平成18年3月23日 智弁和歌山高校 vs 伊万里商業
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本日は、平成18年3月23日。
兼ねてから興味のあった智弁和歌山が登場するということで観戦。
いちお、今大会では優勝候補の一角なのだろう・・・。
昨年は、駒苫が二回戦まで駒を進め、神戸国際大学付属に負けた。
昨年が懐かしい。春は北海道にとっては「不利」これはどうしようもない事実。
夏はハンデはないが、やっぱ春は土の上で練習ができないのできつい。
今大会の北海道は、北海道栄高校と旭川実業高校が出場。結果より内容が楽しみ。
近年、強豪高校は調子野球でないことに気づく。
しっかりした根拠、何をしようとしているのか明確なチームは強い。
できるできないは別の話。しようとする方向性や意図は不可欠だ。
テレビで、勝利チーム監督が次戦について「研究します」と口を揃えて言う。
どのレベルで、どのように応用し、動く選手にどう伝えるかが事前の準備。
これを怠る、もしくは軽視するチームは「調子野球」。
選手の調子が良ければ勝てるけど、当日の選手の調子次第。
自分の現役時代を考えると、試合当日に完璧なコンディションで望めることは少ない。
では、何をもって自分達有利に仕向けていくか・・・。この位にしておこう。企業秘密だ。
さて、この試合は初日の第三試合。第二試合で成田の唐川投手をちょっと拝見。
いい投手ですねぇ・・・。球の放しどころが良い。115球、10奪三振。
うんうん、工夫しないと攻略できないね。
分析時に大切なのは「想像」「予測」。
佐賀代表の伊万里の先発は背番号3の多久島投手。
和歌山代表の智弁の先発は背番号1の竹中投手。
初回智弁の攻撃。
多久島投手の立ち上がりを攻める。二番上羽君に四球。ヒット&DBで1死満塁。
最悪の立ち上がりだったが、この立ち上がりを救ったのは、自分のコントロール。
ストレートは120キロに満たないが果敢にインコースを攻める。
しかも針の穴を通す勢い。動じない心も特記すべきか。
変化球は、チェンジアップ系の面白い球を投げる。低めに制球するので打者は空振る。
結局1死満塁を2三振で切り抜ける。
予選12試合で11本塁打を放つ強力打線に立ち向かう伊万里。
3回智弁は2死1・2塁からタイムリー2発で3点。
耐えてきた多久島投手が乱れる。4回も相手失策で1得点。5回終了4−0。
前半、智弁の竹中投手を観察すると、MAX137、カーブは二種類か・・・。
外への制球が良い投手だ。この2球種のミックスで9割は配球している。
ある特徴が気になった。たぶん、この特徴から攻略するべきなのだろう。
ここでは、夏の大会もあるので控えます・・・。ふむふむ。
6回の表、それまで四球なしの竹中君が、先頭に四球。
伊万里は、このチャンスを活かせなかった。前半の劣勢を盛り返すチャンスだった。
グランド整備から乱れる投手。それに対する対策も各チームは必要だと思う。
智弁打線は、噂通り強力打線だ。
体ができている。相当食事やトレーニングに費やしているのだろう。
腰回りがしっかりしている。振り込んでいるなという感。
「工夫」「戦略」
という観点では、「う〜ん、まだまだだな」という印象。
相手投手への考え方や対応、試合内での対処はスキがある。
チーム的に嫌らしさを感じない。ただ、日大三並みの個々の技術はある。
7回、伊万里は先頭がショート失策で出塁。
初球バントの構え。点差等考えると消極的な作戦。
と、思いきや、次の球から強攻に一転。エンドランで相手投手のFCを誘った。
無死1・2塁。次の打者が投手前に送りバント。
「!」
勿体無い。投手が最初からサードで刺す考え方を持っていれば余裕で刺せた。
しかし、「大事に」「ひとつ」「前のプレーでの気持ちの切り替えが ×」などで
消極的な動きに終始し、簡単にバントをやらせた。
その後、スクイズファールなどの伊万里のまずい攻めがあり無得点に終わる。
でも、この「スキ」は今後の戦いに大きな課題を残すだろう。
こういったことをひとつひとつ潰していくことが大切だ。
この7回まで光っているのは、伊万里バッテリーだ。
馬場捕手のリード、多久島投手の制球・工夫。スピードはないけど素晴らしい。
多久島投手は、打者から見ると「ピュッ」と感じるだろう。左肩が開かない。
智弁打者を微妙に詰まらせている。「振らせていない」こんな感じだ。
伊万里打線、ちょっと単調で何をどのように狙っているか見て取れなかった。
各打者は泳がされ、前にスウェイしてフライを上げてしまう。
8回、伊万里はエースナンバー山田投手にスイッチ。
オーソドックスな投手だが、コーナーを丁寧につく。
う〜ん、伊万里の馬場捕手。いいね!配球の意図が分かる。久々に良い捕手を見た。
ちょっと、コーナーに寄るのが早すぎる欠点はあるものの、捕手としては◎です!
結局、智弁打線を4失点で抑える。打線に魔法をかければ勝てた試合だ伊万里。
9回、先頭打者の打球をサード失策。最後の維持を見せる伊万里。
次打者を四球。無死1・2塁。智弁の竹中投手は球数的にも一番厳しいだろう。
「最終回」この3文字が心をかき乱す。平常心ででき難いのが9回。
1死1・2塁からサードに痛烈なゴロ。目の前の走者をタッチしにいった。
びっくりした!セカンドの送球しダブルプレーで余裕で終わっていた。
結局4−0完封試合だったが、粗い試合に見えた。
春の甲子園だから割引いて考えるのが当然か。
甲子園大会の「一回戦」は大きな意味を持つ。「勝てば良い」これはレベルが低い。
大会を見据えた時に「初戦」の勝ち方は大きな意味を持つ。だから内容も要求される。
この観点から見れば、名将高嶋監督は「快勝」とはいえないだろう。
むしろ大きな課題を残した試合だったに違いない。次戦以降の課題だ。
久々の高校野球の試合。やっぱ、いいね。
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