観戦日記トップへ戻る
平成17年7月9日   NTT北海道  VS サンワード貿易


NTTの大応援団

頑張り屋 NTT森広投手

サンワード岡部選手が打つ

山内選手の本塁打!

松田がレギュラー!すごい!

息をのむ試合展開・・・

本日は、平成17年7月9日。

社会人野球都市対抗の北海道予選。決勝リーグが行なわれた。
やっぱり円山球場に限る。
札幌ドームより見やすいし、色々な意味でハプニングがある。
雨・風・土の球場、様々な要素を意識して観戦すると野球って面白い。

前年度代表のNTT北海道と、実力的には優るサンワード貿易の対決。
NTTは、池本監督になって3シーズン目になる。
今年は、代表だけではなく全国で勝ちたいと考えているに違いない。
サンワードは、毎年補強をしていて移籍選手も多数。
他のチームからみると恵まれていて、いつも全国制覇が視野にあるだろう。
しかし、その多国籍軍ならではの悩みがあるだろう。
また、自分達が1歩前に出ているといった考え方に落とし穴は潜んでいる。
こういったチームが
メンタルトレーニングを重ねると死角がなくなる。
現状は分からないが、野球は技術だけで勝てる訳ではない。

NTTの先攻で試合は始まった。
1回裏。転機が訪れる。サンワード一番の野口がライト前ヒット。
その後、吉岡がバントを試みるも失敗。NTT森広投手が2封。
これが打線沈黙の原因となった。
逆にNTTの森広投手は、初回を切りぬけたことでリズムに乗れた。
高校野球でも同様だが、ひとつのバントが展開を左右する。
たかがバントだが、そのプレーの意味は大きい。
例え、送ってランナーが生還できなくても
「きっちりとした野球」をして
いれば、大きな試合の流れはない。

都市対抗とは、細かいがやるべきことを全部やるチームは強い。
大雑把で「なんとなく」のチームは勝てない。そんな大会。

森広投手は、序盤130`中盤に見受けられた。
昨日完投に続き、今日は連投。丁寧に投げている感がある。
初回の組み立てはストレート中心で、相手に意識させる投球内容だ。
打者によっても考えていて、例えば高梨には変化球を多くして直球で仕留める。
3回表、NTTは安宅がヒットで出塁。しかしバントで送れず・・・。
その後、バスターエンドランで、ライナーゲッツー。もったいない。

ここで、都市対抗男のサンワードの井上選手に対し、NTTバッテリーが工夫。
初球の入り方を工夫しているのが分かる。
井上選手を乗らせると恐い。打順が9番でNTTにとってはラッキー。
彼が一番を打つのが恐い。足もあるし勝負強い。
チーム事情はあるだろうが、いかにして相手を嫌がらせるかがポイント。

4回NTTの攻撃。廣濱がライトにヒット。しぶい。エントモ好みの選手。
彼の仕草を観察すると
「野球を知っている」「賢い」と思わせる。
船尾が送り、1死2塁。山内が打席に。
サンワード後藤投手は、140`を超えるストレートが武器。
初球、たぶんインコースにシュート。2球目インコースにフォーク。
2ラン本塁打。NTT2点先制。
この配球疑問が残った。
この場面、観客は山内の本塁打に期待する。
一発を避けないといけない場面でもある。
初球の選択は良いだろう。2球目にフォークは危ない。
エントモも現役時代に、東京ドームで同じような配球で満塁弾を打った。
インコース(体の近め)に落ちる球は、開きの選手には危険球になる。
この日のサンワード捕手の吉見は、配球を考えていた。
インコースを上手く丁寧に、大胆に使っていた。
この場面、詰らせようとしていた吉見の意図も見えたが、1球外に挟んでから
からの慎重さが欲しかった。これが都市対抗である。
この慎重さが、こういった短期決戦では必要不可欠である。
この場面では、捕手がそういった打ち取るイメージを持っていたかがポイント。
打たれたからではなく、構えた瞬間に「?」と思った。
いちOBとしてみると
「ラッキー」とつぶやいたのも事実。

その裏の4回、野口がヒットで出塁。バントで2進して1死1・2塁で高梨。
フォークで三振。全体的にサンワードに覇気がない。前日負けているせいか。
この時、森広が2−3で首を振った。
そこで選択した球種をみると、彼の考えていることが分かる。面白いものだ。
中盤、配球が変わる。変化球でカウントを整えストレートで仕留める配球。
前半の力で押した投球が、中盤以降効いている。

後藤投手は、切れているスライダーより早いカウントでフォークを使い出す。
「俺なら違う配球でやるな・・」と思いながら観戦。
配球に正解はないし、10人いれば10通りの配球がある。

6回NTTの攻撃。船尾が右中間に痛烈な打球。これを井上が好捕。
3塁打を2塁打に止めた。ヒットには違いないがエクセレントなプレー。
都市対抗男は守備も見せる。

森広投手の的を絞らせない投球で、サンワードは焦ってくる。
ここで、逆転のチャンスが一度だけあった。
サンワードがバントの場面で(守備)簡単に送らせた。
投手がチャージしない
これが展開を変える唯一のチャンスだったに違いない。
その守備機会で攻めて2塁でアウトにしていれば、流れは来ていただろう。
しかしながら、バントの構えをしたとたんに、「ひとつ」アウトの動き。
勿体無い。守備機会でも流れは持ってこれる。
ましてや、今日の森広投手の出来からすると、そういったことが必要だった。
その時点で「今日はNTTだね」と周囲に漏らす。
後半のハプニングは「ない」と言い切る。
攻める気持ちが中途半端だと女神は微笑まない。経験上、間違いない。
結局、NTTの勝利で終わった。

この試合、様々な勉強をした。社会人野球はレベルが高く面白い。
ようは、見方を知っていれば、高校野球の何倍も面白い!!

明日は、NTTとJRで代表決定戦。
結果は、延長の末JRが7年ぶりの東京ドームとなった。
初めてJRの監督として指揮をふるう高岡監督。
拓銀時代の名将だが、時間がかかった。感激もひとしおだろう。
一方、NTTは環境の悪いなか健闘した。
森広投手は、3連投、ひとりで投げきった。
言いかえれば、森広投手に続く人材が育っていないことにもなるが、今大会は
彼の獅子奮迅ぶりに称賛を与えよう。
また、森広は補強選手として北海道の代表として東京へいく。
苦労人だけに頑張って欲しい!

負けたチームは、すでに来年への闘いが始まっている・・・