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平成16年6月1日 岩見沢東高校 vs 函館有斗高校


本日は、平成16年6月1日。札幌円山球場にて、春の高校全道大会を観戦した。
以前、講演に来てくれた岩見沢東高校 VS 函館有斗高校の闘いである。岩東は、地区予選で全試合1点差で勝ちあがり、決勝戦で駒大岩見沢を逆転で勝利しての全道。藤盛監督は、昨年グランドに伺った時に、時間制限のある練習のなか工夫して練習していた。公立高校で、運動神経の飛びぬけた選手がいるわけでもないチームを全道に導いた手腕はさすが。
試合の方は、日差しの強い中、岩東エース千葉投手と、函館背番号10番三浦投手の投げ合いで開始。岩東は、初回制球の定まらない三浦君から押し出しの四球で1点先制。函館は、すかさず4番成田君のレフト線タイムリー2塁打で追いつく。その後、3番今野君の2ランなどで追加点を奪い、終始主導権を握る。函館打線は、初球から積極的なバッティングが目立つ。6回岩東は、田中・千葉の連打で0アウト1・3塁とし代打浅山選手が、相手失策を誘い2−10とする。
岩東は、序盤相手投手の不安定な制球で、積極的に打つ行為よりも見ていく状況になってしまった。これは、自分の現役時代でも経験はあるが、相手が崩れるのを待つと、中々自分たちの流れに持ち込めない。ボールはもちろん打たないが、甘い球に関しては積極的に行かなくては、相手を完璧に崩せない。逆に待つ行為が先行すると、相手が立ち直れるきっかけを与えることになり危険。岩東は5回までそういった状況になっていた。
6回コールド寸前になった時に、転機が訪れる。相手投手の制球難で、1アウト満塁とした。2番松原君は、1−3のカウントでセカンドフライ。球場の観客は、「1−3で何で打ったのよ」の声。しかし、俺は「ヨシッ」とうなずく。相手がアップアップしてるのは100も承知。しかし、自分たちから動かなくては流れは変えられない。結果は別にして、「打ちにいった行為」は評価出来る。次打者に対し、0−3とし、ストレートの四球で3点目を奪った。ここで、「前の打者が打たなければ、押しだし2発で2点入ってたな・・」と解釈するスタンド。そうだろうか?松原君の積極性があったからこそ、次の打者の「結果」に結びついたと考えられないだろうか。自分が実際に、捕手として闘っていたなら、松原君の積極性は非常に嫌なもの。その後、追加点が出来ず、逆に失点し函館の6回コールドが成立。
函館有斗は、体の大きい選手も結構したが、自分が気になった選手は、二年生のサード渡辺君。左打者で足が速く、玄人好みの野手である!夏、長打のある左クリーンアップと共に成長を期待する。
この試合で気になったのは、岩東バッテリーである。何盗塁されたであろうか?函館は塁に出たら、すかさず動いていた。高校生で良くあるのは、1・3塁で1塁Rに対してノーマークになってることが多い。この場合、投手(バッテリー)は3Rは無視して1Rに対してアクションや意識を払わないといけない。セカンドへの盗塁は、しっかり牽制行為(牽制を投げるだけではなく)をしっかりして、クイックなりを織り交ぜれば、Rはそんなにスタートは切れない。仮に走られてもランナーと勝負出来る。しかし、ピンチになるとそういった工夫をせずに相手ペースになり、結果どうしようもなくなる。劣勢のチームは、ほとんどこういった展開になる。盗塁を刺すのは、肩が良ければ刺せるとは限らない。逆に弱くても、投手との共同作業で刺す事も十分可能である。「打者と勝負」と周囲は言うが、場面によっては走者と勝負することも必要である。そういった相手にスキを見せる野球は、俺からしてみると「甘い野球」である。
最後に、岩東は6回の松原君の行為こそ、夏に向けての大きな収穫である。
しかし、全道に出場したことだけが満足であるのなら、ここからの進化は止まるだろう。
誰かが気づき、そして反省し、夏への課題とするならまた同じ地へ戻って来れると思う。


平成16年6月1日 小樽潮陵高校 vs 帯広北高校


この日第二試合の、小樽潮陵 VS 帯広北 である。

初回守りの帯広北の小林投手は、立ちあがり制球難と相手ヒットでいきなり4失点。帯広北は、序盤の失点で浮き足立ち、外野手も間に合わない本塁送球を山なりに大遠投し、打者走者まで無駄な塁を与えてしまう。また2・3塁でパスボールを捕手の緩慢な追い方で、2Rまで本塁にかえしてしまう。一方小樽の三輪投手は、サイドから特徴を十分活かし、右打者に腰を引かせて抑えていく。
7回18−3の大差で小樽が勝利した。

小樽ナインは、グランドで徹底した「全力疾走」が行なえており、逆に帯広の緩慢さが目立つ。そういった細かいところに、今後帯広は着目して欲しい。
数点気になったことがある。

帯広の選手は、小林投手を含め結構大柄な選手がいた。しかし、皆体にキレが感じられない。ノソノソ動いている。大きいと俊敏な動きが出来ないと思っている人もいる。しかし、アメリカのNFL(アメフト)の選手は、190a・100`以上の体格で100Mを10秒台で走る選手もいる。例が極端だが、トレーニングの仕方によっては、俊敏性も向上できる。そういったトレーニングが不足してると感じ取れた。
観戦している時に、某プロスカウトと見ていたが、北海道と本州の違いについて聞いてみた。

本州の選手は、極端に言えば1月から練習試合が出来る環境にある。しかし北海道はそうはいかない。その球を握らない時にこそ、北海道ならではの練習をしっかり取り組むべきだ・・・とのお話を頂いた。まさに同感。折角、立派な体があるのに素材だけ先行し、磨かないのはもったいない。俊敏性が足りない選手であれば、個別にトレーニングをしたり工夫も必要であろう。その期間にしっかりトレーニングし、球が持てる時期にそういった「準備」をしてきたものを一気に発揮して欲しい。そしてその喜びを感じて欲しい。
もう1点気になったのは、いつも言うが「インコースの使い方」である。

この日の1・2試合とも、右打者に右投手がすっぽ抜けたスライダー系の変化球が多々あった。その球に打者は、ストライクなのに仰け反る。バッテリーはどう感じとっていただろうか?その球をなぜ意識して投げない?と、思ってしまう。確かに、インコースへスライダー系は投げるのは怖い。でも、そのインスラの効用を分かってる人は少ない。俺が、その効き目に気づいたのも、社会人で晩年になってからだ・・・。講演時に、インスラの話を必ず混ぜるが、実際に使わないバッテリーを見るともったいなく思う。スキだらけの高校野球。高校生には出来ない・・・ではなく、もっと技術以外の「考え方」「意識」の点で検討の余地ありだ。