観戦日記トップへ戻る
平成16年6月2日 釧路工業高校 vs 旭川実業高校


本日は、平成16年6月2日。札幌円山球場にて、春の全道高校野球を観戦。
釧路代表の釧路工業 VS 旭川代表の旭川実業の闘い。朝から日差しが強く、風もさほどないのでじっとしてると汗ばんでくる陽気であった。

この試合の見せ場は、何といっても旭川実業の左腕、今村君。長身から投げ下ろす角度のある球が持ち味か。しかし、120中盤のスピードしか計測されず、前評判を聞いていただけにちょっと物足りない・・・。試合は、旭川が3回セーフティスクイズで得点。釧路の投手は、打てそうで打てない投手といったところか。コーナーを上手く突き、ランナーを背負っても冷静に投げているのがスタンドからも感じ取れる。
釧路は6回2ランホームランで 2−1 とする。9回1アウト1・3塁、1点ビハインドで旭川のニ遊間は中途半端な守備位置が気になった。もう1点もやれない場面で、打者は確か一番打者。どう考えても、3Rを第一に考える場面だが・・・。結局、追加点を与え、釧路が 4−1 で勝利した。
この試合で特に感じたのは、負けはしたが旭川の走者のリードの仕方である。
大きなリードを常に取っており、相手バッテリーにプレッシャーをかける。徹底した大きなリードを取られると、普通は打者より走者を意識してしまい、本来の投球が出来なくなる投手も多いだろう。しかし、釧路の古川投手は冷静に振舞い、自分のピッチィングに終始していた。
この試合は、「走塁」について考えさせられる試合であった・・・。


平成16年6月2日 雄武高校 vs 札幌国際情報高校


第二試合、雄武高校 VS 札幌国際情報 との一戦。
何といっても、今大会右腕NO1の雄武高校エース 佐藤君 の投球が見所。そして、身体能力の高い一番ショート池田君、四番でセカンドの増田君に注目した。
この試合は、高校関係者以外の方々がずらっと顔を並べ、注目の高さが伺える。雄武の野村監督は、チームに対しメンタル的なことを重視し、試合前のノックでも色々と考えたことをして、選手に良いイメージを与えていたのが印象深い。




さて、試合のほうは札幌国際情報の左腕 武井君が小柄ながら丁寧な投球で雄武打線を翻弄していく。右打者の多い打線に対し、外のシュート回転の球を上手く打たせてゴロの山を築く。4回表に好投手佐藤君は2失点してしまう。ライナー性の取ったらダブルプレーの打球を、野手が外野にスルーしてしまい、捕ったらチェンジの場面で手痛い失点。






この試合、ここで喝!
現役中もよく経験したが、審判のジャッジにスタンドから見て不満が残った。佐藤君が、外一杯のストレートを自分でストライクと判断し、マウンドを降りかけて「ボール」と判定された。真後ろから見ていたが、そこのコースはその試合ずっと取っていたし、ベースの枠内に入っている球。ここで考えられるのは、佐藤君のアクションに対し審判が反応したと大いに予測できる。自分が捕手をやっていた時も、数回・いや何十回経験があり、明らかにそういった理由からだろう。しかし、後で注意するのであれば(高校生らしくないとか・・)問題ないが、ジャッジを変えるのはどうだろう。その後、その辺の球は全部「ボール」とジャッジされ佐藤君は流れをつかめない。スタンドから見てると、球審の「その行為」に気付いた観客は沢山いた。審判は、感情をジャッジに入れては絶対にいけないと思う。「人間だから・・」は許されない立場だ。審判のジャッジで試合が実際に左右する。そういったことを理解しながら、試合を「作る」審判もいる。このゲームの審判がそういった感覚ではないと思いたいが、そういった外からそう見えるジャッジにたいしては猛省して欲しい。

さて試合に戻ろう。
雄武ナインは、以前練習試合でグランド内の全力疾走を怠っていた。しかし、本日の試合は全力疾走を常に全員が行っており、「全力疾走の意味」が理解出来てきたのだろう。4回裏、2失点した後に雄武は、すかさず3塁打でチャンスを作り、相手投手のボークで1点を返す。球審のジャッジでボークで得点したが、良くも悪くも審判が目立った試合だった。スタンドで見識の高い人達は、「何で一発目で分かりずらい微妙なボーク取るんだろう???」の声。




札幌は8回表に4番国本君がレフトに値千金のソロホームランを打ち、 1−3 とリードを広げる。均衡が破れた時に、試合は動きがちでスタンドから裏の攻撃に何かあると確信しながら見ていた。案の定、先頭打者が出塁し試合はまた動こうとしていたが、0アウト1Rでセカンドライナーで1塁走者が飛び出し、ダブルプレーで万事休す。点を取られた後のチャンスをいかせなかったことで、この試合の明暗を分けた。前評判の高かった試合後、野村監督をお話しする機会があり、「夏に向けての課題が浮き彫りになり非常に良かった」のコメント。




雄武が破れる波乱で、このカードは終えた。
指揮官が春の大会の意味を十分理解し、ステップの位置づけで闘っての敗戦。夏は、また北地区の台風の目になるに違いない。打線は、左投手をセンターから右方向を意識し、右投手の外に対しても同様の意識で打席に立てるなら打線は繋がり、得点力もアップすることだろう・・・。







平成16年6月2日 駒澤大学附属苫小牧高校 vs 砂川北高校


第三試合、駒大苫小牧 VS 砂川北・砂川 の好カード。
苫小牧は、香田監督率いる完成度の高いチーム。野球の質では間違いなく北海道NO1だろう。
砂川は、学校が統合し初めての全道進出で、何かと話題になっている。高草木監督も熱心な指導者で、近年の若い情熱的な監督同士の闘いとなった。





苫小牧は、春先故障がちな投手陣だが層の厚さから安定した試合運びをみせる。初回苫小牧は、一番打者の澤井君が初球をファーストフライに倒れたが、初球から積極的に行く姿は評価出来る。その後、桑原君がセンターに弾き返し、すかさず2盗。3番林君のセンター前であっさり先取点。二回、主将の佐々木孝介君が、鮮やかなライトオーバーのソロホームランで追加点を奪う。佐々木君は、以前から優れたリーダーシップとシュアーな打撃を注目していたが、3年生になって初めての円山で、初打席に放り込むのは、野球の神様に好かれている。そういった星のもとに生まれてきたのだろう。バッティング技術も高校生の中では突出していて、今後が楽しみな野手である。圧巻は2回の苫小牧の守備。右中間に打球が抜け、完璧な中継で3塁で刺殺する。練習の動作がまさに試合で「普通」に出たという感じがした。また、ポテンヒットでオーバーランする打者走者を一塁で刺そうとする高度なプレーも普通にしており久々に高校野球を見て鳥肌がたった。

四番糸屋君は、三遊間のヒット1本のみで終わったが、先発の吉岡君・二番手左腕の岩田君を上手くリードした。球審のジャッジで甘めの外を有効に使い、サイドを上手く使っているのが読んでとれた。遠藤的配球論で、インコースの使い方をよく話すが、審判のジャッジによっては臨機応変に使い分けるということを、実践していた。昨年、甲子園にて闘ってきた経験からそういった考えも出来る選手になったのだろう。





一方、砂川は、一人打線で気を吐いていた3番竹村君がこの日2本目のヒットが、2ランホームランとなり試合は引き締まる。苫小牧は、その後、代打刈谷君の右中間2塁打で追加点をし、終始苫小牧ペースで終わった。得点は 4−2 での苫小牧勝利となったが、得点差以上の「差」が感じられた。






この試合で特記するのは、苫小牧の走塁・スライディングである。よく講演でメジャーの「イチローのスライディング」の話をするが、高度な走塁が目立ち社会人も見習う所は多々ある。スキのない野球。彼らが今大会・夏の大会と負ける姿が浮かばない。ましてや夏に故障者が万全で帰ってきたら・・・。野球に絶対はない。しかし、それを十分理解してる指揮官がいるだけに、油断も少ないだろう。苫小牧の良さだけ紹介しているが、砂川も良いチームだ。3番の竹村君の父親は、元NTT北海道の選手だった。遺伝子なのか、負けん気が強そうなところは父親譲りとみた。左腕澤田君と、この日二番手で投げた冨澤君は荒削りだが体に力があって面白い。更なる飛躍を期待したい。