観戦日記トップへ戻る
平成16年8月21日  駒大苫小牧 vs 東海大甲府

本日は、平成16年8月21日。
甲子園大会も4校のみが残り、この試合を勝てば決勝へと進める大一番。
駒大苫小牧の快進撃をここまで予測出来た人はいるだろうか?
北海道の道民もすごいことになっていると、宿舎にも情報が入る。野球を知らない人でも興味を持っている。
勝てば決勝だが、この決勝に北海道のチームは進んだことがない。
ましてや優勝は、東北勢でもなしえていない。
今大会は、怪物君が目立っていた大会。
東北高校の豪腕ダルビッシュ君、横浜高校の怪物涌井君、秋田商業の快速佐藤君。
150キロ近い剛球を投げる好投手が沢山いた・・・。

甲府は、乱打戦を制し勝ち上がってきた勢いのある好チーム。
技術的に飛び抜けた選手はさほどいない。しかし、積極性は駒沢に類似。手強い。
ここまでの大会の流れで、駒沢中心に考えると、まずポイントだった試合は、「日大三高」。
攻略の難易度は高かった。
前の試合で、横浜とも戦ったが「攻略」という観点から考えると、日大三高ほど高くなかった。
この考えは、あくまでも駒沢の戦力。チームカラーからみてである。
甲府は、攻略難易度から考えれば、日大三高についで高い。
北海道道民は、思っていただろう。「勝てる、勝てる、あの横浜を破ったのだから・・・」
そんなことはない!闘う側としては難敵。
その理由は、

@ 駒沢サイドの気持ちの変化(油断・おごり)、そして疲労
A 甲府のチームスタイルが駒沢に似ている(積極性)


これが大きなネックになっていた。周囲は勝って当たり前の雰囲気にさえなっている。
この辺を、試合前につぶしていく必要があった。
エントモは、この大会びったりスコアを言い当てた試合がある。(まじで)
この試合である。乱打戦覚悟で、ある程度玉砕覚悟の試合であった。

駒沢の先発は2年生松橋君。北海道予選の決勝以来の登板。
新聞にも載ったが、松橋君の先発漏洩事件があった。
某新聞記者が甲府側に、試合前に情報提供してしまった件だ。
甲府側には、「まさかの松橋君」だったはず。
こういった漏洩があるならば、試合前の取材などは制限するべきだと思ってしまう・・・。
甲府も、駒沢が予測していた佐野君ではなく、左腕岩倉君。苦肉の策だろう。
この岩倉君。じつは事前の予備知識があった。イニングこそ少ないものの、投球の姿はチェック済。
どのくらいの球速で、どんな変化球があるのか知っていたので、駒沢サイドに動揺はない。
甲府打線で怖いのは、1番古屋君。いい打者だ。4番の仲沢君もパワーがある。
そして、前の試合の天理戦で5打数5安打。思い切りもあり変化球に強い。要注意だ!
その佐野君が先発じゃなく、最初から出場しなかったメリットは駒沢サイドでは大きかった。

初回甲府、先頭好打者古屋君が粘る。初球139キロ。粘られるうちに球速が上がっていく。
143キロのストレートで三振。香田監督もほっとする。
その後、144、145、147キロまで計測・・・。腕が振れている。
初登板なのに落ち着いたものだ。
近くにいて良く分かるが、彼の性格は物怖じしないタイプ。大舞台に強い。

2回裏、試合は動く。1死後、当ってる糸屋君はファーストストライクを2塁打。
2死後に、桑島君が初球SRをライト線に3塁打。先制。
そして、左腕岩倉君の遅い球を、左の五十嵐君が9Hタイムリー。
左対左で、遅い球をヒットするのは、見た目より難しい。技術的なものがないと難しい。
五十嵐君のバッティングを見て、気づく方もいると思うが、高度な打ち方をしている。

3回表、甲府の村中監督もスッパリ先発の岩倉君をあきらめ、代打を出す。
松橋君は、代打の郷州君に当りそこねのHを打たれ、リズムを失う。
そこから、危惧していた連打を食らう。3失点。甲府は逆転に成功!2−3。
すると今度は、2回まで完璧だった松橋君に代わり、守護神鈴木君を早くも登板させる。
変わりっぱなを三振にとる。4番の仲沢君をである。今大会象徴的なのは、投手が変わっての1人目は
必ず好結果に抑えている駒沢投手陣。これは、大量点をやらない為には不可欠。
自分のテンションを高めて、尚且つ最高の状態で登板しているのはさすが。
駒沢ブルペンを担っていた、津島捕手の力も大きかったと思う。
3回裏、変わった甲府のエース佐野君に襲いかかる。
2死から糸屋君、佐々木孝介君の連続タイムリーであっさり逆転、4−3。

4回裏、駒沢打線、もう止まらない。1番俊足桑原君が2塁打1失策で3進し、2死3塁。
サイクル男の林君がタイムリー、2死2・3塁とし、ワイルドピッチの時に2塁走者の原田君が、ホームまで来る。
この辺の走塁の上手さも、今年の駒沢の質の高さが伺える。7−3。

5回裏、先頭佐々木孝介君が、引きつけての7Hで、1死満塁となる。凡打で2死。
普通は、ここで得点出来ないケースが多いが、駒沢はのっている。2番沢井くんはタイムリー。
そして林君もポテンタイムリー。10−3。
5回を終了し、ここでグランド整備が行なわれた。駒沢選手の「油断」が意識していないところで起きる。
「今日は行けそうだな・・・」「逃げ切れるな、この展開・・・」
という心の揺れ。

案の定、6回一瞬気の抜けたところ、甲府先頭の宮地君のHを足がかりにピンチを招く。
四球で無死1・2塁。そしてタイムリー。10−4。しかも無死1・3塁。
佐野君に犠牲フライを打たれ、10−5。なおも、代打町田君をたたみかける。
エンドランか、盗塁か微妙なところだが、三振して2塁で刺殺、三振ゲッツーで切り抜ける。
ここは、じっくり来られたら、駒沢サイドはきつかった・・・。動いてくれたことが逆に功を奏す。

7回表、予想どおり乱打戦の模様。駒沢鈴木君が、疲労から球に指がしっかりかからない。
高めに上ずり連打される。こうなると、相手の弱点がどうのとかの問題ではなくなる。
ピンチを招いて、2死2・3塁までこぎつけたが限界は来ている。踏ん張りきれない。
4番仲沢君と勝負してしまい、タイムリー。冷静に考えられていれば勝負しない場面。
バッテリーの焦りが手に取るように分かる。
「早くこの回を終わりたい・・・」
こういった意識からピンチは広がる。鈴木投手を諦め、エースナンバーの岩田投手が登板。
じつは、岩田君は横浜戦で中指の豆をつぶし、べろっと向けていた。
エントモの見た目では登板自体きつい状況。気合で三振に打ち取る。ブルペン津島君いいぞ!
7回裏、今日のポイントとなるプレーが出た。
押しに押されている状況で、2番沢井君が絶妙なセフティバント成功。流れを止める!
結果は得点出来なかったが、非常に大きなプレー。
監督の指示がなくても、選手個人で考えてプレーする様子は、社会人野球の上をもいっている。

9回表、1死後、1番の古屋君はセカンドゴロ。イレギュラーバウンドし、林君は体に当てる。内野安打。
この内野安打の意味は大きい。じつは、このゴロは遅いイージーなゴロ。待って捕った。
遅いゴロほどチャージするべきといつも言っているが、彼は9回逃げ切る意識が強く、守りに入った。
その結果、跳ねての内野安打。
「あっ、アンラッキー」の見方をする人がほとんどだったと思うが、防げたミス。
そこからタイムリーも打たれ、10−8。これで終戦。

この日の夜のミーティングで、この林君のプレーをお話した。
このゲームで出て良かった。あの消極的なプレーのおかげで、明日は皆アグレッシブになれる。
失敗だったが、明日に向けての大きな収穫であった。
北海道初の決勝進出。
北海道にいる野球関係者の念願であろう。この大会86回(86年)で初めてのことである。

明日の春の覇者・済美、初勝利から一気に上り詰めた駒大苫小牧。
両者ともに疲労はピーク。あとはお互いの強い気持ちが明日の結果を左右する・・・。

しかし、エントモは言った。
やるべき準備は今までどおりにやろう。そしていつものプレーをし最後に笑おう。
香田監督の最後のミーティングでの話が印象に残った!

「お前達、おごることなかれ!」