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平成16年7月25日  北海道栄高校 vs 駒大苫小牧高校


本日は、平成16年7月25日。
札幌円山球場にて、高校野球南北海道全道大会、北海道栄高校 VS 駒大苫小牧高校 を観戦。
気温は29℃、風は微風。野球をする好条件が揃った。
この試合で北海道では最後、勝てば南北海道の代表で甲子園。
昨年の夏の決勝戦と同じ顔合わせ。二年連続はめずらしい。
まずは、両チームを作った指揮官、コーチの方々に敬意を表する。
駒沢は、春の全道大会も制し、春夏連続制覇となると過去に数例しかないだろう。
春勝ったチームは、夏は勝てないという北海道のジンクスがある。
しかし、駒沢の試合は数試合見ているが、負ける状況が頭に浮かばない。
あるとすれば、高校生離れした投手が抑え打線が沈黙。そしてロースコアでの勝利しかないだろう。
大会中に、駒沢のコーチとお話をする機会があった。投手陣について聞いてみた。
エース岩田君は万全。故障上がりの鈴木・松橋君ともに間に合ったとのこと。まさに死角無し。
今日の駒沢の先発コールは、松橋君(2年生)。場内どよめく。
それもそうだろう。彼は、春の予選から今まで公式戦の登板は無い。
昨年秋の大会で、短いイニングを投げただけ。しかし、実は彼は故障する前は(春先)、
背番号1をつけることも可能な調子だった。偶然、春の練習試合(北海戦)で、彼は登板していた。
彼の存在をその時は知らなく、「良い投手いるなぁ・・・」、との印象。
その後、駒沢にいく機会があり、香田監督と話したところ、非常に能力が高いとのこと。
しかし、その時には違和感を訴えていた。
それから数ヶ月。彼が登板する試合が、甲子園を決める試合の先発。
駒沢の選手層の高さと、普段からの意識付けが高いと想像出来る。
一方、栄は左腕プロ注目の木興君。
初戦は不本意。そして2戦目は登板回避。準決勝は、5回でKO。本来の投球が出来ない。
試合に入る。
1回表、松橋投手は三振からのスタート。目測だが、135〜140キロ。キレがある。
初回から、全力で投げて行けるところまで行って、「つなぐ」、という思いが伝わる。
1回裏、本日1番を任されている澤井君。いきなりセカンド強襲ヒットで出塁。
桑原君が送り、2死2塁から、4番原田君に初球肩口のスライダーを右中間に運ばれる。
このバッテリー不用意すぎる。自分を過大評価しているのか?
昨日の情報が耳に入っていれば、原田君の積極性は意識して投げるはず。
「速い球を投げる」、「遠くに飛ばす」、など能力と結果は別物。
3回表、松橋君は今日5つ目の三振を奪う。高めで三振が取れる。
腕の振りが良く、バランスが良い印象。これからまだまだ伸びる逸材だ。
木興君は、ランナー2塁に背負い厳しい投球。
2塁からクイックやそういった、「必要以上の無駄な動き」、をする。
左投手が3盗をさせない為に、よくクイックを混ぜる賢い投手はいる。
しかし、時と場面、カウントを考えずにやっている。自分の特徴を把握していない。
4回表、栄にチャンス。1死から4番松延君・5番市位君の連続安打で、1死1・3塁。
6番木興君が、スクイズを成功させる。
点を取った後が肝心。
4回裏、駒沢は、先頭の4番原田君が、「初球」 を7前ヒット。
バッテリー、考えて野球しましょう。また初球ストライクから入って・・・。もう言いません。
糸屋君がバントして2進。その後、悩める主砲、佐々木孝介君が、ライトにタイムリー、2−1。
その後、すかさず、2年生林君がたたみかける。1死1・3塁とし、次打者にワイルドピッチ。
四球で満塁とし、五十嵐君の時にまたもや、ワイルドピッチ。開いた口がふさがらない!
捕手を攻めるのも酷。バウンドしているのは、ボックスのはるか前。共に変化球だっただろう。
自分で自分の球を操れない。木興君は、マウンドでどうしたら良いか分からない状態だろう。
今日の駒沢、昨日とは打って変わり、各打者ファーストストライクに対し積極的。
前夜、香田監督の激が予測出来る。
守備でも攻めている。昨日ジャックルするなどの内野陣が完璧な動き。セカンド林君が助ける。
5回表、1死から1番神保君がレフトに2塁打。ここで、香田監督、スパッと継投に出る。
3点リードしていて、背番号1の岩田君にスイッチ。
継投でよく、追いつかれるか同点になって変える指揮官は多々いる。
危機管理が出来ていて、事前に 「芽を摘む」 指揮官は少ない。たいしたものだ!
この大きな期待に、岩田君は連続三振で切り抜ける。
5回裏、ピンチの後にチャンスあり。
桑原君がセカンドにゴロを放つ。木興君のベースカバーが遅い。投手は投げるだけではない。
そして、桑島君が、駒沢今日4つ目の犠牲バント。難なく決める。
2死3塁で、目を疑う。
またもや、ワイルドピッチ。木興君、変化球のショートバウンドが多すぎる。
捻るスライダーの弊害か・・。今の投手、横のカーブ(周囲はスライダーと言うが・・)を、
捻って多投する。遅い球を軽視する。しかし、肝心な時にこういった弊害が生まれる。
木興君のストレートがあるなら、絶対に変化球の軸は遅いカーブであるべき。
レベルが落ちる打者に対しては、スライダーで面白いように三振が取れるだろう。
しかし、一旦レベルが高くなると抑えられない。
困って、遅い球を投げ出しても普段からそういった投球をしていないので、出来ない。
そして、崩れる。1回戦から、こんなパターン。スライダー狙いされたらひとたまりも無い。
そんな配球。
5回終了、5−1。栄にとっては、苦しい展開。しかし、野球は終わってみないと分からない。
5回の長いグランド整備があり、(いいかげん止めて欲しい・・・)、6回の岩田君の投球に注目。
先頭打者に四球。嫌な間合いになってしまった。
次打者、市位君の痛烈なゴロをサード五十嵐君が飛びつき好捕!ピンチを広げない。
今日の駒沢は、守れている!!
その後、犠飛で1点を失うが、最少失点で抑えこむ。五十嵐君のプレーが大きかった。
7回、立て続けに栄はチャンス。
先頭打者を四球。次打者の1番好打者神保君が、フェンス直撃のヒット。
桑原 ⇒ 林 ⇒ 糸屋 と連携し、ホームでタッチアウト。良く鍛えられている。
その3人のどこかで中継ミス等をすると、完璧セーフ。栄は、無理な走塁をした。無死なのに。
その後、次打者に四球をだし、岩田君から昨日中盤から登板した鈴木君へと継投。
変わりっぱなを三振で仕留め、後続も絶つ。完璧なリレーだ。
中盤から、単調になった駒沢打線を尻目に、またもや、栄が火を吹く。
8回表、2死から3連続安打で、5−3。しかも一番期待できる1番の神保君。2死2・3塁。
駒沢は、アップアップになったが、偶然だろう、神保君に死球。
ここで、「勝負しなくて正解。結果的には良かった」 と、ひとりでうなづく。
2死満塁とし、2番早瀬君は、ショートゴロに倒れ万事休す。
逆に、8回裏、三塁手失策から、送り2死まで行ってセカンドゴロ。
何と、トンネル。6−3。
平凡なゴロを待って取った。平凡なゴロほど、土のグランドではチャージしないと跳ねる。
合わせているようで、合わなくなる。安全なようで、非常に危険。
それが分かるのは、まだ数年先か。しかし、苦い経験での向上は気が引ける。
「エントモ講演」が好評なのは、そういったところか・・・。
9回、最後の栄の攻撃。2死からレフトに打球。
その球をレフト原田君が横っ飛びファインプレーで終戦。
最後まで、駒沢は守備で攻めていた。そして今日は失策ゼロ。
終盤、試合中なのに栄ナインは泣いていた。
それでは勝利の女神は寄り付かない。泣くなら試合後に泣け。思う存分。
試合中は、死に物狂いの闘いの場。涙は不要。
木興君、今日の試合後の涙を忘れるな。
そして、もっと好投手に成長して欲しい。悔しさを忘れない選手は大きく成長する。
来年、また君がどこかで投げている姿を見てみたい。

試合後、インタビューで香田監督は涙していた。
苦しかったと思う。周囲の目は、「どうみても今年は駒沢」 の目。大きなプレッシャー。
春の大会を飛車角抜きで制覇。その飛車角が戻っての今大会。
苦労が報われた瞬間。スタッフの茶木さん、茂木さん共に敬意を表する。
選手もプレッシャーから開放されたのだろう、73人をまとめた佐々木主将の涙が印象的。
今日は勝利の余韻に浸ってよし。
しかし、明日からは厳しい事を言うが、甲子園に向けて2週間程度の調整。
スパッと切り替えて欲しい。
なぜならば、君達は北海道数百校の代表。
そして、今チームは全国制覇出来る可能性のあるチームだから・・・

駒大苫小牧!甲子園おめでとう!!