愛しさと切なさの狭間で惑う*6

 


星降る公園で別れてから三ヶ月の時が流れた。

少女の想いとは裏腹に、日常は平凡に、そして足早に過ぎていく。


小夜は気がつくと、いつもその姿を探していた。



学校でも…部活の間も…家にいるときでさえも…

どこにいても、目がひとりでに黒尽くめの男を捜す



———あの人は今、何をしてるだろう…?



小夜の胸は、日を追うごとに募る想いでチリチリと焼かれていく。

そして、笑顔よりも溜息をつく日が多くなっていた。


食欲がないのか、用意された朝食にも殆ど手を付けていない。

好物のゆで卵でさえ残した小夜に、カイは不安を覚えた。


カイは、煮込み料理の下ごしらえを終えた寸胴をコンロに乗せ火をつけた。


「小夜。今日はジュニアんとこに行く日だぞ。忘れんなよ?」


カウンター越しに、上の空で窓の外を見つめる娘に声をかけた。


「あ、うん…大丈夫!」


“貧血症の治療”と称しての小夜への輸血は今も続いている。

これまでジュリアが担当していた小夜への“治療”を、彼らの息子のデビッド・ジュニアが引き継いで一年になる。

母親に面差しが似ているジュニアはとても穏やかな人物で、小夜の素性をすべて知った上で赤い盾の医療チームに所属していた。

小夜もこの穏やかな人物を気に入っていて、治療にも率先して通っていたほどで


しかし、ハジとの一件以来、小夜は治療に熱心ではなくなっていた。

忘れたと言ってはサボることが多くなっている。


定期的な輸血がなければ小夜は生きていけない

何も知らない小夜は、その輸血さえないがしろにする…いつ倒れるかとカイも気が気ではなかった…


「今日はサボるなよ!大会も近いんだし、倒れたら大変だろう!?」


「う、うん!大丈夫だってば!行ってきます」


引きつったような笑顔を向け、その場を逃げるように家を出て行った。

『小夜もアイツも、一体何を考えてるんだか…』

不器用な二人を思い、カイは自分に何ができるのかと考え込むことが多くなっていた。



———何かきっかけがあればいいんだが…



カイは、以前のように笑わなくなり、ぼんやりしている事が増えた小夜が、どこか遠くへ行ってしまうような気がして心配だった。




授業が終わり、小夜は診療所へ向かうバスへ乗り込んだ。


バスの中には買い物帰りの主婦や、他校の制服を着た男女で割合込んでいた。

辛うじて空いていた後部座席に落ち着くと、バスがゆっくりと走り出す。

ゆらゆらと揺れるバスは、気怠い体に心地いい


車窓を流れる景色は、ぼんやりと小夜の目の前を通り過ぎて行く

窓から注ぐ午後の日差しは、車内のあらゆるものを茜色に染め上げていた。


商店街の交差点でバスが止まる。

大型エンジンの振動が、程よくクッションが利いた座席から体に伝わって、少女の眠気を誘う…眠りの中でなら、あの人にあえるのに…そんなことを考えながら…


まどろんでいるうちに、大型犬のような唸りをあげたバスが重そうに動き出した。

たくさんの車が行き交う交差点を左折した際、商店街のアーケード下でこちらを見ている黒い人影が目に飛び込んできた。


「あ!」


思わず窓に張り付き外を伺う。

アーケードはたくさんの人が行き交っていたが、蒼い瞳は確かに自分を見ていた。


———あの人だ!!


降りたくともバスはすでに走り出し止める事はできない。

バスは無情にもさらに速度を上げて小夜を運んでいく。


次のバス停はまだまだ遠く、小夜は窓に張り付いて必死にその姿を探した…が、最早どこにも見当たらない…

小夜は深いため息とともに、体を丸めて顔を覆った。


診療所にはあと停留所3つを通らなければ行けない。

ーーーあの人が行ってしまう!

小夜は商店街近くのバス停で降りると、さっきのアーケードに戻ろうと踵を返す、今戻ればまだ会えるかもしれない!そう思って

だが、数歩駆けたところで、突然 目の前が白く弾けた…




『早く行かなきゃ…』


———さや…


『はやく…あの人が…行ってしまう…』


———小夜…


体が重い…頭もぼんやりして……


「小夜」


…ん…」


小夜は重い瞼を押し上げ漸く目を開けた。

ぼんやりと辺りを見回す小夜に、男の低い声が囁いた。


…気が着かれましたか?」


…え?」


…あれ?この人……あの人に似てる気がする…すごく会いたかった…あの人に…


「小夜」


…ハ…ジ…?」


心配そうだった顔が、僅かに柔らかくなった。

…これは夢?小夜はぼんやりと重い手を持ち上げて頬を抓(つね)ってみる。

……痛い…ということは…


……小夜?」


小夜の行動に青年は、不思議そうな顔になった。

夢を見ているのかと思っていた小夜に、覚醒はいきなり訪れた。


「わ!!ハっハジ?!」


驚いて起き上がろうとする華奢な肩を力強い右手がとめた。


小夜は信じられない気持ちだった

ずっと会いたいと願っていた…もう会えないと諦めていた人物が目の前にいるのだから。


男は、狼狽している少女を落ち着かせようと、穏やかに口を開いた


「まだ起き上がらない方が…」


…え…?」


……貧血を起こしたようです…ご気分は?」


…貧血?わたし診療所に向かってて…」


…診療所?まだ先ですが…どうしてこんなところに?」


小夜は言いかけて思わず口ごもった。この男を探しに行こうとして倒れたのだから。


…?小夜?」


心配そうな顔が、急に赤くなった顔を見詰めてくる。


恥ずかしくて顔を背けると、人気のない林の中に強い日差しを避けるように寝かされていることに気がついた。惜しげもなく晒されている足は、黒い上着によって隠されている。

二人きりが嬉しいはずなのに、同時に気恥ずかしくもあって落ち着かない


「あ…あの…もう、平気だから…」


まだふらつく頭に手を当てて、髪を掻き揚げる振りで起き上がろうとする小夜を、ハジの右手が優しく押し戻した。


…あ…」


「もう少し、横になっていてください」


まるで組み敷くように、右腕が小夜の左肩を抑えた。

小夜は、心臓が口から飛び出すのではないかと思うほど胸が高鳴っていた。


「あ、あの…ハジは…どうしてここに?」


まさか、会えるとは思っていなかった小夜は、もっと可愛い服を着てくればよかった…と、おかしな後悔に駆られていて身が縮む思いだった。


………」


そんな小夜の心情など知らず、問われた青い瞳は何も答えない。

ただ黙ったまま、ひやりと冷たい掌が小夜の乱れた前髪をそっと整えた。


…ハジの手…冷たくて気持ちいい…」


一瞬、青い瞳が見開かれ、すぐに穏やかな笑みが浮かんだ。

小夜はその笑顔に魅入られたが、どうして笑ったのかと不思議に思った。


「?…私、変なこと言った?」


…いえ、すみません。以前、貴女が同じことを仰ったのを思い出して…」


思わず緩んでしまった頬を慌てて引き締めた。


…ハジの知ってる私って…どんなだった?」


……………」


一目で困惑しているのが分かった。小夜は思わずクスッと笑いを漏らした。


…そんなに困った顔しないで…貴方との思い出を教えて欲しかっただけなの…」


そういうと、寂しげに微笑む。



———自分と小夜の思い出…



暫し目を閉じると、たくさんある思い出の中に浸っていた


…あの頃は、無茶な事を言っては、いつも私を困らせて…」


「ええ!?ど、どんな事を?」


蒼白かった顔が朱に染まる。すっかり血色が良くなった顔を見てハジはホッと安堵したが、表情は崩れない。


…そうですね…私の身長が自分より高くなったのが気に入らないと言って、低くならないと口を訊かないと言い出し、本当に一日口を訊いてくれなかったり、どしゃ降りの雨の日に限ってピクニックに行きたいと言ってみたり…それから…」


幸せに満ちていたボルドーの日々を思い出し、ハジの目が懐かしむように細められた


「わわわわ!!も、もういいよ!!」


自分の我儘なエピソードが、彼の口からまだまだ出てきそうなので、小夜は慌てて遮った。

恥ずかしかったのもあるが、それ以上に、ハジの表情が気になったから


…その顔は、遠く離れた恋人を想っているみたいだと、小夜はふと寂しさがこみ上げてきた。

自分と彼との思い出の筈なのに、知らない人のように思える…小夜は、過去の自分が羨ましくて仕方がなかった


……私、ずいぶん我儘だったのね…」


……私は…楽しかった…」


「え?」


ボソッと小さく発せられた声音は、小夜の耳には届かなかった


「あ…あの!」


…はい」


小夜は青年の袖を掴み、意を決したように向き直った。


「あ、貴方は、私の何?どんな関係だったの?」


………小夜…」


「お願い…それだけでも教えて!!」


………………」


酷く困惑した顔に、小夜は怯みそうになる…しかし、いまここで別れてしまったら絶対に後悔する!

小夜は震える瞳で蒼い双眸を見詰めた。


………そんなに……知りたいのですか?」


……うん」


……とても…恐ろしい話…ですよ?」


……でも…知りたいの…」


ハジはふうっと溜息を吐くと、考え込むように瞼を落とした。


潮の香を乗せた風が、ざわざわと木々の葉を揺らし、向かい合う二人の頬を撫でて通り過ぎた。

車の音にまぎれながら、浜に打ち寄せる微かな波の音がこの沈黙に彩りを添えていた。



長い長い間、ハジは考え込んでいたが、やがて静かに口を開いた。


……私の翼を…覚えていますか?」


途端にあの夜の異形の翼が思い出された。


まるでコウモリのように…大きな…



…大きな…黒い翼…



小夜は、こくんと頷く。

僅かに震えるその姿に、ハジは胸が引き裂かれそうだった


本当なら、どんな望みでも叶えるのがシュヴァリエである自分の役目…これまで、長い間そうしてきたように…

『それが、貴女の望みなら』と受け入れてきた



しかし…と、ハジは目を閉じて考えこんでしまい、再び沈黙が広がった。

やがて意を決したように目を開けると、薄蒼い瞳が小夜を覗き込んだ。


…小夜、私が人ではないことは、もう分かっていますね?」


…………うん」


小夜は、どう答えたらいいのか逡巡したのち、静かに頷いた。

それを確認するかのように、薄蒼い瞳はそれよりも濃い空を背負って小夜を見下ろしている。


「私は、貴女の……貴女の生き血を喰らう者…です」


…え…?いき、ち?」


小夜は予想外の言葉に虚を突かれ、ぽかんとハジを見返した。

一体なんの冗談だろう?つまらない冗談を聞かされたかのように、小夜は引きつった笑みを浮かべる。



バサッ!



突然、少しの風を巻き起こして異形の翼が現れた。

小夜はビクリと体を強張らせた。


細身の青年の背に生えた漆黒の翼は、まるでパラソルのように大きく広げられた。

覆い被さるその影に、小夜の顔から血の気が失せた。


再び気を失うのではと危ぶむほど蒼白な顔に、ハジの目も悲しみの色が濃く浮かぶ。


「私は…貴女の血を喰らうために…ここへ来たのです」


……う、そ…だよね?…だって…」


……私は、俗に言う…吸血鬼です。貴女の血を啜って生きてきたのです」


…きゅう…けつ…き…?…え、でも…さっきの話は?」


ついさっき、自分の過去に嫉妬したあの話…あれはなんだったのか…?

小夜は混乱する頭で懸命に考えた。


……小夜と出会ったのは1864年のフランスでした」


…な…なに、言ってる…の…?」


体を起こした小夜は、震える自分の体を両腕で抱きしめた。


「私は…血を得んがため人間になりすまし……貴女に近づいたのです」


……え…でも、わたし…」


「貴女が好きだと言っていたあの写真…おかしいとは思わなかったのですか?30年も前の写真なのに…年をとっていないと…」


…あ…」


小夜は、傍目にも分かるほど震え始める。

恐ろしさに歯が噛み合わずカチカチと音を立てた。


…まだ、お聞きになりたいですか?」


……………」


聞きたくなかった…でも、胸に湧き上がる違和感が話の先を聞きたがっていた。

ごくりと唾を飲み込み、頷いた。


………話して」


小夜の表情に注意しながら、ハジは話を続けた。



切ない嘘は、自分でも信じられないほど、流れるように口から出てくる。



1864年…フランスのボルドーで、私は貴族の召使いとして貴女に近づき、貴女が私に気を許すのを待っていた…そして、数年が経ち、貴女がすっかり私に気を許した頃…私の血を与え…貴女の時を止めたのです」


…………」


小夜の顔は驚愕とは違い、複雑な表情でハジを見ていた。



————何かがおかしい…



小夜の中で違和感が大きく膨らんでいく…彼は嘘を言ってる…?

何故そう思うのか…小夜はその違和感の正体が何なのかと、ハジ言葉に耳を澄ました。


1885年…私の正体に気がついた屋敷の主は私を捕らえようとし、私は彼らを手にかけ…屋敷を燃やし……貴女を攫った」


「ま、まって!それじゃあ響や奏は?あの子達は私の姪だって聞いたわ!年だってとっていない」


ハジは、辻褄を合わせるために考え込むと、再び口を開いた。


「貴女には双子の妹がいました。彼女もまた他の吸血鬼の糧として攫われ、やがて彼女は子を身篭った…それが彼女達です」


……そ…んな…」


小夜は俯くと、この荒唐無稽な話をどう理解したらいいのかと懸命に考えていた。



…よくもこんな嘘がスラスラと出てくるものだ…』と、ハジは自分自身に呆れた。

小夜に嘘をつくのはこれが初めてだった。


震える小夜を目の当たりにしながらも、彼女がこの嘘を信じてくれることを願っていた。



小夜の過去は、私がすべて持って逝く……ハジの唇が、ほんの僅かに笑みを浮かべる。



…長い時が過ぎ、私は戦争の大きな混乱の中で貴女を見失ってしまった…」


小夜はただ黙って聞いていた。

その表情は、ショックを受けたというよりは、お伽話を聞かされている子供のようなそんな表情だった。


「見失った?」


「はい。そして、長い間各地を探しまわり…数十年かかってようやく見つけだしたのです」


白く細い指先が小夜の頬を撫でた。

小夜はただ静かに見詰め返してくる…嘘を見抜いているのだろうか?そう思えるほど、その瞳はまっすぐに見詰めてくる…


「カイの元で幸せそうに笑う貴女を見つけて……もう潮時なのだと思いました…」


…しおどき?なぜ?」


小夜は、違和感とは別に、言葉にならない不安が込み上げてくるのを感じた

身を乗り出し、男の袖を掴んだ。


…小夜はずっと、自由になりたいと言っていました…自由に世界を見て回りたいと…」


これは嘘ではない…小夜の望みは、自由に生きていくこと…

自分の存在がそれを妨げる…ハジはスッと視線を外した。


…貴方は…どうなるの?…私の血がなければ生きていけないんでしょ?」


袖をぎゅっと握り締める。話のすべてを信じたわけではなかったが、この青年に自分を必要だと言ってほしかった。

ハジは視線を外したまま言葉を捜す


……また探せばいいことです。…だからもう…小夜は……必要ない…」


冷たく突き放した言葉に、小夜は身動きができなくなった。

頭の中が痺れ、目の前がぐらぐらする…さっきまで心地よかった木々のざわめきさえ何も聞こえない…


感情さえもなくしたように、大きく見開かれた瞳からは、涙が止め処もなく溢れる


…小夜…泣かないで…」


小夜の涙に堪え切れず、ハジがそっと頬に触れた。

暖かな頬はやはり震えて……


…そ…んなの…」


「小夜?」


震える声にハジが覗き込むと、小夜がその胸に飛び込んできた。

白いシャツの胸元を掴むとぐっと顔を近づけた。


「そんなのダメ!血なら私がいくらでもあげるっ!……だから…」


————必要ないなんて言わないで!


シャツに顔を押し付けた最後の声は、熱い息と共に男の胸に突き刺さった。


…小夜…もういいんで…」


「いやいやいや!!私以外の血なんて飲んじゃダメ!!絶対ダメ!!」


……小夜?」


……ぜったい…ダメ…私があげるから…」


…………」


わがままはたくさんあったが、こんな風に駄々をこねる小夜を見たのは初めてだ。ハジは愛しさで胸が張り裂けそうだった。


小夜が…こんなにも自分を想ってくれている…抱きしめたい衝動をどうにか押さえ込む。

片手で小夜の体を引き離そうとするが、華奢な体は男の体に腕を回してしがみ付き離れない


仕方ないと諦め、震える背中をそっと撫でた。

小さい子に言い聞かせるように静かに囁く


…潮時だと…いったでしょう?私にはもう…時間が残されていない…」


……え?」


涙に濡れた顔でハジを見上げる。その顔はこれまで見たことがないほど、まっすぐに自分を見つめている。

ハジはしまったと唇を噛んだ。こんな話までするつもりはなかったのに


「ハジ…時間って?」


…この体が…もうじき塵となってしまうということです」


これも嘘ではなかった…もういつ胸の鼓動が止まるか分からない…ハジの衰弱はすでにギリギリのところにきていた。

だがもともと沖縄に来たのは、血を得るためではなかったのだ。


ただ、最後に小夜の笑顔を見ておきたかったのだ…それなのに…


……死んで…しまうの?」


これ以上、小夜を悲しませずに別れるにはどうしたらいいだろう…そんなハジの思考は、小夜の震える声で打ち消された。

腕の中で震える愛しい少女…できるなら、ずっとこのままでいたい…だが、それはできない…


…吸血鬼とっても寿命があるんです。不老不死というわけではない…ということですよ」


男は事も無げに笑った。

これまであまり表情を崩さなかったハジが、にっこりと笑った顔を見て小夜は初めて恐怖を感じた。


……どうすればいいの?どうすれば…ハジは死なずにすむの?」


…小夜…」


…血!」


小夜は力任せに自らのシャツを引き裂き、ハジの前にその白い喉を晒した。


血を奪えというのだろう…命脈打つ白い喉に釘付けとなった


小夜の思惑とはまったく別で、ハジにはその白い肌を味わいたいという欲求が湧き上がる。

いっそ、押し倒してしまおうか…そんな考えが浮かび、思わず笑みを浮かべてしまう


……ハジ?」


…お心遣いは嬉しいのですが…小夜…男にそんな姿を見せてはいけません。」


ハジは困ったように苦笑いを浮かべると、シャツの胸元を合わせて目に毒な首筋を隠した。


「それに、小夜のすべての血を飲み干してしまうかもしれませんよ?」


…それでハジが助かるなら…いいよ」


本来の主が、ありえない発言をする…ハジは堪らず抱きしめた…

小夜の髪に頬を摺り寄せ、赤く色付く耳に低く囁きかける。


…小夜の血を飲みつくして…その後はどうするんですか?」


…その後?」


「小夜がいなくなってしまったら、結局、別の誰かを糧にすることになりますが?」


「!…むぅ…」


そこまで考えていなった小夜は、ハジを押し退けるように腕を突っ張ると、唇を尖らせて拗ねた顔をした。

その顔があまりにも可愛らしく、ハジは思わずその唇を塞いだ。


「ん!」


片腕できつく抱かれ身動きがとれなかい…激しい口づけで息も苦しい…

でも、小夜は抗うことなく身を任せた。


やがて、体がゆっくりと草の上に横たえられた。


貪るような口づけは、小夜の思考までを奪う。

小夜は、ただただ夢中で覆い被さる体にしがみついた。





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UP* 10.4.19

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壁紙は【Miracle Page】様からお借りしました

ハジよ・・・気持ちはわかるけど、

・・・外で押し倒しちゃ駄目だろう・・・