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平成16年6月30日 恵庭北高校 vs 北海道尚志学園高校


本日は、平成16年6月30日。札幌麻布球場にて、夏の高校野球札幌支部予選、恵庭北 VS 尚志学園を観戦。麻布球場は、高校時代に訪れたっきりでかれこれ18,9年ぶりだろうか・・・懐かしい。恵庭北とは親交があり思い入れのあるチーム。熱血漢の臼井監督の指導のもと、中里さんも年齢を感じさせない動きで協力していて、これからのチームである。尚志学園の試合は今年観戦しているが、ひいき眼なしで恵庭有利である。しかし、古豪に対し「名前負け」も新参校には悩める課題であることも確かである。
試合の方は中盤からの観戦となった。マウンドでは背番号10番であるが、エースの常本君が投げている。常本君は、数週間前に左足の故障からマウンドを遠ざかっており、本番に一発勝負のコンディションで臨んだことだろう。捕手は、背番号1の金澤君。捕手もこなせて投手としても良いものを持っている。万能選手だ。中盤6回まで恵庭が3−2でリード。先制したが逆転され、再度逆転しこの点差。常本君も低めに素晴らしいストレートを投げ込んでいて中々お辞儀してボールにならない。この日のMAX133。腕の振りが速いからこそスピンがかかり、キレの良い球がビシバシ決まる。好投手だ。
7回表、恵庭の攻撃0アウト2・3塁の絶好のチャンスで得点出来ない。嫌な流れだ。ここで重要なのは、次に守る時の選手の意識は「攻める」ということである。チャンスの後にピンチあり。ピンチの後にチャンスあり。これを「攻める」という行為で最小限に流れは食い止めれる。7回裏、尚志は2アウト3塁から平凡なライトフライ。雨の振る最悪のコンディションでライトは落球してしまった。3−3の同点。これも流れか。ここで力のないチームは流れに飲みこまれてしまう。しかし、常本・金澤バッテリーは見方のミスをカバーする。
延長戦に突入。延長の鉄則は、「いかにして相手にプレッシャーをかけるか」の一言に尽きる。裏・表の有利不利はあるが、自分達から自滅するのが結構多いのではなかろうか。10回裏、尚志は1アウト1塁から3番打者にバントさせる。この時点で5番勝負と尚志監督は計算出来ていただろうか?3番打者の方が5番打者より見込みがあるのであれば、打つのが上策であろう。チーム事情が分かりかねるので憶測でしか話せないが、そこまでバントする時点で先読みは必要。恵庭の常本君は冷静だった。勝負行ってると思わせつつ四球で1・2塁とする。当たり前の作戦だが、最後の夏に冷静に振舞えるのはすごいと思った。5番打者を仕留め、絶好の「ピンチの後にチャンスあり」の11回へと進む。
尚志の投手は、一番気をつけないといけないのに先頭を死球で出してしまう。バッテリーはこの打者に対しては「外オンリー」で良かったのに、内を突いて死球にしてしまう。勿体無い。尚志の投手はサイドスローで恵庭ナインは外に対して打ちあぐんでいた。なのに内・・・。次打者が送って1アウト2塁、ここで好打者の一番打者。絶好のチャンス。良い当たりのセンターライナーで2アウト。万事休すと思いきや2番打者の塩谷君がセンターにタイムリー。塩谷君は、前の打席に顔を残しきらないで凡退していたが、この打席は崩されながらも顔が残っていた。以前、指導したチョットしたことが、この場面に出た。指導冥利に尽きる。
11回裏。尚志の攻撃。最後の3つのアウトの内容を意識してみた。ここでの内容は、その投手の力量・チームの力量が伺える。「心の動き」その動きからくる行動の変化。野球はじつに面白い。2アウトまで簡単に取り、最後の打者。ショートに打球が飛ぶ。三遊間寄りの少し難しい打球。体の前で落とし、彼は慌てずに処理しゲームセット。ジャックルしなかった。背筋に寒いものが走った。仮定で申し訳ないが、最後のゴロをエラーしていたら恵庭は窮地に立たされていたはず。この話には伏線がある。以前、恵庭のグランドを訪れた時、ノックでわざとに前に落とし捕りなおして送球を繰り返していた。面白い練習だと感心して見ていた。落とした後、前に体重移動して投げる良い練習だ。多分、一年を通してそういった練習を恵庭ナインは繰り返してきたはずだ。最後の夏の大会で、しかも延長戦の最後のアウトでそのプレーが来た!難なくアウトにした選手も偉い。しかし、それを頑なに指導してきた指導者はもっとすごい。スタンドに多数の観客がいただろう。最後のプレーに対し鳥肌がたったのは俺だけだと思う。高校野球は選手はもとより指導者の力量が試合に反映される。臼井野球を垣間見た一瞬であった。勝つべくして勝った恵庭。考え方で劣っていた尚志。良いゲームを見た。ナイスゲーム!!