平成16年10月19日 西武ライオンズ vs 中日ドラゴンズ (日本シリーズ第3戦)
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本日は、平成16年10月19日。
もちろん球場で見ているわけではなく、テレビで観戦。
第一戦目は、西武が完璧な投手陣で完封に抑え先勝。続く第二戦目は、中日が松坂をノックアウトする爆勝。
1−1のイーブンで迎えたこの日の対戦。西武はエントモ好みの帆足投手。中日はドミンゴ。
この試合、全体的にどうこうではなく、6回の中日谷繁選手の満塁弾に特化してコメントしたい。
場面は6回。好投していた西武帆足がつかまり、24歳の長田投手にスイッチ。
1死満塁で打者は谷繁選手。
2戦目で、松坂から初球スライダーを狙い打ちしており、捕手の野田は脳裏に焼きついているはず。
このシーンになった時、エントモの手には紙とペン。そういった駆け引きが予測された。
初球の入りを凝視したが、捕手のサインに首をふる長田。
長田が選択したのは、「緩いカーブ」。上等だ。
ストライクからボールへ落ちる、絶妙な1球。寸前で谷繁のバットは止まる。判定ボール。0−1。
満塁で、この場面では四死球で1点。投手にはプレッシャーがかかる。
2球目に選択したのは、インコースST。引っ掛けて真中低めにボール。0−2となった。
この2球目がポイント。
投手心理では、
@「一発が恐い ⇒ インコースには投げにくい」
A「カウントを悪くしたら押し出しが考えられる」
この2点が頭に浮かぶはずだ。
絶対的コントロールのあるエース格の投手であれば、この配球でもOK。
投げているのは、シーズンでは経験を積んでいるとはいえ、24歳の長田。
捕手は、あらゆる場面を想定し、そして投手心理を読んで、打者心理をも考えないといけない。
野田捕手は、この3点が頭から飛んで、自分の理想に走ったように感じられた。
そんな2球目。
3球目は、長田が開き直って、外に曲がるSRを良いコースに決める。1−2。
バッテリーとしては打ちにきて欲しい1球だった。
危うくば引っ掛けて欲しい・・・そんな球。
しかし谷繁はその球に全く反応しない。
その動作を、てんぱっているバッテリーは見逃していた。
谷繁はインコースに投げてくるであろう球を待っていたような気すらする。
谷繁としては、松坂の外めの変化球のタイムリーが、絶好の3戦目のエサになっている。
そんなことを考えられるのが、ベテランの選手。
次にバッテリーが選択した球は、外めのカット系の曲がりの少ないSR。もしくはカットのST。
引っ掛けて1−3とする。
この球は、バッテリーの立場で考えると、苦肉の策で投げたSTが実は少し変化する。
そしてゴロで併殺に取る。そんな1球だったに違いない。
この考えは間違っていないが、外れた時の次球が難しくなることを捕手は気づいていない。
(結果的に外れて精神的に窮地に陥る)
3球目までの配球がベストだとは思わないが、仮に3球目までこの配球で行ってしまったなら、
選択の余地に「遅いカーブ」があっても良かった。エントモなら、その「遅いカーブ」を選択していた。
2つの大きな利点がある。
@ボールになったとしても、緩急が打者の残像として残っているので次球ST系でも思いきって投げ込める。
Aストライクになった場合、2球続けて遅い球(奇策)を取れる。
(谷繁選手はタイミングが外れた時に、案外もろい傾向がある)
遅い球を窮地である1−2のカウントで(SRなら大きな効果はない)投げることにより、一見バッテリー不利
の場面が、逆に有利になることもある。その場面、その策以外、西武有利の展開にはなりづらかった・・・。
さて、まだ1−3になっても切りぬける策はあった。
西武バッテリーは、蟻地獄のように迷い込む。
選択したのは、インコースST。
「!」
勝ち目のない戦を闘うようなもの。
谷繁は、読みの中で2ストライクまでは無理しないで、近い球を引っ張り込む意識があったに違いない。
まんまとバッテリーは、かれの仕掛けた罠にはまってしまう。経験が少ないバッテリー。
結果はご存知のとおり、満塁弾で逆転!
ここで、1−3になって投手心理は四死球が頭に強く浮かぶ。
インコースに捕手が要求するところに来る確率は???かなり低い。
活きた球という観点で考えると、腕が縮こまる投手が大半であろう。
投手心理を考えないと、そういった配球を選択してしまう。
このカウントでの究極の1球は、原点に戻った外ストレート、もしくは外にカット系のSTが正解だろう。
結果的に打たれても、この選択は後に引かない選択だと思う。
そのカウントにした時点で負けなのに、完璧に打ち取ろう(たぶん詰まらせてダブルプレー)と思う
バッテリーサイドの考えに無理がある。
1点を与えたくないがために、大量点を献上するパターン
の典型だ。
テレビ解説者の東尾さんは、投手側のコメントで「?」を連発していた。
しかし、投手だけの立場のコメントで、状況・捕手心理・谷繁の心理まで解説していない。
捕手として、ここまで考えて打たれたなら諦めもつく。
仮定であるが、野田捕手が「死球で1点を献上覚悟でインST」ならある意味正解。
そんな選択もある。しかし、若い長田がそういった感覚の意識で投げれるとは思えない。
お互いの信頼関係がなければ出来ない芸当。
バッテリーの両人が、そんな1点献上覚悟の1−3の配球だったと個人的に思いたい。
両人が意識したが、最終的に制球出来なかった長田・・・。そう思いたい。
そうでなければ、プロのレベルではない。
その後、カブレラが同じ場面で満塁弾。
この場面を記載すると、長くなるのでやめておく。
しかし、谷繁捕手は、野田捕手と同じ過ちを犯す。
投手心理を考えることが欠けていた・・・。割愛。
面白い日本シリーズ、野球は面白い。
打者心理・捕手心理・投手心理・・・。
すべて総合して考えると面白さは増す。
さて、この1打席でここまでの長文になった。エントモはこういった見方でこの場面見ていた。
しかし、水面下ではこんな駆け引きが日常茶飯事!
こんな野球の楽しみ方もある・・・。
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