります。では、どうしたらいいのでしょうか。温度差を小さくすればいいということが解ります。では、どうしたら

温度差が小さくなるのでしょうか。断熱材を入れることが現在もっとも多く採用されています。断熱材の入れ方には、

大まかに分けて外断熱と内断熱に分けていいと思います。

(3図)
 
上図(3図)を見ての通りで断熱材の位置が違うことの差で呼び名が違うと思っていいかと思います。ここでは簡単に

述べますが共通するのは壁の中の空気の流れがあってはならないという事です。ただし、外断熱で壁の中を管理された

空気が流れる場合はその限りではありません。

 外断熱の場合を考えてみましょう。柱と柱の間は空間になっています。結露発生のメカニズムからして、その空間は

冷たくてはいけないことになります。故に、冷たい空気、外気は入ってはいけないということになります。

断熱材は下見を貼る胴縁がつぶれない程の硬さも必要で、通湿性はないと言っていいと思います。ここで、何が言えるかと

いうと、壁の中に入った湿気は通気胴縁の間の通気層からは排出されないと言う事です。通気胴縁は外壁と断熱材の間の

湿気と万が一進入した水を逃がす役目と、熱気を逃がす役目になります。このような理由から室内側も壁の中に湿気は

進入してはならない事になります。この点については外断熱はかなりシビアなはずです。

 内断熱の場合も基本的には壁の中、断熱材に空気の流れがあってはならない事になります。気流止めなどで壁の中が煙突

のような働きをするのをなくす事が重要になります。外断熱でも同じです。室内側には、気密シートを貼ります。これも

外断熱でも同じです。室内の湿気が壁の中に入らなくするためです。入れば内部結露につながります。ここで外断熱と

違うのは通気層と断熱材の間に防風防水透湿シートを貼るということです。外断熱の場合は気密シートになります。

内断熱の場合には、わずかな湿気が壁内に入ったとしても通気層の上昇気流とともに湿気は排出されることになります。

 このように書くと外断熱が悪いように思えるかも知れませんがそのように言っているわけではありません。実際の工事

では、併用して使ったりしています。また、パネル工法も普及してきています。パネルも市販品ができて、私たち個人

事業者も使えるようになりました。ここで言いたい事は内部結露が何故発生するのか。その事を考えて、どうしたら

いいのか判断しないと思わぬ失敗があるということです。以前あった、高気密住宅の失敗を繰り返してはなりません。

 家を新築、リフォームするときに判断しなければいけないことに、どの程度のものにするかということです。現在は

性能能表示がされているものもたくさんあります。次世代省エネのレベルを求めるのか、そこまでは必要ないのか。

住んでる地域と個人の考え方で違ってくると思います。個人的には関東南部、千葉県を考えれば次世代省エネの住宅が

必要なのかは疑問だと思っています。ラップで包まれたような住宅はどうかと思います。高断熱高気密の住宅の場合には

家の中で火を使う事は気を付けなくてはいけなくなります。空気の流入を嫌う事によって酸欠、場合によっては

一酸化炭素中毒になるからです。インフルエンザに家族の1人が罹ったらどうなるのだろう。快適さを危険が隣り合わせの

ような気がします。オール電化などで火を使わなくてもいい環境も難しいことではないのですが。

 話はそれてしまいましたが温度差をなくすことも結露を発生させない一つの方法です。でも、実際には冬外部の温度と

室内を同じにすることは無理ですが、パジャマとカーデガンでいられる環境を求めれば大変なことですが、ジャンバーを

着てもいいと考えれば、それこそ省エネで環境負荷の少ない住宅が出来るのではないかと思います。

 今書いてきた事は、本を読んで勉強してきたことで基本ですが、結露発生のメカニズムを考えた時、無垢材、塗り壁など

調湿作用のある材料を使ってもいいのではないかと思います。今、住宅も創意工夫が求められています。そして、あらゆる

情報が氾濫しています。私にも解らないことばかりですが、宣伝に踊らされることなく、少なくとも間違った判断は

しないようにしたいと思います。

 カビ、ダニ、ハウスダクトを考えれば、湿気をなくすと共に通風を考慮した住宅が望ましいはずです。床下も基礎断熱を

考慮して外部からの通風をなくした次世代省エネの造りも普及しつつあります。理屈の上からは正しいのか解りませんが

二千年を超える住宅歴史を現代の知恵で変えられるものなのでしょうか。私自身もどちらがいいとは言い切れません。

住宅を建てる人の判断と要求で変わると思います。いろいろな情報を得て判断することが大切なことであることは間違い

ありません。


 

   

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