平成18年4月4日 横浜高校 vs 清峰高校
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本日は、平成18年4月4日。
晴れの舞台の甲子園決勝戦が行われる。
古豪の横浜高校と、九州の新鋭清峰高校のガチンコ対決。
春といえども、決勝戦となるとすべてをかけて戦う試合になる。
両チームどのような気持ちで、どんな戦略で、どんなコンディションで臨むのか。
ここまでくると、優勝したいという気持ちが当然大きくなる。
気持ちと行動のバランスを操作できれば最高のパフォーマンスができるに違いない。
横浜は、1戦ごとに成長している左腕川角投手。
淡々と表情に出さずひょうひょうと投げる姿が印象的な投手。
変化球の使い方がうまい。
清峰は、絶対的エースの左腕有迫投手。
コントロールに不安はあるものの、打者に見づらい投げ方は魅力。
頼っている球はストレート。微妙に球が動く。
横浜は二回、先頭6番福田君を迎える。
初回ストレートが多かった有迫投手は、福田君に対し4球連続で変化球を選択。
「だいぶ研究しているね・・・」と思わせる配球。意図も理解できる。
しかし、先頭を打ち取った後に悪い癖が頭をもたげる。
「四球」
その後、川角君に簡単にバントで送らせた。
その後、横浜の戦前の大きな鍵になった「逆方向」で攻める。
9番好打者越前君が、最初から右狙いのライト前ヒット。先制。
続く、白井君も右狙いのライト前ヒット。
この辺で、有迫投手を凝視するとそれに対する細かい攻めのバリエーションが「少」。
逆方向だから「近め」はいかにも単純。
じつは、逆方向に打つには条件付の打者だが、近めの球のほうが打ちやすい。
その条件付の「条件」に当てはまる打者が横浜には多い。
なので「工夫」をしないと逆方向に打ち返される確率が高い。
でも、勢い投げじゃなく「コントロール」も要求されるため、有迫投手は「絶好調」
で腕が振れていて「キレ」があることが抑える必要条件になったと思う。
しかし、今日は連投連投で、それも望めない。
清峰サイドはかなりの分析をして望んだと思うが、フル活用できない状況だったような
気がする・・・。
その後、2番古城選手に頭部死球。
好打者高浜君に、あっさり狙い通りの逆方向に2点タイムリー。3点目。
苦しい展開。
この裏、唯一の反撃のチャンス。流れを呼び戻すチャンスが訪れる。
この試合、二回に大きな波が来た。横浜の大波を止めるチャンス。
先頭の4番木原君が二塁打。待望の先頭出塁。
5番佐々木君に対し、コントロールの良い川角投手は痛恨の四球。
ここで横浜は攻めの守備を意識した。策士吉田監督は、絶妙なバントエンドラン。
これで走者を進塁させる。バントエンドランとは思い切った作戦。
横浜だから敢行した作戦だったような気がする。案の定、これがベストだった。
お膳立てをしたものの、福田捕手にやられた。
初球の入り方が絶妙。結局セカンドフライに打ち取った。
相手のベストのスイングをさせなかった入り方。
打者は相手のやりたいことを考えながら打席に入っていれば、予測できた初球。
読みあいで横浜に軍配が下る。この回無得点。
監督の采配で流れが清峰に傾きかけたが、横浜バッテリーが切り抜けた。
3回清峰の攻撃、2死1・2塁からセカンドの白井君が超ファインプレー。
大舞台で最高のパフォーマンス。過酷な練習を積んできたに違いない。
このチャンスをピンポイントで掴めなかった清峰は横浜の大波に飲まれる。
結局、記録的大勝で横浜が21−0で完封勝利。
この試合、気になったのが「集中力」。
大差の試合になるほど実力の差はないように感じた。でも結果は大差。
選手の顔つきをみていると、集中力が切れていたような気がする。
川角投手は好投手だが、攻略すれば何とかなる投手だ。
選手の細かい動きを中盤以降みると一目瞭然。残念。
清峰は横浜に9つのスチールを許す。
高校野球で強く感じるのは1・3塁でのスチール。
簡単に許してしまう。ノーマークでフリーパス状態。これがまずいけない。
相手が動いてくれるのは、アウトにできるチャンス。
捕手の盗塁刺殺は、試合展開を大きく自分に持ってくるチャンス。
それをミスミス逃しているチームが多い。
投手の意識、捕手の意識が今後必要になってくる。
クイック、牽制、様子見など、策は講じて望まないと大波に飲まれる。
それにしても横浜のリードは素晴らしい。徹底している。
当たり前のことを素晴らしくしている。脱帽。
横浜は、1戦目・2戦目と危ない戦いをしていた。
監督の優勝コメントを聞くと、まとまりがなかったチームが最後に結束した。
と言っていた。また決勝戦について「0点」完封で勝てたことがうれしいとの声。
やるべき準備がしっかりできたという自負があったに違いない。
また、夏に向けて川角投手を6回で交代させたのも特記すべきだ。
もう夏を見据えている。名将は育てて勝つといったところか。
さて、清峰高校。この学校を初めて見たのは、三年前の夏の予選決勝。
佐世保実業との一戦を見た。この時「随分思い切りの良い打撃をするな」。
これが第一印象。そのチームを、ここまで鍛え上げた吉田監督に脱帽。
「次につなげる野球」を実践している方だろう。
叱るだけじゃなく、どうすれば良い方向にいくか考える。そんな方だと想像する。
点差は離れたけど、良い経験をした。また実力の差はそんなにないと思う。
夏、「強い」と思わせた横浜を破るチームはどこか。
すべてのチームは挑戦者として向かっていくと思う。
終了後、福田主将は号泣していた。大泣きだ。
主将として「チームワーク」を構築するのに大変だったのだろう。
改めて「チーム力」を考えさせられた試合であった。観戦するに価値ある試合だった。
北海道よ!夏は頑張ろう!!
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