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平成16年7月22日 @ 札幌第一高校 vs 東海第四高校


本日は、平成16年7月22日。
札幌円山球場にて、高校野球南北海道全道大会、札幌第一高校 VS 東海第四高校 を観戦。
東海の試合は初めて観戦する。体格の良い「前口君」をメイン観察しようと足を運んだ。
東海は、一緒に社会人でプレーしていた「大脇監督」。
まだ30歳にもなっていない若い監督であるが、社会人も経験しており面白い存在だ。
この試合、両チームミスが目立った。パスボール・トンネルタイムリー・外野手のジャックル・・・。とにかく多い。
しかし、両チームとも、相手のミスにつけ込めずにロースコアの展開となる。
「相手に合わせた試合」
の、表現がしっくりくる試合だ。大脇監督のイライラが予測できた。
東海の前口投手は、バッティングは高校生離れしているが、投手としてはさほどでもない。
この日、最速は120キロ後半。スライダーなどの変化球で打たせて取る感じである。
試合は、シーソーゲームで、同点でもつれた後半に、ひとつの転機が訪れる。
8回裏、東海の攻撃、何ともないセンターフライを、目測を誤り3塁打にしてしまう。唖然。
もらったチャンスに、1死3塁で、4番前口君。
「えっ??」
第一バッテリーは、勝負に出る。「?」
普通は、歩かせる。いや、絶対に歩かせる。
3塁のランナーは「勝ち越し」の走者。前口君を敬遠しても何ら影響はない。
3塁走者をいかに返さないかを考えるのが当然。何で北海道を代表する打者と勝負するの?
一番びっくりしたのは、前口君本人だったかもしれない。
ライトにタイムリーヒットを放つ。
これは、結果論ではない。仮に抑えたとしても疑問符がつく。
その後、9回を抑え、東海大四がベスト4へ。
高校野球は正々堂々と良く言われる。ヤンキースの松井が高校のとき、敬遠を連発し非難された。
しかし、敬遠も立派な作戦である。
きれい事を言って非難するのは、いつも第三者。
当事者は石にかじりついても甲子園に行きたい。
勿体無いな・・・と思い、円山球場を後にした。


平成16年7月22日 A 雄武高校 vs 旭川北高校


  
スタルヒンの銅像           雄武 佐藤投手           旭川北 岡久投手
本日は、平成16年7月22日。
午前中に、札幌円山球場で南大会を観戦してから、某スポーツメーカーの方と、旭川のスタルヒン球場に大移動。
札幌から旭川まで、距離にして約140キロ。
しかし、今日は北大会の決勝戦!勝てば甲子園の大一番。雄武は親交もあり、つい力が入る。
雄武高校は、エース佐藤君が主力で投げている時に、全道へ何回も出場しており、北海道民に「雄武高校」の名を
広めている。昨年、雄武にお伺いしているが、町民が温かく人情深い町だ。もちろん蟹もうまい!
旭川北高校は、某野球関係者の中では前評判は低く、ミラクルでここまで勝ちあがった。
学校は、スタルヒン球場から、徒歩数秒。すぐ隣に位置している。
もちろん両校とも、大一番で全校応援。雄武からは3時間かけて町民が応援に駆けつけている。
たぶん、試合中の雄武町は、「ゴーストタウン」。ほとんどの人は旭川に集結している。
雄武エースの佐藤君、140キロ近い速球が武器であるが、今大会の1回戦途中の3回頃から肩に違和感。
彼は、今までの野球人生の中で「肩痛」は初めてとのこと。
実際に彼の投球フォームを知っているだけに、観戦前、不安がよぎる。
1回戦から準決勝まで平均3失点しており、本来の彼の投球が出来ていない模様。
実際にゲームを観戦すると、唖然。別人だった。
本人も痛みを押しての登板で、辛い思いをしているだろう。
俺も実際に「肩痛」を経験している。試合内容紹介前に、あえて書いておく。
痛くても試合に出なくてはいけない状態。試合は待ってはくれない。天をうらむ。
同じ怪我を経験した立場でお話するが、一番キツイのは実は前の晩。
「投げれるだろうか」、などの不安な気持ちとの闘い。そして痛みとの闘い。
自分のおかれた立場を考えるとつらい。
それが、甲子園のかかった大一番の前の晩である。自分が経験した以上だと想像できる。
高校生には酷だ・・・。
さて、試合に移ろう。初回、旭川は4番・5番のタイムリーで2−0と先制。
佐藤君は、序盤から変化球で何とか凌ごうとしているのが分かる。
2回雄武の攻撃。無死満塁の好機。8番・9番打者が連続三振。
しかし、その後、何と3連続押しだし四球。ストライクが入らない。一気に逆転。3−2。
なおも満塁で、4番増田君。しかし、強い当りの6ゴロでついていない。
4回表、雄武2死から、またもや旭川の岡久投手(左腕)が連続四球。その後ショートトンネル。4−2。
その後、今大会当っている5番宮下君がセンターにタイムリー。
5回裏、旭川は内野安打の走者を、連続送りバント失敗で一塁に釘付け。しかしパスボールで2進させ、
一番打者にタイムリーを打たれる。勿体無い。
5回を終了し、5−3、雄武リード。
内容は、岡久投手が、制球定まらず四球連発で、よくこの点差で収まっている感じ。
5回終了後に、グランド整備が入る。しばしのインターバルだ。
故障している投手は、長いインターバルで、肩が「冷える」のを嫌がる。佐藤君はこの時間が命取りになる。
6回裏、先頭3番の妹尾君がセンターオーバー3塁打。その後2塁打も打たれ、5−4。
1死1・3塁。ここで、次打者がショートに強いゴロ。誰しもが、「併殺で終わり」、を予測した。
しかし、セカンドにトスしたのが、セカンドが焦りジャックル。失点してしまう。
こうなると、佐藤君も耐えてきたのに歯車が狂う。
ショート失策、外野失策などで大きくリードされる。
その後、不安定な岡久投手をつかみきれない。
彼は、この日15死四球・・・!
結局、後半焦った雄武が攻めきれずに終戦。旭川北が甲子園へ。
エントモなりに敗因を探ると、「荒れダマで絞りきれない」、という見方が周囲では多かったがどうだろう。
雄武は、5回まで 「勝てる」 と思っただろう。スタンドでは、「コールドって決勝あるの?」、の声も。
ストライクが入らない投手の時には、じっと球筋を凝視していないといけない。
そして、打っていい場面では、一発で仕留める。これが鉄則。
この球筋を凝視しないでいると、甘い時にファールにしたり打ち損じが発生する。
いわゆる、相手に合わせる状況・流れになりやすい。雄武はまさにそれ。
岡久投手は、120キロ程度のスピード。インコースにも厳しい球は皆無。
であれば、難易度的に低い。打席内の考え方ひとつで、一気に潰せただろう。
連戦の疲れ、今まで味わったことのないプレッシャー。夢に見た甲子園がすぐそこにある。
気持ちは分かる。そういった時にこそ、エントモの考えを思い出して欲しかった・・・。
雄武の佐藤投手は、素材的にずば抜けている。故障を治し、次の目標に邁進して欲しい。
増田君、俊足・好打の持ち主。この経験を糧にして、上を向いて伸びて欲しい・・・。

ひとつの結果が出た。雄武にとっては苦い経験。
しかし、この経験を、「よくやった」で終わるか、「ちくしょー悔しい、甲子園に行きたかった」の気持ちになるか。
それは、周囲の人達・残った選手たちが選択する事になるが、雄武の歴史は始まったばかり。
本当の意味で、来年(新チーム)が雄武の勝負所だと思う。
帰り際、雄武で以前お世話になった、「浜口さん」、とお話した。
雄武で体育関係でご尽力されている方である。その方の、残念な顔が脳裏から消えない。
雄武の野村監督、小原部長はこれからも頑張って欲しい!
次は絶対甲子園にいくとの強い決意で・・。

さて、最後に一言。
旭川北高校おめでとう!文武両道での甲子園。やれば出来るということを示してくれた。
甲子園でも更なる活躍を祈ります。