平成17年8月19日 駒大苫小牧高校 VS 大阪桐蔭高校
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本日は、平成17年8月19日。
前の試合の鳴門工業戦での大逆転。
北海道民は、ハラハラドキドキテレビにかじりついて見ていたことだろう。
今年のチームは昨年に比べ打力では少々劣り、戦力的にも昨年を下回る。
しかしながら、二回戦の日本航空戦を戦い、一戦一戦確実に進化していっている。
甲子園は、個人を大きく成長させる。
野球が上手くなるならないだけではない。
実力を発揮できる選手、失敗に涙する選手、様々である。
その現状をすべて受け入れて、次の一歩がある。
「失敗」
全国何万人が見ている中で、いやテレビを考えると何十万の国民が見ている中での失敗であるからこそ価値がある。
好きで失敗する選手はいないが、そのフィールドにたって失敗したいものである。大きく成長するきっかけだ!
この試合、強豪大阪桐蔭高校との決戦で、駒苫にとっては最大の難関。
よーく相手チームを観察すると勝てない相手ではない。
しかし、マスコミの過分なる報道、そして余りある過大評価。
駒苫にとっては「臆する相手」になりえる可能性は大いにあった。
戦前、精神的に臆すると、その時点で勝敗はほぼ決まる。
いかに相手を冷静に受け止め、自分たちの野球に徹することが出来るかが大きな鍵となるだろう。
先発の辻内投手は150キロ腕。どう切り崩すか。
初回、駒苫の攻撃、予測していた展開になる。変化球が多くなる辻内君。先頭の林君を四球。想定内。
細かくは明記できないが、前半思い通りの試合運びになったことだろう。
二回、駒苫に好機が訪れる。この回先頭の岡山君が出塁し、香田監督が動く。
初回、林君に送りバントしているので、同じように作戦を取ってくるに違いないと思っただろう。
しかし、香田監督が下したサインは、「スチール」!完璧に意表をついた攻撃。
主導権を握る。その余韻のままに、バントの時にバッテリーに大きなミス。想定内。
鷲谷君、田中君のタイムリーなどで、一気に5得点。電光石火の攻撃。
大阪桐蔭は、慌てたに違いない。
駒苫先発の田中投手は、前回予想外の早い登板(鳴門工業戦)で疲労も残っていただろうが、
相手が関西地区のチーム。彼が生まれ育った大阪のチームとありアドレナリンが出ていただろう。
序盤の投球は完璧。特に4番平田君に対しての配球は完璧。事前準備の大切さを痛感した。
149キロのストレート。リミッターの外れた田中君はすごい。まだ二年生である。
キレのあるスライダーとフォークを織り交ぜる。なすすべがない状況。
大阪桐蔭が4回までノーヒットに抑える投手が今までいたであろうか?桐蔭は焦ったに違いない。想定内。
序盤、田中君はバランスの良いフォームで三振の山を築く。しかし3回くらいからフォームが変わりだす。
一塁よりに微妙に頭が倒れるフォーム。それでも打たれない。スピードも出ている。
しかし、終盤、やはりそのつけがくる。微妙に制球が乱れてくる。
こうなると試合中の矯正は、高校生では難しい。スタミナも奪われて、連投の疲れも出てきた。
辻内君も、スタミナはあるといわれているものの、疲れは相当のものだっただろう。
ベスト4の戦いになると、複数投手のいるチームが台頭してくる。怪物君でも炎天下での連投はきつい。
田中君がつかまる。
7回辻内君に想定外の本塁打。甘くなった外のストレートを痛打された。
その直前のサード内野安打が効いていた。気持ちの切り替えがつかないうちの本塁打。
甘くなった球を打たれる。1番の篠原君は好打者でキーマンでもあったが、終盤痛いところで先頭で出塁。
8回に1死3塁で4番平田君。何も敬遠する打者ではない。当然勝負。
ここでショートゴロ。正面の打球だったが、辻君がバウンドが合わずにホームに投げれなかった、同点。
この守備位置が、駒苫にしてみれば後悔していたことだろう。
しかし、ここでピシャっと抑える。同点どまりにするのが素晴らしい。
後半、辻内君は尻上がりに調子を上げていき、三振の山を築く。
高めのストレート、低めのフォークで三振を重ねる。
う〜ん、やばいかな・・・突破口は誰かな・・・。と思っていたら、延長の先頭に林君。
林君は前日までに「何でも打てる気がする」の絶好調モード。
野球をしていると、そんな時期が何回か訪れる。それを二年連続甲子園でおびき寄せる彼の強運に驚く。
彼自身のコンディショニングもまた特記すべき事項であろう。
再三狙っていた変化球を左中間に!フォークを奇麗に打ち返した。無死2塁。
五十嵐君が送って、3番思い切りのある辻君。
監督はスクイズも頭をよぎったに違いない。しかし、本人の意思のある強い目。
その目に香田監督はかけたに違いない。
カウントが2−1に追い込まれる。バッテリーからすると三振が取りたい場面。
このカウント、ほとんどの場合、フォークを投げていた辻内君。
そのフォークがくれば、ノーチャンスだったように思える。
しかしここにきてバッテリーが選択したのは高めの速球。
辻君は高めの速球に短くバットを持ち、コンパクトに打ち返す。
前日までの辻君の打ち方を見ていれば、フォークはかなり打ち取る確率は高かった。
速球投手が、高めで三振を思い描くのは分かる。そこに「この打者は?」のスパイスが足りなかった。
素材で勝負してきた大阪桐蔭、派手さはないがチーム力で勝負した駒苫。
弱者の闘いによって、王者ライオンも倒せた。想定内!
この意味は大きい。
「人間やれば出来る!」
の勇気をもらった人も多いことだろう。
2年連続の大物食い、昨年は、横浜高校がそれに値するだろう。
さぁ、この辺で北海道のすごさを感じている道外の方々もいるだろう。
駒苫の強さは?
技術だけに頼っているチームではないのは確か。
自分の力を発揮できる手法は?潜在能力を引き出す方法は?
このホームページを見ている人は、もう気づいているに違いない。
明日の決勝戦。
相手は京都外大西。名将三原監督が勇退される試合でもある。
昨年も済美の名将上甲監督との対決。今回も名将との激突。監督同士の対決も見物。
明日の戦は、京都との戦というより、自分たちとの戦。
そして、昨年の駒苫との戦と、ある意味いえるのではないだろうか?
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