簡単な話、テラがでかすぎるということに尽きます。−以上ー
と言ってるだけでは身も蓋もないので、高率のテラ銭を取るバクチの馬鹿馬鹿しさは単純な丁半のゲームに置き換えて考えると非常に納得しやすいものとなるということだけ以下にとりあえず書いておきます。
【想定するゲーム】
じゃんけんに負けたら100円取られるけど、勝ったらN円儲かるというバクチ。このバクチのテラ銭率は(100−N)/2%となります。(式の導出は省略)。いわゆる丁半物のバクチで勝ったときには、テラ銭が取られる分だけNが100円よりちょっと少なくなるようなゲームですね。
1.野球賭博の場合、勝ったら1割手数料を取られるのが通例のようなので、Nは90円となります。従ってテラ銭率は5%です。いわゆる5分デラという奴で、阿部穣二によると日本のヤ○ザ系のテラはこれが標準らしい。(この手のゲームのテラを10%と錯覚している方も多いようですが、そうではありませんので念のため。)
2.じゃ、テラ銭率50%以上取られる「宝くじ」の場合はどうでしょうか。ざっくりテラ銭を50%としても、上の式から逆算するとNはなんと0円となります。即ち、宝くじというのは、「じゃんけんに負けたら100円取られるけど、勝ってもなんの儲けもないという全く馬鹿馬鹿しいゲーム」をやってるのと(テラ銭率の上では)同じ状況な訳です。どうです。こんなバクチやる気になりますか?(笑)
にも関わらず宝くじがある程度売れるのは、万一当たったときの配当が大きいからなのですが、逆に言えば配当の大きさが、あこぎなテラ銭を見えにくくしてしまってる訳です。
ごくたまに買う位ならわからないでもありませんが、あくまでドブに金を捨ててるという認識でやりましょう。
3.では、公営ギャンブルはどうでしょうか。俗にテラ銭25%と言われてますが、わずかな例外を除いてテラは25%より大きいのです。まあ、甘く見て25%としてみましょう。このとき、Nは50円。即ち、「じゃんけんに負けたら100円取られるけど勝ったら50円儲かる」ゲームと等価な訳です。
もっとも、競馬等の場合ある程度のスキルによって回収率が向上できることは事実なのですが、それでも勝ち越すのは相当厳しいでしょう。なぜなら、このルールの元で元金を減らさないためには、2勝1敗のハイペースが必要となります。即ち、2頭立ての競馬で、両方ともオッズは1.5倍。この2頭のうちどちらが勝つかをあてるのに、普通の人は1勝1敗ペースとなります。これを極めて高度な予想によって、、2勝1敗ペースにまでもっていくことが果たして出来るでしょうか。冷静に考えればこのようなことは相当厳しいでしょう。(レースを選びに選べばなんとか可能かも知れないぎりぎりのペースという感じですかね。)
なお、プロのブックメーカーが出したハンデを元に、どちらのチームが勝つかを当てるNFLなどのpoint
spreadの賭けは、オッズの等しい馬の2頭立て競馬と同様の状況になるのですが(もちろん、競馬の場合オッズはpari
mutel方式で決まるのに対して、NFLのハンデはプロが決めるという相違点はあるのですが)、超一流のプロスポーツベッターの長期間の的中率でようやく58%だということです。(60%の的中率を生涯に渡って記録出来れば、恐らく世界記録であろうと言われています)。あてずっぽうに賭けた場合の的中率50%を58%にもっていくことが、いかに大変なことか、このことからも類推出来るとかと思います。ましてや2勝1敗の的中率=67%というのは驚くべき数値な訳です。
まあ、いろいろと説明は出来るのですが、谷岡一郎氏の一連の書籍にもいろいろ書いてあります。かなり、クセのある本であり、明らかな誤りや、誤解を招く点、その他著者の意見に同意しない所も非常に多数ありますが、このことを了解の上お読み頂く分には、それなりの本です。
確率・統計であばくギャンブルのからくり...ブルーバックス
ツキの法則―「賭け方」と「勝敗の科学」...PHP新書