平成16年7月24日 東海第四高校 vs 駒大苫小牧高校
|
本日は、平成16年7月24日。
札幌円山球場にて、高校野球南北海道全道大会、東海第四高校 VS 駒大苫小牧高校 を観戦。
今日はとにかく暑い。午前中で31℃を計測。風は強く、センターからホームに吹く逆風。
強い風が、観客にとっては唯一の救い。
試合前に、「駒沢の打線をどう抑えれるか」、を考えたが、普通の右のオーソドックスでは無理だろう・・・。
しかし、強豪校・有名校では、周囲の「納得」も・・・。分かりしえない事情もあるだろう。
と、思っていたが、東海の大脇監督が指名した先発投手は、「斉藤投手」、右のサイドである。
奇襲。
かなりの思いきった采配である。
勝つためには、前口投手は選択できないのは100も承知。しかし、周囲の目を気にせずに選択!
これは、特記事項であろう。
駒沢は、先を見ないでエースの岩田君を指名してきた。万全の体制。
1回裏、桑原君が内野安打。バントで2進させ、4番原田君が、初球をライトに2塁打、あっさり先制。
2回表、東海は相手失策で1死3塁とし、7番鹿野君が8前タイムリー。同点!
岩田君の序盤は、追いこんで決めにいくようなところが見られた。その力みが甘くする。
また、駒沢の守備陣が前半おかしい。失策、ジャックルを重ね、打撃にもリズムが見られない。
3回表、ヒットとパスボールで東海はチャンスをつかむが、無得点。
3回裏、駒沢1番桑原君が、死球。逃げ方が上手い!
東海、斉藤投手は、丁寧にコーナーを投げ分けている。コーナーが広いストライクゾーンを、
上手く利用している。駒沢は、見逃し三振が多かった。・・・。届かないよね・・・。
駒沢の守備陣の「ジャックル」は、微妙に投手の心を揺さぶる。
完璧に打ちとってのイージーゴロ、ジャックルしたことで一瞬だが心に波がたつ。
こういう積み重ねが、投手にとってはきつくなってくる。
5回表、東海は7番鹿野君がヒットし、その後WPで、無死2塁。絶好のチャンス。
しかし、初球バント見送りで、糸屋捕手はセカンドに矢のような送球、刺殺。チャンスをつぶす。
中盤、東海の捕手の動きが気になった。
とにかく、サインを出してコーナーに構えるのが早すぎる。
打者からコースが丸見え。ギリギリで動くか、フェイクするかしないと、高校生でもダメだろう。
5回終了、1−1の同点。ここまでは、斉藤君の奇襲が成功している。
高校野球に限らず、5回が終わるとグランド整備が始まる。
現役中も思っていたが、このグランド整備やめて欲しい!
試合に出ている身になれば、気持ちが一旦緩む。グランドなんて試合中に選手がある程度ならす。
それで十分だ。バッターボックスのラインも書き直す。しかし、ラインなんてすぐに消すし、消える。
無意味だ。捕手の俺が、一旦気が緩むのだから、投手はもっと気持ちの変化がある。
実際に、6回の 「失点」 は意外に多い。守備の失策や、投手の四死球などよく絡んでの失点。
「余計なお世話」
これが選手の本音。
さて、この試合も魔の6回になった。
東海は、1死から2連打する。岩田君は上半身が力んで甘くなっていた。微妙な変化だ。
ここで、駒沢香田監督は、スパッと岩田君を諦め継投策に出る。
甲子園でも登板し経験のある左腕、鈴木投手である。
故障上がりで、選手・監督ともに、不安は当然あっただろう。
彼を見るのは、約1年ぶり、夏の大会で円山で偶然見てびっくりした投手だ。
1死1・2塁からの登板。そして打者は4番の前口君。
その前口君を四球。その後、固くなったところにワイルドピッチで1失点。
しかし、後続を力でねじ伏せる。
失点はしたものの、腕の振りはピカイチ。そして球速も140キロ前後出ているように見えた。圧巻。
溜まったものを吐き出すかのような全力投球。頭が少々残っていれば完璧か・・。
7回裏、東海はあと9人で勝利。しかし、ここから長い。
7回以降は、特に前半に失策や四球など、出さなくていい選手を出塁させた事で、微妙に打順の
めぐり合わせが変わってくる。前半の時には、何も意識していなくても、後半は効いてくる。
前半のたかがワンプレーが効いてくるのだ。
1死から出塁した走者を、バントで2進させ、2死2塁。糸屋君にかける駒沢。
糸屋君は、ライト方向に痛烈なライナー。打った瞬間ヒットと思った。
しかし、セカンドは、ジャンプ一番タイミングばっちりで、好捕!!駒沢ついていない。
勝利の女神が、東海に微笑みかけている。
8回裏、駒沢は、ひとりの選手によって女神を引き寄せた。
左打者の1番桑原君だ。
1死後、彼は、初球スライダーを強振。その後、な、なんとサード前に絶妙なセフティバント。
社会人野球では、そういった空振りの後は、打者のタイプを見て警戒する。
高校生でこんなプレーを見たのは初めて。
社会人レベルだ。そしてやった場面を考えると、抜群の野球センス。
その後、2死1・3塁とし、4番の原田君。駒沢としては絶好だ。
原田君に対しては、東海バッテリーは初回タイムリー「内の初球」を打たれてから、
外一辺倒の配球。この打席も、当然のごとく捕手は外に構える。
しかし、斎藤君は100球を越え、「あと4人で勝てる」、の気持ちもあっただろう。
ここで、痛恨の逆球。初球、内に入ってしまう。
原田君は、見逃さずライトに弾き返す。値千金の同点タイムリー!勝負強い。
積極性こそ、女神は好んでいる。どんな場面でも強い気持ちでいられる原田君はすごい。
常に結果を出し続けている。見事である。
続く5番佐々木孝介君は、見逃し三振。あの外は届かないよね・・・。
佐々木君は、この日無安打沈黙。彼のバッティングはよく観察しているが、技術的な事は問題なし。
見逃した球は、ファールで逃げるべきだが、選球眼も彼の特徴。何とも言えないところ。
彼に今足りないのは、ただ1点のみ。
「積極性」
原田君のように、積極的に行けば結果は出てくる。彼には厳しい球が集中する。
来ない甘い球を待っても来ない。少々厳しくても、積極的に行けば道が開かれる。
自分の現役時代も同じスタイルでやっていた。決めたら、少々厳しくてもいく。
それで結果を重ねてきた。
試合に戻ろう。
同点で、9回を迎えた。先に攻撃する東海は、先頭4番の前口君が、痛烈な9前ヒット。
次打者スリーバントで送る。両チームひとつのミスが命取りになる展開だ。
1死2塁、6番左の木幡君が、レフトにライナーを放つ。前口君が焦ったのか飛び出してしまう。
痛恨の走塁ミス。併殺となり、流れは駒沢へ・・・。
9回裏、先頭の桑島君は初球スライダーを踏みこんで、レフトオーバーの2塁打。
この積極性こそ、駒沢野球。1点取ればサヨナラ。
この場面で、守備側は 「1死3塁」 を作らせたくない。まずそれが前提となる。
すると、次打者にバントさせないで(タッチプレーになるから)、次打者は四球とし、無死1・2塁として
バントシフトなどにより、3塁フォースアウトを狙うのが上策。
しかし東海は、次打者にバントさせた。
そして、投手は打球を捕って3塁に送球。FCとなった。勿体無い。防げたプレーだ。
FCで、無死1・3塁となる。絶対絶命。
ここで、東海バッテリーは、1死をとり、1死1・3塁。ランナーは投手の鈴木君。
3塁走者が帰ったらサヨナラ。1塁走者を簡単に盗塁させる。
ここで、社会人なら・・・。
何気に1塁走者と勝負するのも上策。相手走者は油断して走っている。(投げて来ないと思っている)
刺せる。
その打者は敬遠が当然なので、野手は一旦中間に戻す。走者の油断にかける。
走ってきたらもうけもの。捕手が強肩であるのが条件であるが、ここは、どうせ絶体絶命。
ビックプレーで流れを一気に守備側にしたい。
この時は、これしか切りぬける方法は無かっただろう。
しかし、高校野球、そこまで出来ないか。暴投投げれば終戦。度胸もいる。
結局、東海は盗塁を許し、1死2・3塁で1塁をつめることなく、9番五十嵐君に7前ヒット。
サヨナラである。
打つ手を全部打って負けたのであれば納得出来る。しかし、ちょっと後味の悪い敗戦。
第二試合で、道栄が勝利した。明日の決勝は昨年の夏と同じ顔合わせ。
道栄 VS 駒大苫小牧
駒沢は、最高の勝ち方をして大会の「流れ」も引き寄せた。死角無し。
木興君は、本来の投球が出来ていない。本日の途中ノックアウトされていた。
駒大苫小牧以外のチームにだ。不安だろう。
明日は、「甲子園にいく」 という強い気持ちをもったチームが勝つことだろう。
今晩、両チームの選手は、どんな気持ちで布団中にいるのだろうか・・・。
|
|
|