修繕から学んだ事
ここで書こうとしている事は大工仕事に携わって30の年間でいろいろな修繕を頼まれ、
そこから長持ちのする家づくりが見えて来たように思えます。私は家は50年は
少なくとも持たせたいと思っています。内装は直す事もあると思いますが、骨組みは
50年持たせたい。30歳で家を建てて80歳まで。家を建てたときに伐採した木の
あとに植えた木がまた家の柱になるためにも。そんな中から昔の家は長持ちしたのに、
現在の家は長持ちしないと言われる原因も見えてくるような気もします。
修繕で最も多く頼まれることは床のぐわつきです。原因はたくさ
んありますが、代表的な原因をいくつかあげてみたいと思います。
1 床板が弱っている場合。
2 根太、大引、縁束等下地が弱っている場合。
3 柱、土台の骨組みが弱っている場合。
1の場合は、比較的簡単に直せます。床板を取り払い新しい床板に張りなおせばOKと
いう場合が多いと思います。12ミリの合板の床だと10年も過ぎるとぐわつきが出てくる
こともあります。15ミリの桧のムク板だと50年持つと思います。またムク板だと部分的な
修繕も可能です。材料の単価を比べると3倍以上はします。
2の場合は、原因がいくつかあります。主なものは漏水、湿気、シロアリなどです。
水廻りの漏水の場合、初期ならば漏水の修理と部分的な補修でOKとなりますが、
放置しておくとシロアリの発生することが多々あります。湿気の場合も腐れ、
シロアリの発生のがありますが範囲が広いことが多いかと思います。床下に湿気がこもらない
よう換気、床下防湿コンクリートなど考える必要があるかと思います。シロアリの発生は漏水、
湿気との要素の他に材料の問題もあります。松、米ツガ等にはよくシロアリが見られます。
でも腐れ、シロアリが2の範囲ならば修理は出来ます。早めの修理が被害の拡大を食い止めます。
3の場合になると修繕が非常に厄介になってきます。原因は、やはり漏水、湿気、シロアリなどが
多いかと思います。土台の場合にはまだ手間暇はかかりますが修理はできます。柱でも本数が
少ない場合は取り替えてもいいかと思いますが、場合によっては取り壊して建て替えなければ
ならなくなることもあります。米ツガの防虫防腐処理をした土台も多く使われていますが、
土台はヒバ、ヒノキ、柱は杉ぐらいは使いたいと思います。
シロアリの被害 |
以外に多いのが外部開口部の弱りです。サッシの掃き出し、窓の下の部分の腐れが多い。
不思議なことに昭和45年以前のサッシの使われていない家には弱りが少ないと言うことです。
どうもサッシの枠の内部結露、サッシと外壁の取り合い部分からの雨水の浸入が原因の1つで
あると考えられます。木の戸に弱りが少ないのは、濡れてもか雨があがれば乾いてしまうからと
考えられます。また、雨戸を閉めることが多い事もあげられると思います。サッシの場合枠の
内側に雨水が浸入していまうと乾きにくくなってしまう。防水透湿シート、防水テープ
外壁、コーキングの使い方を間違わないことが開口部で大事な事です。また、窓台には
赤味材を使うなどの配慮が大切と思う。
雨漏りもあります。どこが漏っているか特定しにくいのが本音です。窯業系の外壁の使用頻度と
共にコーキングに頼る施工の普及も原因の一つである事と思われます。現在はコーキングも
改良され非常によくなってきています。大工、板金屋さん、外壁屋さん、防水屋さん、
塗装屋さんの連携が大切な事は間違いありません。雨漏りもそのままにしておくと腐れ、
シロアリの発生へと進んでしまいます。何にでも言えますが早く直すことが肝心です。
屋根は雨漏りに代表されるかと思いますが、軒先の腐れも割合に多いものです。
雨漏りの最も多いのは屋根の場合は谷と呼ばれる個所です。谷を作らないのが
いいのですがそうもいかない事が多いものです。施工上の問題が最初からある場合、
後からのなんらかの要因による場合があります。施工上の問題では立ち上げの不足、
折り返しをしてない場合、重ねの不足等があります。これらは外見からはなかなか解りません。
後の要因では、谷に枯葉のつかえ、鳥の巣、風などによる瓦のずれなどがあります。
これらは、時々目を配ることでいくらかは解決できます。
1 葺き止めも雨漏りのしやすい個所です。屋根下地材の立ち上げの不足、漆喰の剥離、
雨押の上の銅版の立ち上げ、折り返しの不足、継ぎ手の隙間などの原因があります。
瓦屋根の棟の上下の波打ちによる雨漏り、平葺きの不足も雨漏りになります。
2 軒先の腐れの問題があります。金属板、カラーベストなどの屋根によく見られます。
軒先の水の切れが悪いのが原因かと思います。正しい施工で解決はできます。
3 軒先の腐れと同じような事で破風板の腐れがあります。こちらは雨に当たる事で生じます。破風板を
覆う、赤味材を使うなど検討するなどする必要があると思います。
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