オンラインカジノに対する見解とtips


 最近、急速にオンラインカジノ業界の動きも激しく、関連HPも2001年頃から雨後の筍のように登場している中、「吠太郎の見解はどうなんだ?」にという質問を受けることがたまにあります。オンラインカジノ関連サイトは情報量の多いものも出て来ていますが、単純な理解不足や誤解、あるいは特定のカジノへの誘導etcのため、意識的あるいは無意識のうちにカジノ側に立ったスタンスを取った解説を行っている場合も非常に多く散見されます。一つのHP内でも正しい情報と誤りが錯綜していることも非常に多く見られます。そこで、様々な情報の「真贋を読み解くための留意点」を少しまとめてみます。ただ、この業界は急激に変化しているので、私自身の見解も当然今後とも揺れ動く可能性は大きいです。

1. プレーの違法性について
 私は判断を行う能力はありません。しかしながら、「日本国外に設置されたサーバ上のオンラインカジノに対して、日本在住者が賭けを行うことを日本国刑法に抵触する可能性がある」との見解が一般的ですので、あえてこのような行為を国内で行う場合には、リスクを承知の上自己責任で行うべきであると考えます。従って、以下の情報はオンラインカジノを推奨するものではなくあくまで、日本国外在住で法的リスクがない方及び、あえてリスクを犯す方への参考情報として記載するものです。

2.ゲームの公平性について
 「公平」の考え方は一意ではないのですが、「カード・サイコロなど現実の道具を模したゲームにおいては、これらの出現確率はランダムである」という運用を行っている可能性が高いと推測されます。また、スロットにおいては「ある絵柄が出現する確率は固定でありかつランダムである」という運用を行っている可能性が高いと推測されます。即ち、ネバダ州とのランドカジノに対するregulationとほぼ同様の意味での公平性がある場合が多いと推測します。
 また、また業界ではしかるべき機関が認可するなど公平性・信頼性を担保するための試みをいろいろ行っていますので、しっかりとしたオペレーションを行っている所は、まずまず信頼性が高いと考えます。また、評判の高いシステムを導入している所も信頼性が高いと言えます。もちろん事態は極めて流動的ですので、複数の独立のソースから最新情報を確かめることが肝要です。
 ライブポーカーの場合は、レーキで安定した収益が望める訳ですからカード自体はランダムに配られていると考えます。しかしながら、ポーカーの場合2人以上のプレーヤー同士が組んでいる場合があるので高いレートでは特に警戒が必要でしょう。オンラインにはチームプレーを監視するdealerもいない訳ですから、プレーアクションのみからこれを判断する能力を身につけることがリアルで行うポーカー以上に重要だと言えます。 なお、高目のレートだと雀荘で言うところの、賑やかしの為の「メンバー」(shill)がテーブルに入ってくる可能性があります。これはリアルなポーカールームでも行われていることであり、公平性とは関係ありませんが、彼らは当然一定のスキルをもっていますのでその意味では注意する必要があります。
 しかしながら、7.で後述する問題もあり、常に疑ってかかる意識でプレーすることは必須です。

3. 必勝法・戦略について
 攻略法・必勝法として、21世紀になってもパーレーやマーチンゲール等マネーマネージメントが解説されている場合も多いようです。本サイトの読者には眠た過ぎる話であるとは思いますが、これらは全く必勝法とは関係ないオヤジ理論であり必勝法ではありません。5.でも触れますがパーレー等は、損失を増大させる負の効果もあります。マネーマネージメントについて、例えば 「・・・ハウスエッジがあるため通常の方法では勝てない。従ってツキをうまく利用するためにマネーマネージメントを利用するのが良かろう・・・・」 のようなことが語られている場合には、この記述が明らかな間違いであるばかりではなく、そのサイトや人が書いた他の部分の情報の信憑性も大幅に割り引いて受け止めた方が安全でしょう。
なお、Video PokerにとBJには最適戦術があります。これらは損失を最小化するためには必須ですが、これらを遵守したとしてもオンラインカジノの条件下でpay out率100% overとなることはまずありません。Card Countingも事実上無意味です。(極く限定的に100% overのdeuces wildが登場したことやBack countingで一定の収益を得ることの可能なゲームやルールが登場したことはあります。)

4. サイバーケンチャンマン対ハウスの戦い 
 楽しけりゃ良いというマインドの形には何も言うことはありません。しかしながら、ポーカーとスポーツブック以外で勝ち組に回る唯一の戦術は、不正なhackingを除くとボーナスを賢く取る以外にありません。周知のようにオンラインカジノにおいては、sign up bonus(ご新規様限定), on going bonus(継続顧客向き)等、多様なbonusが提供されます。また沢山遊んだプレーヤーには更なる優遇プロモーションを提供することもあります。
 カジノ側は当然のことながら、ボーナス狙いの顧客を"Bonus hunter"あるいはもっとえげつなく"Bonus abuser"などと称して、出来る限り排除しようとします。この一環として、これらが「犯罪に等しい」行為であるかのような世論誘導も行っています。本来"abuser"とはソフトウエアのハッカー、1個人で複数のアカウントを作ってサビ抜きする場合、クレジットカード操作などの詐欺的な行為でカジノに預けられている金額以上の出金を行うことなどを指すものですので、このようなレッテルの貼り方は、所詮は「ケンチャンマンお断り」と店の前に張り紙している○円ポーカー屋と同じで、ハウス側の一方的な言い分なので気にする必要はありません。(注:ケンチャンマン:某国の非合法ビデオポーカー屋において、店が配布するサービス券狙いでのみプレーするプレーヤー)。但し、ケンチャンマンやガジリ(某国のアングラカジノにおいてサービスのみを目的としてプレーするプレーヤー)の認定が店の判断次第であるように、例え表面的なTerms and Conditionsを遵守していたとしてもbonus abuserの認定もカジノ側の論理によって下されます。
 従って、プレーヤーの取るべき行動は、ガジリやケンチャンであることを悟られないようにかつリスクを少なくサビ抜きすることに尽きます。そのためには、既に多くのプレーヤーが実行しているようにMinimum Wager Requirement(MWR:ボーナスを正式に取得するために最低限必要な総賭金)に対して、ある程度大きな額遊ぶとか、たまにはボーナスなしの入金とプレーを行う等が必要になります。どの程度これを行えば十分かはケースバイケースとなりますが、肝心なことは、これらのカモフラージュの「コスト」を含んだ、ボーナスの真の価値をシビアに計算することです。これは非常に当たり前の式ですが

 ・「総」賭け金×ハウスエッジ=コスト

となります。計算は単純なのですが、「カモフラージュをコストの算出」をいい加減に行っている(あるいは定量的に計算しようともしない)方も非常に多いと思われますので常に注意すべきです。

5.ボーナス期待値の最大化
 ガジるための基本はボーナスの期待値の最大化です。直感に反しますが、「波の少ないゲームを最小単位で行ってMWRを満たす」というプレーの仕方はボーナス取得のためのリスクの最小化にはなりますが、ボーナスの期待値を最大化に対してはマイナスの効果をもたらします。
例で示します。

(架空の例)
・新規ボーナス$100の購入に対して$100のボーナスが付与される
・MWRはボーナスの20倍(=$2000)
・単純のため、コインの裏表を当てたら1.92倍の配当がつくゲームと、1から8まで、ランダムに出てくる数字を当てたら7.68倍の配当がつくゲームがあるものとする。(どのゲームもpay out率は96%であることに注意)

(ボーナス期待値の計算)
a)最小単位で賭け続けた場合
この場合、リスク最小で打っているのでパンクしないものとすると
$2000のプレーに対して、リターンは$2000×0.96=1920$
従って、プレーの過程で平均的に($2000- $1920)=$80損をするので
最終的に手元に残るのは$200 -$80= $120
従って実際のボーナスの価値は
$120 - $100 = $20

b)最初に全額を7.68倍へベットし、うまくいったら後はリスク最小の打ち方をする場合
・7/8の確率で破産

・1/8の確率で
 最初の一発勝負で資金は$1536になる
MWRを満たすためには残り$2000-$200 (最初に賭けた$200分)=$1800のプレーが必要
a)の場合と同様の計算で、この間平均的に$1800*(1-0.96)=$72 損をするので、最終的に平均値として$1464が手元に残る。

a)とb)から、最終的に手元に残る金額の期待値は
$0×7/8 + $1464×1/8 =$183

従って実際のボーナスの価値は
$183 - $100 = $83

となります。要はWRを満たすためにパンク覚悟でベットすれば、ハウスエッジで資金を少しづつ削られていく機会がを少なくなるので、期待値としてはボーナスの価値が高くなると言う訳です。

さて、
I:最初の入金額(Initial Bankroll)
B:ボーナス(Bonus)
r:ゲームのペイアウト率(pay out Ratio)

とし、ペイアウト率rはどのような賭け方でも一定とします。上の戦術を取った場合のボーナスの期待値は、倍率の大きい(リスクの高い)ベットをした方が大きくなるのですが、その極限値(理論的には配当∞倍の賭けをした場合)は

 ボーナスの最大期待値=r(I+B)-I  (1)

となります。即ち、あくまで理論的ではありますが通常形式のボーナスであっても最大期待値はWRのに依存しないところがポイントです。なお、当たり前ですがボーナスの最大期待値がボーナス金額そのものを超えることはありません。[ 現実的条件では B > r(B+I)-I が常に成り立つということ]

他の形態のボーナスについても、同様にしてボーナスの最大期待値を見てみます。

・Sticky Bonus (ボーナス分は払い戻し不可)
 この場合、ボーナス分が戻ってこないことのボーナス期待値に対する影響を最小化するためには、通常ボーナスと同様、倍率∞のベットの一発勝負に出ることになります。この場合のボーナスの期待値も式(1)となります。

・Freeze Bonus (残高がある規定値以上にならないと払い戻せない)
 この場合は、一発勝負で(入金額+ボーナス)が規定された値を超えるようなベットをすることが最善となります。(この条件を満たすベットならなんでも言い訳ですが、リスクを最小化するためには、勝負に勝ったときに丁度この規定値となる倍率のベットを選ぶことになります。)
この場合のボーナス期待値も式(1)となります。

 即ち、上記3タイプのボーナスにおける理論的なボーナスの最大期待値は共に等しく、簡単に式(1)で表すことが出来るという訳です。
なお、「入金額Iに対する、"ボーナスの期待値+入金額"の比率」は、入金に対してボーナスを取りに行く行為を行ったときのpay out率と見ることが出来ますから、これもボーナスの期待値の絶対値と同様重要な指標となります。言い換えればボーナスハントのpay out率です。式で表すと

ボーナスハントのpay out率= {r(I+B)-I+I}/I= r(1+B/I) (2)

です。

 上記の指標はあくまで理論値なボーナスの効用の限界値ですが、式(1),(2)を用いれば複数のカジノのボーナスオファーを横並びでラフな形で比較検討することが可能になりますので覚えておいて損はない式です。リスク対効用の観点からは(2)の値が大きい、即ち入金額に対するボーナスの比率が大きいことが重要となります。また、現実には当然上述のようなベットの仕方を警戒してボーナス取得に様々な制約条件をつけているケースも非常に多いですし、また、確実にボーナスを手にいれつためにはあまりリスクの高いベットは避けなければならないでしょう。WRを満たすために最小単位で賭け続けることが現実的な戦術である状況も当然ありえます。横並びで比較する場合も、式(1)(2)を用いた値と、WRを満たすうち方をした場合の期待値など複数の指標を用いてより多角的な比較検討を行うことも重要です。
 実際にどの程度大胆に振舞うかは

 ・ボーナス狙いのベットの出来る機会はどれくらいか?(英語のカジノや評判のあまり良くないカジノを避けるのであれば機会は減少する)
 ・どの程度のリスクを取りたいのか?
 ・特定のカジノと長くつきあいたいのか否か?
 ・トラブル時に交渉する気力と時間と能力がどの程度あるのか?
 ・ボーナスを取得出来る対象ゲームと賭け方は何か?
 (出来れば、ゲーム自体の期待値と結果の分布が分かっているクラップス等が推奨されるが除外されている場合も多い。また、スロットは個々のゲームベット時の結果の分布と期待値が不明なので、ジャックポット狙いの一発を除けば出来れば避けたい。しかし対象ゲームをほぼスロットに限定している場合もある)
 ・通常ボーナスの期待値を大きくするために何度も全額出金することで警戒されないか?ペナルティは発生しないか?
 (長くつきあいたいのであればたまたま、残高が0になった場合などに限定して実行するなどの工夫が必要。また残高が0になってもボーナ スアカウントのマイナス分が残っているというアコギなカジノもある)
 ・どのうような行動を取れば、有利なボーナスオファーを継続的に獲得できそうであるか?

など様々な要素を総合的に判断する必要が出てきます。
 また、上記の方法は基本的にはリスクの大きいベットの仕方をすることになるので、ルール上禁止されていない範囲で、勝ち負けの相関が高いヘッジの形のベットが行えるような工夫をする余地がないかも点検しましょう。ガジリがチームプレーでプレーヤーとバンカーで同額を賭けるキャッチボールと同様、1人で行うだけでなく、2人以上の複数の人間が組むことも可能な限り行なえばなお収益の安定化につながるでしょう。カジノもこの点は警戒しているので、キャッチボール可能な状況は常に存在するとは限りませんが、その機会があるかどうかを常に考えるクセだけはつけましょう。
具体的な手法はいろいろありますので各位工夫してみて下さい。また、本稿では式(1)(2)の導出過程をいちいち説明していませんが、時々刻々変化するボーナス条件の穴をみつけるためにも自力で計算する努力が必要です。また、この程度のことは気の利いたサイバーケンチャン(card counterくずれなど)であれば、独立に結論を出して実践していますし公知の事実でもあります。

 なお、上記の方法でリスクを高いベットを人工的に作り出すために例えばバカラのバンカーなどでパーレー賭け(転がし)を行うことも考えられますが、実はパーレーは実効的な期待値を下げる効果があるので、多数回パーレーを続けることはもっとも避けるべき行為です。意外と看過されがちな盲点ですが、この点については「パーレー行うべからず」のコラムを参照して下さい。

6. お勧めのゲーム
 ガジリに徹してもここ暫くはそれなりの収益をあげることが可能でしょう。しかしながらいつまでもこのような状況が続くとは考えにくいので、長くオンラインカジノとつきあいたいのであれば、ライブポーカーやスポーツブックも視野に入れるべきです。これらのゲームのbonusはカジノ系より薄いことが多いですが、それでも賭ける機会を増やすことによりより収益の向上が当然望めます。またこれらの種目には技術が介在するので、技術を向上させることが出来れば、ゲームそのものによる収益も当然期待出来ます。
スポーツブックについてはNFL sportsbook: ultimate weapon for wise guysのコーナーも参照して下さい。ポーカーについては、2003のWSOP(世界1を決定するトーナメント) で、極安レートのオンラインカジノのトーナメントに勝って出場権を得たMoney Maker氏が優勝した効果によってちょっとしたブームになっており、プレーヤーの平均レベルが一時的に非常に下がっています。たとえていうならば、Money Maker氏以前は、フリー雀荘に通ったことのあるクラスのそれなりに経験を積んだプレーヤーが主だったのに対して、Money Maker氏以降は、東風荘のノーレート麻雀で遊んでいるクラスのプレーヤーが大挙して参入している状況です。このようなぬるい状況はいつまでも続くとは考えられませんが、まだおいしい状態が続いています(as of March 2004)。私の近隣にもポーカーだけ、スポーツブックだけという得意分野に徹して、十分な収益を挙げている方がそれぞれいらっしゃいます。

7. 運営と換金の信頼性について
 何らかのトラブルが生じたときに、「風評を損ねては結局損である」という観点からプレーヤー側に立った判断をする場合もありますが、最終決定権があるのはカジノ側にあるという論理で、カジノは自らに都合の良い判定を行うことが多く見受けられます。まだ、「プレーヤーがインチキをした」という理由で、配当をつけない場合もあります。オンラインカジノでプレーする行為が脱法的でありまた国際的でもあるので、このような事故があったときに強制力のある第3者機関に訴えることは事実上不可能です。
 また、オンラインカジノの中には経営が不安定な場合も多く、プレーヤーへの払い戻しが著しく遅い場合や払い戻しがされない場合もあります。経営方針の突然の変更もあるので注意が必要です。送金手段も最近はかなり限られてきており、換金リスクも高まっています。これについても警戒が必要です。

8. まとめ
 オンラインカジノはプレー自体の合法性がクリアではない。運営・換金・公平性など様々なリスクが存在する。従って自分の状況を慎重に検討して「手を出さない」という決断をすることも必要。あえてリスクを取るのであれば、最新情報の複数独立ソースからの入手は必須。現状でもボーナス狙いで勝ち組に回っているプレーヤーもいるので丁寧に付き合えば、当面は収益を得ることが出来ると判断される。そのためにはボーナスの期待値に注意し、自ら定量的・定性的にこれを算出する能力とボーナスの盲点を発掘する能力を磨く必要がある。また、将来的にはボーナスの縮小化傾向が続くという観測もあるので、長期的に攻略したいのであれば、運のみによって結果が決まるゲーム(pure chanceのゲーム)ばかりではなく、ガジリで得た余裕資金等を元手に、技術の介在するポーカーやスポーツブックのスキル向上に努めるのも一手である。


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