本日は、平成16年7月9日。 |
札幌円山球場にて、社会人都市対抗北海道予選決勝リーグ、NTT北海道 VS JR北海道を観戦。 |
第一試合にサンワード貿易が勝利し、この試合の勝者が、事実上のサンワードへの挑戦権を得る。 |
NTTは一次予選で、最悪の内容の試合をしてしまい、短期間でどれだけ選手のテンションが上がっているか。 |
JRは、力はあるが若いチーム。とにかく経験がない。多分今の選手が経験を積んだ頃、結果も伴うだろう。 |
JR監督は高岡監督。拓銀戦士で野球歴としては申し分ない方。しかしコーチ陣にインパクトがない。 |
第二試合というのは、第一試合での状況を見てから自分達の試合に入るので |
精神的な動きが良くある。「あのチームが負ければ・・・」という観点でどうしても観戦しがちだ。 |
良い観戦の仕方は、「自分達ならこういうふうに動く・考える」という観戦にしたいが、 |
どうしても負けて欲しいチームの失敗を意識する。無駄な心の動きだ・・・。 |
都市対抗となると、社会人特有の「応援合戦」がある。 |
北海道の5強時代では、応援合戦もすばらしく見応えがあったが、現在はクラブチーム化してる影響か、 |
昔ほどのダイナミックさはない。しかし、自社を持ち上げる気はないが、NTT応援団は健在! |
是非、一度試合に足を運んで、応援も見て欲しい。 |
NTTは右のエース森広投手。JRは2年目の右サイド勝田投手。 |
森広は今回の大会は一次予選のチームのふがいなさを胸に、相当の気合で望んでるはず。 |
初回、140`を計測し、常時130`後半。そしてこの日のMAXは142`だった。 |
丁寧に投げ分けて、速球で押さずに変化球を上手く使うコンビネーション。 |
NTTの安宅捕手の出来が、今日の勝敗を左右すると試合前考えていた。 |
2回表、釜萢がライトにヒット。続く6番高橋がライト前に落とすエンドランを成功させる。 |
1死1・3塁。ここでルーキーの小林(日本大学−PL学園)が、一塁にゴロ。 |
その間に得点し、NTTが1点先制。 |
勝田投手は、確かに良い投手だが、この日は全然腕が振れず、体にキレが感じられない。 |
明かに「コンデショニングの失敗」。若い選手は良く失敗する。合わせ方が分かっていないからだ。 |
都市対抗は、一年練習してたった「三日」で真価が問われる。 |
最高の調整をしなければ、最高のパフォーマンスも望めない。力があるだけに勿体無い。 |
前回の観戦記に彼の「配球」について触れたが、あれではどんな良い球を持っていても駄目。 |
詳細はここで述べないが、場面での投球・配球の基礎がないようだ。 |
肩の強い捕手はJRにいるが、肩だけ。また色々な細かい点の指導が出来ないのもJR。 |
力があるのに勝てない最大の原因だろう。 |
3回表、NTTは船尾のセンターオーバーの2塁打でチャンス到来。 |
送って1死3塁とし、3番野々村。セカンドゴロを打って相手がジャックルしている間に生還。 |
そして野々村も一塁へ猛然とヘッドスライディング。結果はアウトだったが、NTTの士気が上がる! |
2−0NTTリード。 |
その裏、JRは良い当りを連発するが、名手センター船尾の好守に出塁出来ない。 |
船尾選手は、一時の「打ったらヒット」の打撃は見られないものの、守備力は健在。 |
NTTバッテリーは彼に助けられていた。 |
5回終了。森広要所をしめてノーヒットで折返し。ノーヒット・死球1の完璧な内容。 |
安宅の好リードも見逃せない!彼はNTT北陸からの移籍選手で苦労人。いいぞ安宅。 |
JR打線の焦りが出始める。5番打者がセフティで失敗。簡単にアウトをくれる。 |
次にどちらが1点取るかで、展開は大きく変わる。 |
6回表、NTTは4番山内がセンターにポテンヒット。その打球をセンターが体に当ててしまい転々とする。 |
その間に山内は3塁まで進塁。NTT大きなチャンス。 |
1死3塁で今年期待の持てる釜萢が打席へ。甘い球が来なかった・・・。凡退。 |
2死から今日の打撃のキーマンだった高橋が、しぶくセンター前タイムリー。3−0とする。 |
NTTの今日の打線は、サイドスロー攻略の基本を忠実に・・・という感じ。 |
ここで勝田投手ノックアウト。左のサイド浅倉が登板。 |
6回裏、2死からJRは森広から初ヒット。観客がどよめく。一番意識していたのは観客か。 |
7回表、2死から船尾のサードへの当りを三塁手ジャックル。 |
ベテラン船尾猛然とヘッドスライディング。セーフ。続く廣濱死球でつなぐ。 |
2アウト1・2塁で浅倉は、野々村に四球。JRは嫌な展開。 |
案の定、4番山内に渋くレフトに落とされた。次に繋げる意識のNTTは5−0とした。 |
7回裏、一番苦しい回だ。今まで1安打だけの内容。 |
講演でも話すが、投手は先が見えてくると、球数での影響以外に精神的な揺れは起こるもの。 |
奇数回のポイントとなる7回。森広・安宅バッテリーはどう切りぬけるか・・・。 |
先頭打者をサードゴロに切りぬける。しかし、2死から2塁打される。 |
その次の打者の内容が悪く、四球とし2死1・2塁。2死ながら終盤でキツイ場面。 |
左の代打池田登場。タイムリーを打たれる。5−1。 |
6回までノーヒットだったのに、2死から1本のヒットで投手は変わる。 |
それまで完璧だったのにである。これが野球。これが都市対抗。 |
その後、8番下垣をフォークで三振にとった。 |
バッテリーここにきて一番の配球をした。前半とは違う、ピンチでの配球。 |
安宅が、無意識でやったのではなく、意図的にあの配球であったなら、「合格」。 |
自分が捕手なら・・・、の考えでこの場面観戦していたが、まさに同じイメージ。成長した。 |
8回からJRは星野投手を登板させる。MAX143`。だが、ちょっと荒い。 |
結局、NTTが5−1で圧勝。大きく前進した。 |
一次予選の大失態から良く、ここまで選手が調整してきた。 |
また、NTTはこの試合無失策のディフェンスで評価出来る。 |
球審にも一言。今日は辛かった。ベースにかすっていないと手が上がらない。 |
しかし、本来の野球。それでよし。 |
辛くとも一定ゾーンであればOK。辛いゾーンはJRの「大体」というコントールには不利。 |
色々な要素が絡み合い、最終的にはNTTに勝利の女神は微笑んだ。 |
最後に森広。 |
チェンジアップはカウント別に使い分けるだけではなく、打者のタイプを見て使い分ければ |
今より効果的に使える。レベルの高い話になるが、社会人野球はそこまで要求される。 |
今日は、そこだけが今後の課題として浮かび上がった。 |
さあ、今日でサンワード・NTTが1勝で並んだ。明日は直接対決。 |
一次予選でサンワード相手にNTTは、 18−1 の大敗であった。 |
どういった奇襲をNTTが、どの場面で仕掛けるか・・・。そういった目で明日は観戦したい! |